もう一度
三河は倉賀野貨物ターミナルで抗議から戻る三条神流達と合流した。
「どうでした?」
「みんなあっけにとられていたよ。」
三条神流が言う。
「しかし、霧降少将ようやりますな。空吹かししながら突撃とは。」
望月が笑った。
「私は行かなくて良かったのでしょうか。」
と、三河が言うのは、三河も抗議に参加しようとしたが、三条神流に「来るな」と言われたからである。
「大丈夫さ。それに、お前が一緒にいたんじゃ俺達も集団レイプされるかもしれないからな。」
と、三条神流が言う。
「そんじゃ、帰るから。」
と、霧降が言い、3人は帰っていった。
三河は自宅への道を、自転車を転がして歩く。
遠くから、倉賀野高校の女子が数人来るのが見えた。
それが、三河のクラスの者だと気が付いた時、三河は自転車にまたがって振り切ろうとした。
「逃げないでよ!」
と、水樹麗奈が道を塞ぐ。
「どけ!邪魔だ!」
三河は怒鳴る。
「芽衣子が会いたがっている。今度は、逃げることなく、ちゃんと向き合いなさい。」
三河は舌打ちをした。
そこへ、芽衣子がやって来た。
「ちゃんと抑えといたから。」
「うん。ゴメンこんなことさせて。」
「後は二人で。」
と言うと、芽衣子以外の者は帰ってしまった。
「くだらねえ。言っておくが、付き合い始めたからって鉄道マニアを辞めるつもりはない。新潟で俺は孤立していた。そんな俺に夢をくれたからな。新潟貨物ターミナルで見た貨物列車がな。「この列車は遠い町を目指して行く。その途中にはどんなドラマが待っているんだろう。」って。いつかそんな旅に出たいって思っているうちに鉄道マニアになり、特に列車を牽引する機関車に惹かれた。群馬に来たら、高校で孤立しているが、鉄道って共通点を持つ連合艦隊が迎えてくれた。だから俺は鉄道から離れるつもりはない。」
三河は言うと、帰路につく。
「それでも、私は三河君が好き。友達としてではなく、遊び相手としてでもない。愛する人として。」
芽衣子が言ったが、またも列車の音にかき消されてしまった。
DE10に牽引されたタキ1000が芽衣子の横で停車した。
「ここじゃなくって、もう少し静かなところへ行かないと、伝わらない。どんどん離れていってしまう。」
芽衣子は溜め息をついた。