第16作品目:黒いコスモス達は、たまごを肴に咲き誇るのか
私は黒里桜子、会社員をしている。黒い服を好み、地味で目立たないから「黒子」と呼ばれている。
そんな私にも付き合っていた彼氏がいたのだ。でも盛大にフラレた。
そのせいで「黒いコスモス」というあだ名がつけられた。
復讐ではないですが、ざまぁ要素がちょっぴり入ります。
企画投稿時は現実世界〔恋愛〕作品でした。
・作品についての思いやお話しなどは後書きに掲載します。
私は黒里桜子。黒髪黒目、黒いファッション好きの会社員。黒子ちゃんと呼ばれる、黒いのに影が薄い女が私だ。
そんな私だけど────この度は盛大にフラれました。これみよがしに会社前の広場の公衆の面前で。
……黒子だよ?
……影が薄いんだよ?
フッたのは取引先の営業、英男。割とイケメン。良く言えば、素直な天然。悪く言えば鈍感で非道。
だってさ本当に私の会社の目の前よ、この広場。
「好きな人が出来ました、別れて下さい」
同じ会社の人間もうろつくそんな場所で、白昼堂々と公開処刑された私の身にもなってよ。
……百歩譲ってフラれたのは仕方ない。でも告げる場所って、そこじゃないよね。
────私はその日からあだ名が「黒子」から、「黒いコスモス」 と呼ばれるようになった。
なんだか存在感は増したよう。だけど「黒いコスモス」 って、揶揄だよね。恋の終わりや思い出、移り変わらぬ気持ちを意味するし。
未練タラタラ、そんなの好きだったから当たり前じゃないの?
目立たない私が陰口言わず、なんで派手な女の子達が陰口言ってるんだろうか。
黒子のくせにざまぁ、って声が急に大きく聞こえるようになった。そこは「黒いコスモス」 じゃないんだ。
陰じゃなくて、オープンな会話だから問題ないってさ。ハハハッ、それじゃただの虐めじゃない。
────結局いたたまれなくなった私は会社を辞めた。ある事ない事を、悪しざまに言われる筋合いない。
私が黒子呼ばわりされるのは、仕事が早くて目立たないからだ。発注ミスもないし、クレームを貰うような案件はなかったと思う。
有能ではない。当たり前を当たり前にやるだけだったから。そうした物言いが嫌われたみたい。
だからかな、簡単に辞表は受理された。仕事に必要なのは有能さよりも、チームワークが大事なんだってさ。
────モヤモヤした気持ちを抱えて、就活していたある日の帰りの事だ。偶然入った居酒屋で、偶然英男の被害に会った事のある女の子に会った。
偶々ってこういう意味なんだって実感した。被害者の女の子も同じ事を感じたみたい。
「あいつはクズ」
私達は笑い合う。あぁ……本当に久しぶりに笑った。それは意気投合するって。
痛快だったのは、英男の会社が潰れた事か。
「私のいた会社の連中にも、ざまぁって言ってやりたいわ」
「取引相手なら関連会社なんでしょう。それなら潰れないにしてもダメージはあるはずだよ」
社長秘書のジーコさんの予言は当たった。地味な事務員の事務子さんだからジーコって、この人何気に器が大きい。
ジーコさんの情報から、私のいた会社は業績の落ち込みが激しくなったみたい。他にも発注ミスや処理の雑さに、顧客がキレて何人かクビになったそうだ。
私はというと、ジーコさんに誘われて、彼女の会社で働く事になった。金魚ビールを扱う会社だ。温泉たまごによく合う飲みものだけど、会社凄く大きいので驚いた。
────私は黒里桜子。黒いファッションが好き。だからと言って、いつまでも黒いコスモスにこだわりはしない。
瞬く星が暗闇があって映えるというのなら、黒く咲き誇る影は、明るい光の中でこそ映えるはずだ。
私はジーコさんと何度目かの乾杯をしながら、自分自身の存在について熱く語って寝落ちした。
お読みいただきありがとうございます。
コスモスの花言葉は、色によって違うようです。単色で贈ると誤解を招き兼ねないようです。決めたのは人の側で、花に罪はありませんよね。
この話し投稿作品の中でも個人的に好きなのですが、加筆再掲載版を書いて気付いたのですが、肝心のたまごの言葉がない?
何かを肴に盛り上がっているとして、タイトルみてきっとたまごなんだと想像させる……ワードを使わないで連想させたんだって事にしておきましょう。




