エピローグ2 冒険者ギルド
喰鹿を討伐した、次の日の夜。
透は娘の瞳月に重大な話があるといい、リビングで向かい合っていた。そして、いきなり彼は要件を告げた。
「この島を出る」
その言葉に瞳月は驚く。
「え?」
「この島は、お前の母さんの故郷だった。だから、ここに止まってた。だが、うじうじここにいるのはやめだ」
透はそう言って、瞳月を見る。
「オレは、もう一度陰陽師として……天才として生きる。オレは昔のオレに戻る。いや、超える。だから、ここから出る」
透の声には、かつての決意が戻っていた。
「お前もついてこい」
瞳月は父を見た。その目には驚きと、そして喜びが浮かんでいた。
「……パパ、本気なの?」
「ああ。本気だ」
瞳月は笑った。自信に満ち溢れ、エネルギーを放ち続ける父親を見て、嬉しくなったのだろう。
「なら、あーしもついていく。祈も出るとか言ってたし」
瞳月は同意をする。彼女が一切止めようともせず、付いてきてくれる。透はそれが何より嬉しかった。
「……ありがとな」
「いいよ。でも、急に何で移住? あと場所はどこ? まぁ、大体想像はつくけど」
「あぁ、実は今日の昼間に黎明達が訪ねてきたんだ。そこで……」
──ここから、少したち、彼らは島を出ることになる。そして、影森町に移住することになる。
◾️
──同日、透が瞳月に説明する数時間前。
黎明は透の家を訪れていた。そこには、詩、蓮、紅もいる。志乃は祈を探しに、一人で島を探索している。
なので四人で訪れた。透の家は決して広くはない。だが、家族が暮らすには十分な大きさだった。
リビングには、透と黎明、そして詩、蓮、紅が座っていた。
「で、全員そろって、何の話だ?」
透が缶ビールを飲みながら聞いた。だが、その目には以前のような虚ろさはなかった。
「ああ、黎明がお前に是非とも話したいことがあるといってな……。私達はただ、つきそってきた感じだな」
「ほう」
「おじさんの能力のことが気になってね」
「オレの?」
黎明はにこにこと笑いながら答えた。
「ステータスが見れる【スキル】があるんでしょ?」
透は少し眉をひそめた。
「……スキル? ステータス?」
「相手の力を数値で見れるんでしょ? MPと攻撃、防御、速さ」
黎明はそう言って、透を見た。そして、透もそれを言われてようやく、自身の【霊眼】の話であると気づいた。
「俺には、それができないんだよね。なんとなく相手のMP量は分かるけど、それが数値としてはわからないんだよ。自分を百としてその割合を推測くらい」
「……いや、それでも十分やばいだろ。相手の霊力を感覚で完全に掴むのは」
透は二重の意味で驚いた。自分のこの眼は黎明でも再現ができないこと。そして、黎明が相手の霊力をほぼ全部把握できる感覚を身につけていることに。
ただ、前者については当然なのである。そもそも透は天賦者という存在なのだ。これは志乃と同じで特別な霊力を持つ人間の総称。宿る特別な霊力は天賦と呼ぶこともある。
透の場合は彼の眼に、相手の能力を数値として表す霊力が宿っている。その眼を彼は【霊眼】と呼ぶに過ぎない。
これは術とは違い、固有の能力。つまり、他人には模倣されることがない唯一無二の才能なのだ。
だからこそ、黎明でも数値としては見れることがない。
(天賦まで模倣は不可能ってことか。ただ、こいつの場合、肌感覚で相手の霊力を感知できるってわけか。ありえねぇぞ? 普通、ざっくりとした量しかわからないだろ。自分を基準にして、割合まで掴めるか? それにこいつなら細分化してかなり把握できてそうだが)
(いや、感覚としては多い少ないが分かるが。具体的に細分化する前の基準が分からないってことか。どれくらいが10で、どこまでが20なのか。確かにその基準は作るのが難しい。オレの眼が数値として測れるのであればその基準を使いたいということか)
透の考えの通り、黎明は感知に優れているが霊力の量を数値としては表すことができない。どう基準にしていいかわかっていない。知ることも難しい。ただ、膨大な時間をかければ黎明ならば辿り着くことはできるだろう。
