スヴェント王国
あれから二日が経過した。
「まさかこんなにかかるなんて・・・完全に舐めてたわ。」
私は今、スヴェント王国の門の前にいる。
本当に遠かった。
「お嬢ちゃん、身分証はあるかい?」
私が門に近づくと門番らしき人が声をかけてきた。
「身分証?いいえ、ありません。」
「そうかい?なら銀貨3枚で通行を許可するよ。」
私は門番に銀貨3枚を渡した。
「お嬢ちゃんは何をしにここへ来たんだい?」
「えっと・・・」
周りの人になんて言うか考えてなかった。
勇者への復讐なんて言ったら即アウトだしなぁ・・・
「ただの観光ですよ。しばらくしたら他の王国へも行くつもりです。」
一番無難な返答をしたつもりだ。
「なるほど、それなら形だけでもハンター登録してたらどうだい?登録したら貰えるハンターカードは身分証の代わりにもなるから王国への入国も自由になるよ。」
「分かりました。ありがとうございます。」
一応、後で作ってみようかな。
そう思いながら私は門をくぐった。
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「うわぁ、広ーい。」
王国に入ってすぐ、私が思った感想だった。
住んでいた村の倍以上の面積は余裕であるだろう。
王国というだけあって、建物も比にならないほど多い。
「とりあえず散策でもしましょうかね。」
まだ太陽は真上に昇っている。
少しくらいゆっくりしたって問題ないだろう。
私は近場の店から順番にまわって行った。
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一通りまわり終えると太陽はほとんど沈んでしまっていて店じまいを始めだした所がちらほら出てきた。
「さて、次はハンター登録しに行きましょうかね。」
ハンター登録が出来るギルドの場所はさっきの散策で把握している。
「いや、先に宿屋をとった方がいいか。流石にお風呂とか入りたいし。」
私は近くにあった宿屋に向かった。
「いらっしゃいませー!」
私が入るとカウンターから可愛らしい声が響いた。
見ると十歳くらいの少女がカウンター当番をしていた。
この宿は一階が食堂で二階が部屋になってるようだ?
「一人なんだけど、部屋は空いてます?」
「はい!空いてますよ!どのくらい宿泊する予定ですか?」
「とりあえず今日一泊だけで。」
「分かりました!一泊の食事付きで銀貨十枚、食事無しで銀貨七枚ですがどちらにします?」
「食事付きでお願いします。」
私は、銀貨十枚を渡した。
「では、私に付いてきてください!」
少女はさっさと階段を上がっていく。
案内された部屋に入るとあまり広い部屋ではないが、風呂付きでなかなか快適な部屋だった。
私は、昼からなにもたべていない何も食べていないことを思い出したので夕食をとることにした。
この宿の夕食は豪華なものでは無かったが味付けや工夫がされていてとても美味しかった。
結局、その後はまた外に出る気になれずさっさとお風呂に入った後、そのまま眠りについた。