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45 第四王子の正体

 木の陰から飛び出したあたしに、王家の皆さんは大いに驚いていた。


 でもよく見ると、フレドホルム司令官だけはこちらを見てニヤリと笑っている。

 ……え、まさか、あたしに気づいていたとか?


 驚愕から立ち直ったのか、第二王子が偉そうに言う。


「どこから現れた、下賤の女!」


「民を捕まえ『下賤』呼ばわりとはなにごとですか」


 第二王子の言い草にカッとなったあたしだけど、王妃様の言葉を聞いて気持ちを落ち着かせた……のに、第一王子が蒸し返す。


「下々の者を下々と呼んで、何が悪いのですか? 母上」


「フレドホルム司令官、早くこの不審な女を摘まみだせ」


 わーん、王様まで!

 マックスはこんな人たちの中で、辛抱強く生きてきたんだなあ。

 どれだけ我慢を強いられたんだろう。


 そのマックスのためにも、あたしはここで摘み出されるわけにはいかない!


「お待ちください! お伝えしたいことがございます! 突然現れた吸血樹の森のことでございます!」


「……そうか、お前魔女だな。(くつわ)を噛ませ、縛り上げよ」


 第一王子がさらにひどいことを言い出す。

 あんた本当にいじめっ子体質だな!

 そこに助け船を出してくれたのはフレドホルム司令官だった。


「第一王子殿下、お待ちください。魔女は元々『森の知恵者』と呼ばれた者たちの末裔。この騒ぎを鎮める妙案を持っているかも知れません」


(いやー、そんな妙案というわけではないんだけど……)


 ちょっぴり冷や汗をかきながら、あたしは発言する。


「こ、この吸血樹の森が生えたのは、第四王子の仕業です!」


「なんですって?」


 王妃様が青くなって叫んだ。

 そうだよね。自分が産んだ王子様が、こんなことをしでかしたって知ったら、驚くでしょう。

 なぜかフレドホルム司令官も、驚いているみたい。


「やはり……、前々から怪しい奴だと思っておったのだ」


 第二王子が、また嫌味な声で呟いた。

 ……でも待って。なんで嬉しそうな顔してるんだろう。


「娘よ、間違いないのだな?」


 王様の問いに、心を落ち着かせながら答える。


「間違いございません!」


 あたしの言葉を受けて、王がフレドホルム司令官に命令した。


「マクシミリアン()()()()を引っ立ててこい」


「……ははっ」


 王様に頭を下げてマックスの塔へ向かって走っていく司令官を見ながら、あたしは混乱する。


「えっ? マクシミリアン()()()()?」


 待って。

 どういうこと?

 あたしは思わず、王様の腕に縋りつこうとした。


「待ってください! マクシミリアン……()()()()? 第四王子はトールビョルン殿下でしょう?」


「トールビョルンなどという者は、王族にはおらぬ。第四王子はマクシミリアンだ」


「そんな、まさか……」


 兵士たちに王様から引きはがされ、あたしは第一王子に押さえつけられる。


「無礼な女め。汚い手を陛下から離せ!」


「やだ! 離してよ!」


 地面に頭を擦り付けられて、逃れようとあたしがもがき暴れていると、フレドホルム司令官が戻ってきた。


「ご報告申し上げます! 塔の部屋にはマクシミリアン様はいらっしゃらず、その……代わりにアルフヒルド様がおいででした」


 その言葉に、王様と王妃様が驚愕する。


「なんと申した!」


「アルフヒルド様が? まさか……」


 その知らせを聞いて、あたしを押さえる第一王子の手が緩んだ。

 助かったあ。

 ていうか、そのアルフヒルド……って、誰?

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