しかし、それは黎明の中の基準であってそれを他者に教えるのは不可能。
それゆえに、数値としてみれる彼の能力を評価しているのだ。
「なるほど。お前ほどの化け物が、できないのか?」
「うん。俺は感覚でしか分からない。強いか弱いか、MPがどれくらいあるか。でも、数値では見えない」
「そうか」
黎明はそう言って、わくわくした眼で透を見ていた。
「だから、おじさんの能力は本当にすごいと思う」
透は黎明の言葉を聞いて、内心で驚く。
(オレの能力を、こいつが評価してるのか……? こいつほどの存在がな)
透にとって、霊眼はただの便利な能力に過ぎなかった。だが、黎明はそれを高く評価している。
それが透には少し嬉しかった。だが、表には出さない。その理由はちょっと恥ずかしいからだ。
「……まぁ、天才だからな。オレは」
透はそう話した。彼は自分が天才であることを思い出していた。それ故に傲慢な態度も現れていた。いや、昔のように戻っていたと言うほうが正しい。
彼は昔はこのように傲慢だったのだ。
「おじさんの能力があれば、みんなのステータスが分かるようになるんだよね」
黎明はそう言って、笑った。
「おじさんが人間の数値を測って、それを俺に教えてくれれば、俺も感覚で相手のMPを数値で理解できるようになる」
透は黎明の言葉を聞いて考えた。だがしかし、理解できなかった。何を言っているのか訳がわからないのだ。
「……どういうことだ」
「例えば、おじさんが誰かのMPを測って『この人は霊力50』って教えてくれる。そうすれば、俺もその人のMPを感じて『ああ、このくらいのMPが50なんだ』って基準が分かる」
黎明はそう説明した。
「今までは、どのくらいがどれくらいの数値なのか、基準が分からなかった。でも、おじさんのステータス鑑定眼があれば、それが分かるようになる」
「そんな名前じゃねぇ……オレのひと眼は。まぁ、いいが。それとお前、霊力をMPとか、術を魔法とかって呼ぶのは何故だ?」
「それが正式名称みたいなもんだからかな? 俺からするとなんで、MPを霊力って呼ぶのか、魔法を術で呼ぶのって聞きたい」
そこで、ようやく透は黎明の言葉を理解する。こいつは単純にイカれていると。
「なるほどな。イカれてやがる」
「まぁ、まともな感覚だと冒険はできないしね」
「否定しないのか。いや、それが強さの理由か」
「話を戻すけど、攻撃とか防御は難しいけど。取り敢えずMPだけでもステータスがわかるようになれば嬉しいよね。それに追々は全員が自分のステータスは軽く分かるようなシステムを作りたい」
「システム……? そもそも天賦ってのは、そんな簡単に作ったり、移せるもんじゃねえぞ」
「そう? でもまあ、やってみてもいいんじゃないかなって。出来る気もするし」
「……そうかい。今更だが常識を一切気にしてないのはよく分かったよ」
(……改めて、とんでもねえイカれた発想をするやつだ。天賦をシステム化……?何いってやがんだこいつは。だが、こういうやつだからこそ、ここまで強くなったんだろうな)
黎明は不可能に近いことを、にこにこと笑いながら語る。だが、黎明ならばそういうのも出来るかもしれない。そう思わせる謎の説得力があった。
また、隣の詩は黎明の話を聞いて、頷いた。
(なるほど。透の霊眼があれば、敵の強さを正確に把握できる。それは、戦略を立てる上で非常に有利だ)
(黎明は他とは比べ物にならない感知が可能。しかし、それは黎明ならば出来るだけ。私を含め、この場に居る全員には無理だろう。だからこそ、その補填というわけではないが、黎明に少しでも追いつくのには欲しい天賦だ)
(ただ……実際にそれがシステム化? 出来るかは別の話になるだろうがな)
そして、その話を聞いていた蓮も興味深そうに言った。それについては紅も同意をする。
「確かに。MP、攻撃、防御、素早さの量が分かれば、どれくらいの魔法を使えるか予測できる」
