連合艦隊
「三河氏へ。倉賀野貨物ターミナル機関車研修庫ニテ待機サレタシ。発、連合艦隊司令長官霧降要。」
今日は学校が早く終わった。
三河はクラスメイトや先輩達に囲まれて身動きが取れない状態だった。
「霧降長官。集合時刻ヲ大幅ニ遅レル可能性アリ。」
と、三河はメールを打った。
「この後どこ行くの?」
「ちょっとね。」
「ねえ。一緒に遊ばない?」
「一緒に帰ろう。」
三河は引っ張りまわされる。
「ゴメン。俺この後行かなきゃならない場所があるんだ。だから、今日は―。」
なんとか群集から脱出して倉賀野貨物ターミナルに向かう。
倉賀野貨物ターミナルに着くと、そこにはカメラを持った集団がいた。
集団のリーダーが三河に気付いた。
「三河氏か?」
「そうです。」
「群馬帝国帝都防衛連合艦隊第1艦隊指揮官、霧降要。階級少将。」
霧降が敬礼する。
三河も敬礼した。
「私は、第2隊指揮官、望月光男。」
「第4艦隊指揮官、三条神流。」
望月と三条も敬礼した。
「では早速、この場で腕を見せてもらおうか。」
霧降が言う。
三河がカメラを出そうとしたとき、同じ学校の女子達が来るのが見えた。
「霧降少将。場所を変えても良いでしょうか?」
「ダメだ。このターミナルはこっちからではないと安全に撮影できない。理由は察しが付くがな。」
「解りました。」
三条神流は一瞬考えた後、
「第4艦隊各艦に告ぐ。三河氏のセッティングを護衛セヨ。」
と言った。
「しかし、どうやって。」
と、第4艦隊の山崎一歩が言う。
「三河氏の姿を隠せ。」
「了解。」
女子の集団が通過していった。だが、一台の自転車が近くで止まる。
「そこにいるのは、三河君だよね。」
と、松宮芽衣子が言った。
三河は諦めて、松宮の方を見る。
「安心して、私もテツだから。」
と、松宮は言いながらFZ‐50コンパクトデジカメを見せた。
レンズキャップには、快速「SLみなかみ」のヘットマークのシールが付いていた。
「んなことやってねえで、来るよ。」
霧降が時計を見ていった。
「三河氏は、初めてだから三条の指揮下に入れ。」
「了解。」
こうして、三河の新たな生活が始まったのである。