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とある鉄路の模型列車  作者: Kanra
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銀河超特急

 学園祭2日目は運転プログラムの回数を減らし、逆に見に来た人に実際に鉄道模型の運転や、駅員の案内放送等の体験を行う時間を設けた。

 これは、ただ見ているだけではなく体験型の企画をやってみたらどうだという三河の考えを反映した物だ。

 運転プログラムは、「鉄道の一日」の他、「重大事故仮想再現」そして最後に「夢と夢を繋ぐ列車達」という、三条神流オリジナルストーリーを実施する。

「重大事故仮想再現」で、常磐線で発生した三河島事故を再現した後、最後の運転プログラムの準備作業をしている時、松宮芽衣子と三河が三条神流に、

「解説は私達にやらせて。」

 と具申した。

「別にいいが、小学生のガキの発表会みたいな解説やったら殴り殺すぞ。」

「分かっているよ。でもね、言いたいことを言わせて。」

 と、芽衣子は言う。

「C62‐2と18の機嫌は良いぜ。」

 内田が言った。

「後、俺のオリエント急行も出すぞ。投入したばかりの新型車で、牽引機はEH‐200だ。」

 霧降が用意しながら言った。

「新幹線はE5系のみ。その他の車両は退避セヨ。高架線に寝台特急「あけぼの」を入れる。」

「オリエント急行と銀河超特急は回送線より「スーパーレールカーゴ」及び、「サンライズエクスプレス」と入代わりで発車。普通列車には、211系及びE231系を使用する。」

 最後の運転プログラムに向けた準備作業が進む。

 そして、時間になった。


 運転プログラムは異例の、三河と芽衣子の解説で進む。

 特に危なげなく進んだため、三条神流は安心した。

 終盤になる。

「楽しかった学園祭も、まもなく終わりです。最後に、皆さんの夢を載せて走る列車に登場してもらいましょう。」

 と、芽衣子が言い、オリエント急行が発車する。

 三河がオリエント急行についての解説をした後、すぐに銀河超特急が出発するのだが、芽衣子はそうはさせなかった。

「早くしろ。発車できねえんだよ。」

 と、三条神流が目で言った。

「そして、鉄道というのは皆の夢を乗せて走るもの。鉄道ファンを鉄道が裏切ることはしません。いいえ。鉄道ファンのみならず、鉄道を利用する多くの人の夢と希望を、鉄道は裏切りません。永遠に終わることのない鉄路の果てにある、人生という物を目指して、今日も列車は進むのです。鉄道は夢を裏切らない。鉄道は人を裏切らない。それを忘れないでください。」

 三河が、音楽プレーヤでSLの汽笛を鳴らし、銀河超特急を発車させた。

「この列車は、三条さんの作った、夢と希望を乗せて永遠に終わることのない鉄路の彼方にある幸せを目指して進む夢の列車「銀河超特急」です。C62蒸気機関車が2両で牽引するブルートレインは、「銀河鉄道999号」を彷彿させる列車で、まさに夢の列車です。今も、この列車は様々な出会いと別れ。夢と希望を載せて、永遠に終わることのない鉄路の果てにある幸せを目指して進んでいるのです。今日、この運転プログラムに登場した全ての列車は、人々の思いを載せて、未来というまだ見ぬ世界にある幸せを目指して走る物です。鉄道は夢を裏切ることはしません。永遠に。」

 と、芽衣子が言い、運転プログラムは終了した。

「三条君。」

 銀河超特急のブレーキをかける三条神流に、芽衣子が言う。

「粋なことすんじゃねえ。」

「三条少佐。私は少佐の鉄道を追う姿から、自分に正直に迷わずまっすぐ進めと学びました。好きな人に思いを伝えてください。鉄道は我々を裏切りません。それは、少佐も同じだ。」

「三河も、新潟からこの町へやって来て、我々と出会い、松宮さんと出会った。」

「ならば、少佐も長野へ行きエメラルダスに思いをぶつけてください。鉄路の彼方で出会い、そして、「鉄路の繋がり」を実証してください。これを実証出来るのは、少佐しかいないのです。」


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