「霊力、剛、迅、堅も分かれば、相手の攻撃力、速さ、防御力が数値で分かる。それは、すごく便利と言いたいわけね」
蓮が言った言葉は黎明の基準での言葉であるので、紅がそれを修正する。そして、透は三人の話を聞いて、少し考えた。
(ステータスとか言ってやがるな。そんなゲームみたいなのがこの世界にあるのかどうかは知らんが。黎明はオレの眼に映る【基準】を欲しがってるわけか)
実際には、この世界にステータスなど存在しない。透の霊眼は、相手の能力を数値化して見ることができるという、ただそれだけの能力だ。
だが、黎明はそれを「ステータス」と呼んでいる。まるで、ゲームのように。そして、それをゲームから逆輸入するようなことを考えているのだ。
(……こいつは、怪異と戦うのをゲームとかと勘違いしてるのか)
透はそう思った。そのまま黎明をもう一度見据える。
(クク、マジで今まで出会った中で、怪異も含めて《《ぶっちぎりでイカれてやがる》》)
(だが、これが勇者か。枠の中にいちゃ、まともでいたんじゃ、突き抜けは無理)
心の中で、笑いながら透はもう一度黎明の眼を見つめる。黒い瞳がじっと、彼を見つめ返す。
「……オレも、冒険についていきたい。それでもいいなら、そのステータス構築に手を貸す」
透の言葉、黎明は目を輝かせた。
「本当?」
「ああ」
透は頷いた。
「オレも、お前を見てて冒険をしたくなった。こんな歳だがな」
「あんまり年齢は関係ないと思うけどね。俺の昔の仲間に冴島唐一郎って居たけど、76歳だったよ」
冴島唐一郎とは、黎明が前世でやっていたブレイブクエストというゲームに出てくる、おじいちゃんキャラである。
76歳で、年老いた見た目のキャラ。しかし、剣の達人であり、攻撃力が高いという特徴を持っていた。また語彙力が高く言い回しがスタイリッシュな一面もある。
黎明は結構そのキャラが好きで、冒険にはたびたび連れて行くこともあった。
ただ、それを透が気づくわけがない。単純に世の中にはとんでもない化け物が他にもいるのかもしれないと、深読みしただけである。
「……そうか。76歳か、そう考えると、41歳のオレも、まだ若いんだなオレは」
「いや、若くはないと思う、おじさんだね」
「……おい」
改めて、真っ向からおじさんと言われて、透は少しだけ怪訝な顔をする。しかし、すぐさま顔を切り替え、缶ビールを置いた。
「まぁ、天才だからな。年齢なんてひっくり返してやるよ」
黎明は少し感心したような顔をし、透に手を差し伸べた。
「お、いいね。おじさんなのは間違いないけど、年齢なんて関係ないのは完全に同意。それじゃ、一緒に冒険しよう」
差し出された手を透は握る。
「……ああ」
「──おじさんが仲間になった!」
「……せめて透って言えよ。おじさんが仲間になったって」
透は少しおじさんと連呼されて、苦味を噛み潰したような表情を浮かべる。しかし、新たな仲間と呼ばれ、嬉しそうでもあった。
「さて、おじさん。早速、ステータス鑑定眼についてだけど」
「だから、そんな名前じゃねぇ」
「それをシステム化したいからさ」
「ああ、そんなこといってたな。どうするってんだ?」
天賦のシステム化。あるいは共有化。そんな事を考えたこともない透は、当然の疑問を投げつける。
すると、黎明はこともなげにとんでもない事を言い放った。
「あんま我儘言わないけど……」
「ああ」
「片目とかくれない? くり出して、回復魔法かけたら修復できると思うし」
──透の時が止まった。
というか、流石に周りの詩や双子も固まっていた。
「……は?は?はあああああ??? え、あ、いや……マジでお前、イカれてやがるだろ」
「え、だって協力してくれるって」
「いや、いったがそれはそれだろ!お前、誰にでもそんな要求してんのか!」
「いやー、誰にでもはいわないよ。ただ、おじさんは助けた時、なんか命とか賭けてやってたっぽいし。…… 多少の痛みは我慢できる人なのかなーと、そうみえたから」
