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とある鉄路の模型列車  作者: Kanra
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上り列車

「ちっ!曇りやがった!」

 霧降が言う。

 上りのSLが来たがその直後に太陽が雲に隠れて暗くなってしまった。

 マニュアルで撮影する者は慌てて露出を変更する。

「ちっ!オートフォーカスに変更しよう。」

 三条神流と三河はマニュアルからオートフォーカスに変更して撮影に挑む。

 シャッター音が響きわたる。

 列車は通過した。

「ダメだ!露出失敗した。」

 と、霧降と望月が言う。

「なんとか、俺と三河はうまくいったが―。」

 三条神流は言うが納得できないようだ。

「右に同じです。」

 三河も肩を落とす。

 芽衣子は溜め息をついた。

「まあ、こんなこともあるんだよ。最後は運任せだ。」

 と、三河は芽衣子に言った。

「自然相手に文句言っても仕方がない。ほら。」

 三条神流が言ったとき、太陽が雲から出てきて、赤城山が夕日に照らされていた。

「人が直前乱入したらキレるけど、自然相手なら諦めが付く。」

 三河は言う。

「さて、帰るかな。」

 霧降が言った。

「おつかれさん。」

「どっかで打ち上げやるか?」

「打ち上げ?高崎のマックか吉野家でならいいぜ。」

「マックなら、包食チケットあるぜ。700円でポテトL二つとナゲット二つだ。」

「俺もあるぜ同じ奴。よし。マックで打ち上げだ。」

 等と話しながら渋川駅に向かうと、ちょうど停車していたSLが発車するところだった。

 この後来た普通列車で高崎に戻ると、ファーストフード店で今日の打ち上げをやり、三河と芽衣子が帰路についたのは20時だった。

 八高線で倉賀野駅に帰ってきた後、駐輪場に止めていた自転車で家路を急ぐ。

 倉賀野貨物ターミナルの脇を走る公道で、二人は別れるのだがその時、芽衣子は、

「今度は二人で出かけてもいい?」

 と聞いた。

「それは今後の様子にもよるね。」

「そう。」

「なんで二人で行きたいんだ?」

「それは―。」

 芽衣子が言葉に詰まる。

 別れる所に来た。

「じゃあな。月曜日学校でな。」

 と言う三河に、

「三河君の事が好きだから!」

 と、芽衣子は言ったがその声は鳴り出した踏切の音と、DE10の汽笛でかき消されてしまった。


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