電気配線
本来は休みの土曜日だが、三河と芽衣子はバイトの合間に学園祭の準備として倉賀野高校に登校する。
連合艦隊の霧降要と望月光男も一緒だった。
霧降は線路を持ってきて、望月は電気関係の配線を行う。
倉賀野高校の中庭ではステージの建設が行われ、講堂や体育館ではダンスや吹奏楽の練習が行われている。
どこの高校でも同じだが、女子高状態の高校に許可を得て資材を持ち込む霧降と望月は一瞬ひるんだ。
三河の案内で部室にたどり着き、中に入ると、芽衣子が必死にマニュアルを読んでいた。
「線路の敷設始めるぞ。」
と、霧降が言う。
「三河は留置線と回送線を。俺は本線を敷設する。」
「私はどうすればいい?」
芽衣子が三河に聞く。
「ポイントスイッチにナンバーシールを貼って。それで終わったらジオラマの線路地図のポイントと同じナンバーのポイントのコードをスイッチに接続させて。」
と、三河が答える。
「それはまだ早い。ポイントスイッチのシール貼りだけでいい。接続は敷設が終わってからやってくれ。」
霧降が訂正した。
「分かった。」
芽衣子が言う。
敷設が終わると、芽衣子と望月が電気関係の配線を行う。
しかし、三河にはそれが羨ましく、自分も作業に加わった。
「これは、私の仕事よ。」
と、芽衣子が言う。
「なんとなくな、大佐と芽衣子が二人で共同作業してんのが、羨ましくてな。」
芽衣子は三河の言葉に耳を疑い、霧降と望月も耳を疑った。
「勘違いするなよ。焼き餅焼いてんじゃねえ。羨ましいだけだ。」
と、三河は言った。
「何してんのよ。」
三条神流は倉賀野貨物ターミナルで水樹麗奈に言われる。
「別に。」
「軍国主義を謳っているクセして、実際は怖いんだね。」
「―。」
三条神流は実は女子が怖いのである。
理由は、どんないつ難癖を付けてくるか分らないし、殆どの場合、例え女子が悪くても三条神流のせいにされたからである。特に、倉賀野高校の女子にとって三条神流のように幼い顔をしている男は格好の獲物であり、いつ何をされるか分からないのだ。そして、見た目が劣る三条神流は、軍国主義を謳い、軍人のような鋭い目付きを覚えた。
そして、その勢いに乗って鉄道を追っていた。
「でもね。三河君に軍国主義を謳わせるのは無理ね。」
「何が言いたい。」
「軍国主義を謳うのも、ほどほどにしなさい。」
「―。」
水樹麗奈はメールをしてから、
「手伝いに行かないんだ。」
と言った。
「三河君と芽衣子と、霧降君と望月君は学校で鉄道模型のジオラマを作ってる。なのに、手伝いに行かないの?」
「―。」
「芽衣子は、三河君と付き合う代わりに、連合艦隊に入る事を考えているんだよ。その芽衣子にも、軍国主義を謳わせるつもり?」
旧日本軍の士官の制服のような服を着る三条神流は舌打ちをした。
「それで、俺が走り出せば、青春ドラマだ!だろ?くだらねえ。」
「そういって、部下を助けないの。」
「―。」
「最近ね。芽衣子と三河君仲良いよ。三河君は最初、嫌々芽衣子と付き合わせたけど、今は違う。本当に仲が良くって羨ましいよ。だから、芽衣子も連合艦隊に入って一緒に鉄道を追うって言い出すわ。それには、三条君と和解しなければ。」
三条神流は舌打ちをして、50ccバイクに跨り、倉賀野高校へ向かった。




