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とある鉄路の模型列車  作者: Kanra
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ペーパークラフト

 翌日から三河は、設計図をトレーシングペーパーに写し始める。

 放課後の作業だけでは間に合わない事を想定し、休み時間中にも作業をするが、やはりクラスの連中は何をしているのかと周りに集まってくる。

 その中には、学校でただ一人の男子として何かしてほしいと要求する者も居る。

 しかし、あまりにも細かい作業をしているため、彼女等に構っているひまも無く、相手もそれを察した。

 と言うより、芽衣子が止めたのだ。

 芽衣子も、三河にやらせては申しわけないと、作業をする。

 この日、休み時間と放課後を合わせてなんとか2本分のホームの設計図のトレースが終わった。

「後は、中線の島式ホーム2本ね。」

 と、学校帰りの道で芽衣子が言う。

 車椅子無しで歩けるようになった三河は、

「そうだ。」

 と答えた。

「大変よね。17両入るホームを1本は作ってくれって。」

「三条少佐のブルートレインだろう。」

「ああ。蒸気機関車が2両で引っ張ってた。」

「あんなもんEF66で牽引出来るんだけど、少佐にはこだわりってもんがあるからな。」

 三河は頭をかく。

 倉賀野貨物ターミナルの踏切で二人は別れる。

 三河は自宅でも設計図のトレースを行う。

 長大編成が入れるホームを作るのだから相当な時間がかかり、ようやく1本終わった時には夜中の0時だった。

 それでも、明日の作業や素人の芽衣子の負担を軽減させようと、更にもう1本トレースする。

 これが高崎第一高校であったなら、おそらく全作業を3日で終わらせてしまうだろう。しかし、倉賀野高校には2人しかメンバーは居ないため、相当な時間がかかる上、連合艦隊からの支援はあるものの線路敷設やコードの配線等は全て三河と芽衣子の二人でやるしかないのだ。

 しかし、さすがに眠くなり、仮眠を取る。

 目が覚めると、朝の6時だった。

 三河は朝食を取ると、学校に行くまで作業を続けた。

 だが、学校に行くと睡魔に襲われる。

「しっかりしろ!」

 と、周りの連中に言われながら授業を受けたが、放課後の作業時には限界になっていたため、自宅へ帰る。

 翌日、学校へ行くと、芽衣子がトレースを全て終わらせていた。


「全く。」

 と、霧降が言う。

「設計図なら俺達でやれんのに。」

 望月も言った。

「迷惑はかけたくない。って思ったんだろう。」

 三条神流は二人に言う。

 連合艦隊に、ペーパークラフトの部品の切り取りの要請が三河からあったのだ。

 餅は餅屋、と言うより人数が多い連合艦隊はあっという間に部品の切り取りを終えてしまった。

 切り取りを終えた部品が三河の元に届いた。

 これを元に、組み立てが始まる。

「組み立てを終えればこっちのもんだ。」

 と、三河は言いながら芽衣子と作業に取り掛かる。

 しかし、やはり1日で1本が限界であった。

 気がつくと、文化祭開始まで1週間に迫っていた。

 倉賀野高校は文化祭一色に染まっていた。

 だが、やはり女の子だらけの学校で、かわいらしい飾りつけや料理屋等が目立つ。

 そんな中で、三河と芽衣子は土木工事でもしているかのような雰囲気であった。

「疲れるね。」

 と、芽衣子が言う。

「そうだな。でも、苦労しないといいものは出来ないんだよ。」

「そうね。頑張らないと。」

 ようやくホームの組み立てが終わり、今度は線路の敷設である。

 線路はKATOの複線プレート線路とTomixの線路を使用する。

 だが、線路のほとんどが連合艦隊から送られてきていないため、設置できる場所だけ設置する。

 芽衣子は高架駅の組み立てをする。 

 デカールがすでに貼られていたため、中古品で通常の半分以下の価格で購入できた。

 高架橋と橋脚を接続し、高架橋どうしを繋いでホームを設置し、線路を敷設する。

 そんな芽衣子を見た三河は、芽衣子が真剣にやっているので一瞬見とれたが、すぐに作業に戻る。

 しかし、出会った時から、芽衣子は三河と二人の時は周りの連中のようにちょっかいを出したりしないし、最近では集団レイプを止めたりすることもある。

だが、先日彼女一人にレイプされた時は、足の付け根の痺れが収まらず、車椅子生活を余儀なくされた。

なのに、なぜか最近は芽衣子の事を考える事もある三河。

(何を考えているんだ!)

 と、三河は自分の頭に拳骨をする。


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