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第38作品目:黒いコスモスは雪化粧を汚されてぶちキレる

 黒いコスモスと呼ばれた黒里桜子は、社長秘書に抜擢されて金星人のマヤ社長の護衛につくことになった。


 高給取りにはその苦労もある。何を言っているのかわからない、社長や金魚人たち。


 そんな彼らを慰労するためと、会長の私欲のために花火大会が開催された。


 企画投稿時は空想科学〔SF〕作品でした。


・作品についての思いやお話しなどは後書きに掲載します。




 

 私は以前辞めた会社で、黒いコスモスと呼ばれた会社員の黒里桜子。


 元事務員から社長秘書になったジーコに誘われて、新たな会社に再入社したのは良いの。


 私が多少武道の心得があるせいか、ジーコの企みなのか、新しい会社では彼女と同じ社長秘書の一人に抜擢された。


「だってさ、高給取りが私一人だと心苦しいもの」


 ジーコのせいだった。本名は白幡由希子(しらはたゆきこ)って可愛らしい名前なのに、事務員だったからジーコて呼ばれていた。サッカーの神様の一人にあやかったらしいけれど、本人は気にしていないらしい。


 金星人の金魚人にしかまともに売れないビール作りだけで、国会議員並みの給料が出る会社。


 ……冗談かと思ったのに、本当だった。


「心苦しいとか、そういう問題?」


「私に聞かないで」


 ジーコも苦労している。売却額十数億円分の金塊は、真守会長を通じて処理されたらしい。


「貰える時に貰っておきなよ。──っていうかさ、社長と会長(アホ共)の世話を私一人でやんの無理」


 会長がさっさと帰ってくれればいいのだけれど、花火大会まで居座るらしい。暇なのかしら。


「まあ完全に協賛金は会長持ちなんでしょ。好き勝手にやれるわけよね」


 会長はジーコが世話するようなので、私は社長を任された。金星人を名乗るマヤ社長はこのご時世、金運が異常に良い。その分狙われやすいので、私が護衛(ボディガード)に選ばれたのだ。



「鰹の木が鮪になったんだけど、金魚ビール飲むかな」


 護衛を任されたのは構わないの。ただ相変わらずマヤ社長は、何を言ってるのか意味がわからない。この社長とサイキックな会長を相手に、確かに一人では病む。


「鰹が平気なら鮪も大丈夫でしょ」


「そうだね。あげてみるよ」


 我が社ながら考えたら負けなのよ。出来れば触れない方がいいのだけれど、そうもいかない時もある。



 花火大会が始まった。雪景色に色とりどりの花火は美しい。黒いコスモスも、雪化粧の中なら映えるのかな、なんて思う。


 少し感傷的な気分に浸っていると、たまごの花火職人が会長を怒らせて空の彼方へと逃げた。


 ……嫌な予感がする。私の予感はあたる。翌朝、雪山の町の空に大艦隊が現れた。


 近隣の航空自衛隊が派遣されて来るものの、敵うはずのなさそうな異星の船。


 この美しい雪景色の中で、私達は死ぬんだ────そう思った。


 しかし大艦隊はトラブルを抱えていた。たまごの花火職人により、武装を全てたまごにされ、メレンゲの泡を出したり、温泉たまごの雨を降らせ逃げ帰った。


 助かったのか……そう思って見渡してみると、美しい雪景色は割れた温泉たまごと殻で目茶苦茶だった。


 あのたまご許すまじ。理不尽だけど、私は自分を汚されたようで、たまごの花火職人に八つ当たりした。


 たまごがボロボロ落ちて来るたまごボーロ事件は、たまごが凍った後に回収されて片付いた。


 回収されたたまごは鮪の木の肥料にされたようだ。



 お読みいただきありがとうございます。


 黒いコスモスさんの視点でのお話しになります。加筆再掲載版なので、事務員のジーコさんの本名もようやく作中へと登場させてみました。

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