「……(絶句)」
黎明は逆になぜ協力を拒むのか? と疑問的な顔をするが、透はドン引きしたような顔で返す。
「それに現時点でステータス分かるのは、おじさんとその娘の瞳月だけだし」
「オレの娘にそんなことしたらマジで許さないからな」
「あー、瞳月のステータス測定はおじさんより、劣るからしないよ。俺が頼むはおじさんだけ」
「そうか、なら安心……いや、オレでもしようとするなよ」
いくらなんでも、目玉をくり出されるのは絶対に無理だ。
そもそも目玉くり抜いて天賦って維持できんのかよという思いもある。
失敗したら無駄死に……ではないが、無駄痛みであるからして。
それにそんなことができるなら、成功の逸話も残ってそうだし、聞いたことがないのでそういうことではないのか。だがその反面で、過去例がないだけでこいつなら出来るかも、いや、出来てしまうかもという恐怖も湧いてくる。
とりあえず、出来る出来ないはおいておいて、話を続けることにした。
「そもそも、なんでオレの眼が欲しい?」
「そりゃ、誰でもステータスが見れるようになればモンスターとの戦いも安心するでしょ。それに、自分の成長が小刻みに見えるのも楽しくない? レベル上げの楽しさの基本だと思うんだよねえ」
「一個で全員が見れるようになるのか? まさか、何回も取り出させるつもりか? いや一回でも嫌だけどな」
「何回も頼まないよ、一回だけ。その眼を上手い具合に改良するとか、くり出した眼を半分にさらに割って、両方を回復魔法で治癒して二つにするとかして量産するイメージかな」
黎明の回復技術であれば、眼を二つに割いてそれぞれを回復させて完全な眼に戻すことは朝飯前。一個の眼を半分にし、それぞれを回復させて二個にするという常軌を逸した考えに透は、さらにドン引きした顔になる。
「マジでイカれてるだろ、お前。常識から外し過ぎだ」
「まぁ、これも一つの冒険……かな?」
「うるせぇよ」
「それで、どう?」
「……いや、眼球は流石にな」
やはり、一回だとしても眼を取り出すことには抵抗があるのが当然なのだ。だがしかし、透は黎明には恩があるのも事実。
だとしても、だとしても……抵抗はあるのだ。
「あぁ、ちょっと考えさせてくれ」
「明日くらいまででいい?」
「もうちょっとさせてくれよ。あとだな。もう少し、お前の考えを聞きたい。最終的にはその眼を量産して、陰陽師に配るイメージでいいのか?」
「あー、その陰陽師っていうのがあんまりピンと来ないんだよね。俺はそもそも冒険者向けにやりたい感じというか。だから、イメージとしては冒険者のための道具の一個の感じ」
──冒険者のための道具
黎明がよく使う【冒険者】という言葉。そこに対して完璧な理解を透は持っているわけではない。
だからこそ、そこに対してもっと深く知りたいと彼は思っていた。
「冒険者、それがそもそも分からん」
「職業だね。陰陽師も職業でしょ」
「……そういう仕事、定職があるのか?」
「あー、いや、職業とは言ってもそれぞれが出来ることみたいな。ほら、俺の場合は勇者だし」
「……ゲームの職業のイメージか」
「そうそう。やっぱり、冒険者! そして冒険者が集うギルド! これはモンスターがいる世界なら、定番だと思うんだよねぇ」
それを聞いて、透の頭の中では情報が混濁していた。そもそもゲームの基準を現実に持ってきていることがおかしいのだが、しかし、黎明ならば何か考えがあるのではないかと頭を回し続けた。
(こいつ、どこまで頭がイカれてるんだ? いや、もう大分常識から外れてるのは知ってるが……ただ、元々あった陰陽師という形態から逸脱をしているのは事実。封印しかできない陰陽師という存在。だが、こいつは怪異を、モンスターと定義を変え、倒せる存在として認識している)
(元々は倒せるわけがない。そう思っていたが現実はどうだ? 常識の外側から来た黎明が来たことで、《《認識が変わり始めている。怪異とは倒せるのだと》》)
(この認識の転換こそが、黎明の狙いなのか?)
