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第30作品目:そしてたまごの花火職人は夜空に打ち上がり、美しいコスモスの華を咲かせた

 冬の夜空に浮かぶ花火は美しい。積もる雪の白さと相まって、夜空も大地も花が咲き乱れる。


 企画投稿時はヒューマンドラマ〔文芸〕作品でした。


・作品についての思いやお話しなどは後書きに掲載します。




 



 ヒュルルル────────ドッパーン!


 冬の夜空に浮かぶ花火は美しい。


 この町では雪山と雪景色があるため、花火が上がるたびに七色に輝いて映る。


 幻想的な花火を打ち上げるのは私、たまごの花火職人だ。


 おいおい、たまごって事は、ド素人当然じゃないかって言うのかね。


 味噌漬けにされた熟成たまごのように、味わい深い色味を出せるのが、熟練のたまごの花火職人ってものだぜ。


 たぁ〜まやぁ〜〜〜って言いたいんだろうって?


 フッ……青いな坊や。青色の輝きを出すために積み重ねた努力を知らずに、言葉だけを聞きかじったな。まったく青いおしりが隠せていないぜ。


 ────おっといけねぇ、ひよっこ相手にお喋りに花を咲かせている場合じゃないな。



 今夜の冬の花火大会は御嬢が彼氏を連れて来ている。事件の解決に乗り出したと……見せかけての、デートなのさ。


 御嬢と彼氏と金星人のマヤと金魚人、それにジーコや黒いコスモスが金魚ビール片手に大盛りあがりしている。


 真冬に花火と金魚とビールなんて風情がないなんて野暮は言っちゃいかんよ。


 雪景色に澄んだ空気、美しく咲く大輪の花。鮮明さと美しさは夏よりも、冬の花火の方が上なのさ。


 たまごの花火職人だと言葉がぶれていけねぇぜ。思わず、おいらって言っちまう。


 なんだ、まだいたのか坊や。今ならロマンチストの黒いコスモスも手折るチャンスだぜ。


 とっておきの花火をあげてやるから|告白(言っちゃえ)よ。


 ドデカい花火の種に火をつけてやる。


 ヒュルルル────…


 ()()()()()!!


 特大花火は、今夜一番の高さで夜空一面を覆うかのように大きく咲いた。派手に消え散るのもまた、告白という花火の醍醐味だ。


 たまごの花火職人としては、坊やが夜空を彩るコスモスと、打上げ花火のコスモスと、言葉選びに気をつければ咲く花もあると思っているのさ。



「そのとっておきのはずの花火は、私が咲かせるタイミングを指示したはずだよね」


 おっと、御嬢の目が三日月より細く刺すような視線になったぜ。


 すまねぇ、坊や。たまごの花火職人が手助け出来るのはこれまでだ。


 怒り狂った御嬢は、たまごの花火職人の私のおしりに火をつけた。こいつは不味い。


 たまごの殻ごと焼くと、熱さで爆発する。御嬢の炎は電子レンジと同じだ。


 私は慌てて花火の筒に逃げ込み、火薬に点火した。


 花火には色の変わるものがあるのだよ、御嬢。


 ヒュルルル────……パァーン!


 煙に紛れて入れ替わり、私の変わり身となったたまごの花火は、夜空に綺麗な黄金色のコスモスの花を咲かせた。


 私は別の花火で宙に飛び、パラシュートで夜闇に消えた。


 御嬢の怒りが花火のように散るまでは、たまごだけどかえれないだろうな。

 お読みいただきありがとうございます。


 バカバカしいけれど、クスッて笑ってもらえる作品になればと思い書き散らした作品。


 ネタの一つに某有名漫画のセリフ「へっきたねぇ花火だ」も考えましたが、その後の惨劇のために封印しました。


 なろうラジオ大賞5への投稿作品を、今現在も読んでいただき評価等を加算していただきありがとうございます。



 

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