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とある鉄路の模型列車  作者: Kanra
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上越線

 高崎駅に集結した連合艦隊は、オブザーバーとして松宮芽衣子を従えて出撃する。

 といっても、前半は第1、第2、第4の3分隊に別れて行動する。

「上越線は登りが下り。降りが上り。」と言われ、高崎から水上を目指すSL列車は、水上行き下り列車が谷川岳の麓の駅である水上まで登り勾配を登っていくため、煙を沢山吐く事が多いのだが、逆に高崎へ戻る上り列車は降り坂なのであまり煙は出ない。このため、上越線で撮影を行う場合、下り列車は各分隊に別れて撮影をし、上り列車は艦隊を集結させ一箇所で狙うのだ。

 三条神流率いる第4艦隊に、三河と芽衣子が加わる。

「出来れば、空中撮影が出来ればいいんだがな。」

 と、三条神流が溜め息をついて言う。

 三条神流は空中撮影を行う技術を持っていたのだが、先日破壊されてしまったのだ。

 第4艦隊は立体駐車場で高崎駅発車を狙う。

「ボッ!」と汽笛が聞こえ、C61とC58の重連が牽引する「SL重連レトロみなかみ」が高崎駅に入線する。

「内田大尉は山崎中尉と萬野中尉と共に上に上がれ。三河准尉は俺とここから狙え。」

「私はどうすればいい?」

 と、芽衣子が聞く。

「その辺のオタクでもナンパしてな。」

 萬野が言い放つ。

「おい萬野!」

 内田が怒鳴った。

「松宮もこの位置から狙ってみろ。」

 三条神流は言う。

 発車時刻になり、列車は汽笛と共に高崎駅を発車する。

 列車の発車を抑えると、

「総員、装備を確認した後高崎駅へ走れ!」 

 と、三条神流が言い、第4艦隊は高崎駅へ走る。

 この後発車する上越線の普通列車でSLを追跡するのだ。

 この普通列車に乗ると、渋川駅でSLを追い抜くことが出来るため、渋川より南で撮影した後、この列車に乗って渋川より北へ行けば、SLを二回撮影出来るのだ。

 皆が走るのは、座席の確保のためで、第4艦隊はどうにかクロスシートを確保したが、芽衣子の分まで確保できなかったため、芽衣子は通路に立つことになった。

 普通列車は発車する。

 停車駅ごとに、乗客を拾っていくが、ほとんどが鉄道マニアだ。

 井野駅から霧降率いる第1艦隊が乗車してきた。

 群馬総社駅で、第2艦隊も乗車する。


「ボーッボッボッ!」

 重連のSLが絶気合図を交わして第4艦隊の横を通過した。

 第4艦隊は、後関―上牧間にある公民館の駐車場から列車を撮影した。

「第1艦隊、松田少佐より入電「全艦隊、渋川―敷島間ノ大正橋へ集結シ列車ヲシトメル。」以上です。」

 と、内田が言う。

「了解。返信「コレヨリ大正橋へ向カフ。」」

 第4艦隊は、上牧駅へ向い、高崎行きの上り普通列車を待つ。

 やって来たのは107系だった。

 ロングシートの車両だが、快適である。

「渋川でお昼?」

 と、芽衣子が聞く。

「違う。撮影する場所で場所取りする。」

 三条神流が答える。

「なら、お昼どうするの?」

「近くにビニコンあるから、そこでコンビニ弁当でも買って食うんだな。それから、炎天下で3時間近く待つ。でないと、人気の撮影地では撮影できないんだ。」

「マジで?」

 芽衣子が驚く。

「俺達は命懸けでやってんだ。生半可にやってるって舐めてかかってる松井玲奈みたいなクズ鉄娘は、さっさと帰りな。」

 萬野がまたヤジを飛ばす。

「クズ鉄って。」

 芽衣子が溜め息をつく。

「なんだ?文句あるのか?」

「止めろ!」

 三条神流が怒鳴る。

「確かに、松井玲奈や鉄道BIG4みたいなクズ鉄はさっさと死んでもらいたい。だが、それを松宮さんにぶつけるのは間違っている。言いたいことがあるなら、直接言え。」

「しかし、少佐だって倉賀野の女子に悪口言っていたじゃないですか。」

「相手は倉賀野高校の奴だったから、倉賀野高校の奴に言いたいことを言ったんだ。だが、今のお前は倉賀野高校の奴に言ったつもりがクズ鉄全員の悪口を松宮さんにぶつけた。これはやってはいけない行為だ。」

 萬野も、連合艦隊に入って間もないため、つい言いたいことをぶつけてしまったり、連合艦隊のルールを破ったりしてしまう事があるため、三条神流は萬野にも指導しているのだ。


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