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第14作品目:暖炉でロダン勝負!

 私は事務員をしている。五年勤めた会社を辞めた。いわゆる寿退社になるはずだったのだが騙された。


 縁があって勤める事になった会社と、辞めた子会社の社員でイベントが行われる事になった。


 それが「暖炉でロダン勝負、チキチキ耐熱レース!」


 これは事務員ジーコの復讐か。三百名の社員の生き残りをかけたレースがいま、始まるのだった────。




 企画投稿時はコメディー〔文芸〕作品でした。


・作品についての思いやお話しなどは後書きに掲載します。




 

 暖炉でロダン勝負────チキチキ耐熱レースが開始された。


 レースの内容は簡単だ。薪を焚べて燃え盛る暖炉の前で、ロダンの考える人のポーズを取るだけ。


 もちろん台座や椅子などはないので、いわゆる空気椅子のような筋力勝負でもある。


 勝てば賞金十万円がもらえるとあって、集まった人達から歓声が上がる。雪山のある地方のマイナー大会にしては高めの金額だ。


 ただ参加者は全員公平を期すため、女性用の競泳水着を着用する。男も女も関係ないのだ。LGBTにも配慮した素晴らしい大会。


「んなわけねぇだろ」


 アホみたいな大会に強制参加させられた私はぼやく。事務員のジーコだ。

 サッカーの神様の一人じゃないよ。サッカーの神様にあやかってマヤ社長が勝手に命名しただけだ。なんで事務子からなんだよ。


 私は五年勤めた会社を、逆ハニトラ……騙されて辞める事になった。縁あって前の会社の親会社に入れたので、ある意味ざまぁと奴らに言えた。


 ────なんせ地味な事務子から、社長秘書になったわけだから。


 だけどマヤ社長は変わり者で、奴らに生き残りをかけ勝負を持ちかけた。それがこの暖炉でロダン勝負だ。


 耐熱っていうか、この町は寒いから暖炉の火はあったけぇだけだよ。


 むしろ水着とか寒いじゃん。だからこれは根性試しじゃない。暖炉で暖まり合うだけの、使える筋肉のマッチョレースだ。


「これは事務子(ジーコ)ちゃんの復讐チャンスなんだよ」


 負けても私のペナルティはなし。勝てば十万円だから、ぼやきながらもやるけどね。


 座り慣れ細身の私と、酒太りした部長や先輩方には勝てそうだ。


 だから敵は────営業だ。精鋭揃いの奴らのはずだ。足の鍛え方が違う。女上司と英男のバカップルにだけは意地でも負けたくないね。


 こうして始まった謎の大会。会社をクビになっても大会上位に入れれば、親会社に転職出来るチャンスを貰えるとあって、彼らの目の色が違う。


 特設会場で行われた大会は、暖炉の熱気よりも異様な熱気に包まれていた。


 だいたい広場を借り切って、小さな暖炉前で三百名一斉に水着姿でロダンポーズを取るとか、誰が見るんだよ。


 せっかく子供の奇病が治まったばかりの地域で別な悪夢(トラウマ)を生みそうだ。


 それでも未来がかかっているとあって、前の会社員達は必死だ。


 私を罠にかけた英男を始め、女上司や部長がぷるぷるし始めた。


 ────やめろ、笑かすな。


 私? 余裕だよ。五年座り続けていたけれど、腰の落とし方はプロだ。あと薄い……から。


 脱落者は当然体格と筋力の劣るものからだ。ガタイがよくても、身体の重さをあの姿勢で支え続けるのは難しい。


 特等席でマヤ社長がケタケタ笑う。採用基準が安定した足腰になるが、雪国ならわりと重要なのかもしれん。



 ────残り二十名になった所で競技は終了した。会社に入るかどうかは別として、賞金は貰える。私も残った。これで私は温泉に行ける。


 二十名の内、採用されたのは半分の十名だった。採用条件は会社の主力商品の金魚ビールを飲めるかどうかだった。


 最初からそれだけで良かったんじゃ────そう思ったけれど、たっぷり笑えたのでマヤ社長には感謝してるのだ。


 ……部長は勿論論外。女上司と英男が倒れる瞬間まで罵り合っていたのを見れたから。


 風の噂で聞いた所、会社がなくなり結婚したばかりの二人は、暖炉でロダン勝負の後に離婚したそうだ。

 お読みいただきありがとうございます。


 某ギャンブル漫画みたいに生命がけってほどではないのですが、くだらない勝負で、やっている方は真剣で人生まで掛かっているお話しになります。


 投稿作品は勢いで書いたので雑で拙いのですが、私自身が書きたいお話しの方向性がよく現れた作品なのだと思いました。


 加筆再掲載版では、きっちり女上司、英男、部長にざまぁの要素を入れてみました。

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