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第28作品目:俺がパスワードだ〜戦場を駆ける撃墜王、エースパイロットの武勇伝〜

 ────撃墜王の名を持つ俺は、今日も戦場を駆ける。エース中のエースである俺にも、若き日の過ちがあったようだ。


 企画投稿時はVRゲーム〔SF〕作品でした。


・作品についての思いやお話しなどは後書きに掲載します。




 

 エースになるための条件に、撃墜スコアというものがある。エースと認定されるスコアは1000機だ。そして当時の俺のスコアは65535機。エース中のエースだと言えよう。


 あぁ、ちなみにこれは現実の軍隊ではないぞ。あくまでバーチャルゲームの中での話しだ。


 全盛期には素人タレントまで輩出し、人気芸人、声優を配してテレビ番組まで持つほど勢いがあった。凄い時代になったものだ。


 俺はいわゆる最古参のパイロットになる。戦場を経験したものならわかるだろう。


 右も左もわからん坊や達が、百戦練磨のエースクラスと同じ戦場に放り込まれるのだ。混迷の時代を駆け抜け今に至った。


 あれは、本当に地獄だ。何もわからぬままに戦地を彷徨い、撃破されるまで翻弄され続け恐怖を刻み込まれる。


「何やってんの!!」


 同時に出撃する羽目になった少尉から罵声が飛ぶ。


 ……何をやっているのかわからないから撃破されたわけだが、あの頃の俺は二時間待ちでようやく遊ぶ事の出来た興奮で、何も覚えちゃいなかったよ。


 今では考えられないくらい熱い時代。上官も騒ぐだけ騒ぐやつもいれば、恫喝やネチネチしつこいやつ、モニターを見ながら丁寧にレクチャーしてくれる大人もいた。


 みんな一日中戦場に入浸り、熱い戦いを繰り広げていた。


 朝から晩まで「いったい仕事どうなってるの」と問いたいくらいだ。彼らの仕事のリアルな状況は、想像してはいけなかった。


 十年以上に及ぶ歴史の中でいくつものドラマがあった。ぶち切れた戦士が、拠点に若い連中を引き連れ乗り込んで来る事もあった。


 リアルファイトだけで済まない。喝上げやら窃盗など、犯罪もあったのだ。


 リアルヒロインに群がる部隊は鉄の結束を誇ったものだが、ヒロインを掻っ攫ったリーダーを恨み解散消滅した部隊の話しも聞いた。戦場の熱が冷めると、自然に恋仲も錆びついたそうだ。


 語ればそれこそ一冊の本を出せるくらいの戦場のドラマと、人間のドラマがある。


 俺もいつの間にかランカーに名を連ね、エースの一角を担うようになったものだ。


 パスワードと名乗れば、近隣の拠点で知らないものは新規の新人パイロットしかいないくらいには有名になれた。


「パスワードさんはどうしてパスワードってパイロットネームにしたんですか?」


 ────怖いもの知らずの高校生に訊ねられた。先達の将校やエース達が今まで触れずにそっとしていてくれたのは、俺への優しさなのだろう。


 撃墜王と異名を持つ俺が、パスワードとパイロットネームを混同してつけた情弱の()素人だったなんて、いまや恥ずかしくて言えない。


「あぁ、こいつアホだから、名前とパスワード間違えたんだよ」


 笑いながら説明するのは同期古参の戦友だ。おのれ、背中を撃つような真似をしやがって。


 戦友の裏切りにより、俺は撃墜された。何事もパスワード入力は慎重にやろう────それが俺からの忠告である。


 

 お読みいただきありがとうございます。


 この話しは実話を元に作られたお話しです。ネタではなくて家一軒買えるほどつぎ込んだとか、店開いちゃったとか、戦場つながりで事業仲間が出来たなど、裏話がたくさんあります。


 VRものとして戦場話しを書きたいのはありますが、リアル感を出すための戦地や兵器について詳しくないので保留のままになりそうです。

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