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とある鉄路の模型列車  作者: Kanra
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下士官

 連合艦隊の三河を除く全メンバーは高崎第一高校に通っている。

 ここは、どちらかというと男子の比率が高いがそれでも、男子が3に対し女子1という具合である。

 夏も近付くが、エアコン完備の教室で快適に授業を受ける。

「今年の文化祭は、三河准尉率いる倉賀野高校鉄道研究部との合同展示って事になったが、さすがに準備に連中をここに呼ぶわけに行かないか。」

 と、霧降が言う。

「それから、内田の提案だが去年はただ走らせるだけじゃつまらないって言われたから解説をつけろってね。」

 望月が内田弘を見る。

「お前が持ってる253系NEXが悪いんじゃね?群馬を走ってないから。」

「そりゃそうかもしれんが、電車に興味ねえ奴が多いのに、ただ電車走らせてるだけじゃつまらないだろ。ここは鉄道高校じゃないんだから。」

 内田が言い返す。

 三条神流はC62重連のブルートレインを整備しながら、

「三河准尉は、倉賀野高校の女とそういう形式でやろうって言ってるぜ。」

 と言った。

「じゃあ聞くけど、俺がB777‐200とB767‐300の違い言えって言ったら答えられるか?」

 内田が言うが、それに答えられる者は居なかった。

「これと同じだ。」

「まあ、演出はどうあれせめてジオラマで走る列車の解説は行うべきだろう。」

 三条神流が言う。

「じゃあどうやるんだ?」

「それを、みんなで意見出しあって決めようってことさ。」

 と、三条神流は言った。

「いちいち口でゴチャゴチャ言うのはメンドクセエぜ。」

 と、津田一馬が言った。

「俺も同感。俺、靴屋でバイトしてんだけど、こっちが作業してるときに客に話しかけられると怒鳴りたくなる。「作業してんだよ!」って。」

 と、照月が言った。

「wordでパンフ作って、走ってる車両の解説付けて、更にチェックリスト作ってこの車両見つけたらいいことが起きるって―。」

「んなもん売れるわけねえだろうが。それやって楽しいのは、幼稚園児だよ。」

 内田が言った。

「ならさ、三河准尉を文化祭に呼べばいい。それで三河准尉にやらせてみようじゃねえか。」

 三条神流が冗談交じりで言ったが、それに皆が賛同してしまった。

(おい。お前らシャレってもんが解らねえのかよ。)

 三条神流は溜め息をついた。


 三条神流は内田弘と共に、三河に高崎第一高校の文化祭における鉄道模型の解説を依頼しに行った。

「どうも上の奴は嫌がってなあ。」

 と、内田が言う。

「仕方ありませんよ。私は准尉。士官では無く下士官ですから。」

 と、三条神流は言う。

「しかし、待遇ももう少し良いといいんだがな。俺と同じ尉官だぜ。」

 内田が言う。内田の階級は大尉で三河と同じ尉官である。

「ですが、幹部や士官になるのは准尉より一つ上の少尉からですから。仕方ありません。」

「それで、やるのかやらないのか?」

 三条神流が言う。

「やります。どのみち、倉賀野高校では私が解説するのですから。」

 と、三河は言った。

「分かった。走行させる列車が決まったら知らせる。それに合わせて原稿を作ってくれ。」

「私も、新潟色の115系と「ばんえつ物語」を走行させます。」

「ああ。お前、新潟生まれだからな。ただ、霧降達はマニアックな車両走らせるつもりだ。」

「まあ、解説するので大丈夫でしょう。」

「俺も解説やるよ。お前一人に押し付けたら、負担が大きいからな。」

 三条神流は言う。

「後、連合艦隊の夏の行動予定だ。来られるようなら来な。」

 三条神流と内田弘は連合艦隊の行動予定表を渡すと、帰っていった。

「長野へ行くのはいつだ?」

 と、内田が三条神流に聞く。

「8月20日から21日だ。」

「クイーンエメラルダスには?」

「会うさ。だが、好きだって言うわけ無いだろう。彼氏いるのに。」

「なら、なぜ会いに行くのだ?」

「分らない。ただ、会いたいから行くだけさ。」

 


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