第18作品目:悪徳令嬢は5年生、雪山で黒いコスモスに恋をする
私は学友から悪徳令嬢と呼ばれている小学五年生。
尊敬するお父様は、優しく人の為に働いていらっしゃるので、本当に悪い人達から恨まれておりますの。
────これは、私と黒いコスモスこと、黒里桜子様との恋の出会いの物語になります。
企画投稿時は[現実世界〔恋愛〕]作品でした。
・作品についての思いやお話しなどは後書きに掲載します。
私は雪山近くにある町の三日月商会の会長の娘。バリバリの小学五年生ですわ。
お父様は三ヶ月締めと言うお金を集めるお仕事をして、世の中の役に立っている素晴らしい方なのです。
でも逆恨みをする連中は、どこにでも湧くものなのです。そうした卑怯な輩は、学歴五年の私を狙います。
普段をから登下校時などは注意してますのよ。心配症のお父様が、たまごの護衛をつけてますから。
────でも狡猾な奴らは、雪山での冬期遠足を狙いましたの。
この時期の雪山は大変混みます。たまごの護衛も一緒には行けず、現地で合流となりました。
この人混みの中、私を見つけられるか心配ですわね。
────私の心配は的中しました。
町中では目立つ目出し帽子。ここではさほど不自然ではないのですもの。
帽子を被った男達は、雪山で一人で雪だるまを作る私を簡単に拐いましたの。
私は猿轡をされ運ばれました。
男達は私をあまり使われていない山荘に閉じ込め、お父様に脅迫するつもりなのです。
……あれ、雪かきされてる?
男達はガチャガチャと乱暴にドアをこじ開けようとして────急に開いた扉にバランスを失って転がった。
「遅かったじゃない、ジー…こ?」
この方を私は知っている。お父様のもう一つの仕事、身辺警護を請け負ってる会社の社員の方だわ。
ご挨拶の時にお話ししたから、覚えているもの。
確か、黒いコスモスさんってからかわれていた方────
────ボスッ!!
────ドコッ!!
鈍い音と、倒される男達。
「怪談の正体見たり、なんてね。その子は怖い黒服の元締めの男の子よ。失せなさい」
か、カッコいい〜。女性の方なのに、お父様の部下より強いんじゃないかしら。
よろめく男達のお尻を、黒いコスモス様は容赦なく蹴飛ばします。酔ってらっしゃるのか、ドカドカ倒れる男達をさらに蹴りたぐる黒いコスモス様。
逃げる男達とすれ違うように、たまごの護衛がやって来ました。
「出たわね、妖怪の親玉」
あっ、駄目よ。そのたまごの護衛は味方なの〜っ……────ドカッ!
再び容赦のない黒いコスモスさんのキックが炸裂しました。たまごの護衛が雪山を転がり落ちてゆく────
────たまごだけに、割れなかっただけマシかしら。
「スットラ〜イク!!」
ケタケタ笑いながら、黒いコスモス様が叫びます。転がるたまごの護衛は、雪だるまになって、悪いやつらを一網打尽にしました。
「僕一人? 雪だるまのお化けも勘違いするものなね」
優しく頭を撫でられ、私は黒いコスモス様に惚れてしまいました。
そして決心したのです。お父様に庇護されるだけの悪徳令嬢は辞めると。
黒いコスモス────黒里桜子様を守れるような、強い男の子になるんだって。
お読みいただきありがとうございました。
悪役じゃくて悪徳、令嬢ではなくて御曹司でした。
この物語は、時系列的にはエージェントに囲まれる前の話しになります。