(人間の恐怖が集合体となったのが怪異。だが、根幹は大昔からある妖怪の伝説、そもそもが創作だろう)
(神も同じだ。神が居るから神話ができたのではなく、神話があったからこそ、その嘘の逸話によって人間の信仰が集まり現界した。怪異も元は怪談などから、それに恐怖を覚えたからこそ生まれたと言える)
(その認識をそもそも変えれば……神も怪異も、良くも悪くも《《人間の思い込み》》。だとするなら、こいつの言うゲームの感覚を陰陽界に持ち込むのは……なにもおかしい話じゃない)
(《《この世界にはゲームのようにモンスターが存在し、それを人間は倒すことができる》》。そう、新たな定義をこの世界に持ち込む)
(これには、一定の筋が通っているようにさえ見える)
(まさか、こいつはそこまで見越している可能性も……?)
ハッと思い至り黎明を見据える透。黎明の瞳はいつもと変わらず軽い。だからこそ、その真意を彼は知ることはできない。
「……冒険者ね。なるほどな。ようやくお前のやりたいことが分かってきた気がする。《《新たな定義を、世界に持ちこむ》》。それがお前の目的ということだな?」
「……ん? まぁ、そうなのかな?」
「くく、なるほどな。常識から外れるだけなく、自分の考えを新たな常識とするとはな。恐れ入った……」
「あ、そう?」
黎明は、おじさんが何か言ってる。よく分からないなぁ、と思っていたが口に出すことはしなかった。
「あぁ、そのスケールの大きさには驚くしかねぇ。更に聞くが黎明、お前は次に何をするつもりだ」
「この次? うーん、まぁボス巡りして経験値稼いだりするかな。それとそろそろ一回実家に戻ろうかなって。じーちゃんとばーちゃんをそろそろ救えそうな気がするし。あとは……さっきいった、冒険者ギルド作ったりかな?」
「全て聞きたいが、一旦、冒険者ギルドについて聞きたい」
「この世界は冒険者ギルドがないんだよね。やっぱりギルドは必要だと思うなぁ、転職とかしたり、仲間を集めたり、モンスターを倒したり報酬をもらったりさ」
【冒険者ギルド】、ゲームでは存在するがこの世界には存在するわけがない。しかし、黎明はそれをこの世界にさらに持ち込もうとしていた。
(なるほどな。確かに今後、陰陽師を消し、冒険者が台頭するとなればその活動には金が必要となるだろう。ゲーム的な職業ではなく、仕事として職業とするなら金は必須。事務的な手続きも多少は必要となる)
(その受け皿というわけか。それに名前もキャッチーで軽そうだな。これも認識の転換を兼ねていると考えるべきだろう)
透は頭の中で色々と考えているが、黎明は単純に思いついたことを言っているだけである。
しかし、それで結果を出してきたのが黎明という男なのだ。
「……分かった。ただ眼についてはちと置いとかせてくれ。他は、オレも、お前の考えに乗らせてもらう」
「あ、冒険者ギルドとかは手伝ってくれる感じ?」
「あぁ、無論だ」
「あ、そう。それならお願いしようかな。受付とかできそう?」
「いや、オレはなるべく怪異を、いやモンスターを倒す方がいいからな。なるべくならそっちにまわしてほしいね」
「あ、そう。それでも嬉しいね、お願い」
そう言って、黎明と透は再度手を交わす。
規格外と、天才。
誰も注目していなかった離島で、世界を変える出会いが生まれた。
その二人が交わるその姿は、新しい時代の夜明けをこの場にいるものに感じさせたのだった。




