第19作品目:5年以上待ち続けた王女と勇者ハーレム
魔王討伐を依頼して、五年が過ぎた。
私は魔王軍と戦う王国の姫。
婚約者でもある勇者チットは五年の歳月をかけて、ようやく魔王討伐を成し遂げて戻って来たの。
でも、率いていたのは贅沢三昧のハーレムパーティーの女達。
勇者チット達の思惑に気付いたのは────。
企画投稿時は異世界〔恋愛〕作品でした。
・作品についての思いやお話しなどは後書きに掲載します。
魔王討伐から無事に戻って来た、勇者チットのパーティー。
魔王の軍勢が急激に増えたために、勇者召喚の儀式が行われました。私達は勇者チットを、異世界から呼び出すことに成功したのです。
勇者チットは初めは渋っていましたが対価を要求し、魔王討伐を快く引き受けてくれました。
魔王討伐クエストが発生してから五年、我が王国は国民にお願いをして血税を絞り出して勇者チットの支援を続けて来ました。
私も勇者チットと婚約し、彼の要求する討伐報償として身を差し出しました。
国を挙げての支援の甲斐もあり、勇者チットは魔王討伐を成し遂げたのです。
でも……勇者パーティーがハーレムなんて聞いていませんでした。最初にいた王国選抜メンバーはどこへ?
────というか、王族である私達よりも無駄に華美で贅沢な貴金属に包まれている女共。これ以上、何を彼らに与えるというのでしょう。国民も私をはじめ王族も、資金を捻出するために質素な生活を余儀なくされていたのです。
確かに魔王討伐は、その代価に見合うものです。ですが、支援金も報償も全ては勇者チットのために送られたのです。
「あっ? なに勝手な事抜かしてんの」
「そうよ、勇者チット様こそ魔王討伐功労者」
「お金を出しただけで偉そうにしないで欲しいわよねぇ」
「行き遅れの姫を押し付けられる勇者様が可哀想」
ハーレム女達の言葉に、ブチッと私の何かがキレました。私を望んだのは、他でもない勇者チットなのよ。
五年もの間、国民と節税に取り組み費用を捻出した挙げ句、悪様に言われる。
────それに最後のは間違いなく悪口。
「報償金は約束通りお渡しします。ですが、私との婚約は破棄とさせていただきます」
「へっ、俺もこんな貧乏臭い国を継ぎたくないから助かるぜ。じゃあな」
報償金と煩いハーレム女を引き連れて、堂々と王宮を去る勇者チット。
「お疲れ様。約束通り、勇者チットは始末しよう。女共から金品を取り返し、疲弊した国民に還元するがいい」
────そう、これは五年も討伐を待たされた私と、勇者チットのハーレムパーティーの悪行に気がついた魔王ヒトヨシの共同の作戦。
この魔王は異世界からやって来たお人好しで、魔王になった以上、魔王らしく散るつもりでいたのでした。
それなのにいつまで経ってもやって来ないので、勇者チットの様子を調べて悪行ぶりに気付いたのです。
勇者チットはハーレム女達の企みで魔王討伐を引き伸ばし、支援金を着服し豪遊三昧だったのを確認し報告書までまとめていました。
お人好しの律儀な魔王は私の国を心配し、この作戦を持ちかけてくれたのです。
「恩に来ます、魔王ヒトヨシ。貴方が討たれた事になり、王国と魔物が激しく争う事もなくなります」
「元の世界でも、善人面した連中への貢ぎ物で苦しむ人々が大勢いて、他人事に見えなかったのです……だ」
彼のいた世界も酷かったようね。何故彼が魔王として呼び出されたのでしょうか?
「ふふ、私の前では無理なさらずに。出来れば騎士として私に仕えて下さるかしら」
「喜んで。貴女と貴女の愛する王国を共に見守りましょう」
こうして、私は怠惰で強欲な勇者ハーレムから国の財産を取り戻すことが出来ました。
苦労を強いた国民には正直に事の顛末を告げて、真の魔王討伐者ヒトヨシと幸せに暮らすことが出来ました。
お読みいただきありがとうございました。
この作品は異世界恋愛ものとして投稿してみましたが、恋愛面やざまぁ部分が千文字で収めきれず、ざっくりしたお話になりました。
加筆再掲載版も話しに厚みを持たせると、千文字台で収めきれないので、あまりいじくり回すのを止めました。
機会があればまた書き直したい作品でもあります。
※ 次の二十作品目は、別シリーズの外伝のため飛ばします。




