序 あるいは最後の光景
時の経過を数えるのをやめてから、どのくらい経ったのか。
そもそも普段は目を閉じるようになってしまっているので、時間経過はもう全く分からない。
だから、久しぶりに目を開けるという行為をしたのは、ほんの気まぐれだった。
その、久しぶりに飛び込んできた明るさに、思わず目を閉じ――それからゆっくりと開く。
どうやら、ちょうど、明るい面を見れるタイミングだったらしい。
(見飽きたという気もしてくるが――何度見てもやはり、美しいな)
青い輝きと、それに混じる美しい白い模様。
そして――時折見える茶色、あるいは緑のコントラストは、自然のものでありながら、一つの宝石のようでもあった。
それが視界いっぱいに広がっている光景は――やはり幾度見ても美しいと思える。
これを守るためだと思えば、今の状態も許容できるかといえば――それは分からない。ただ、まだここにいなければならない時間が長いことだけは分かる。
果たしてそれに耐えられるか――耐えるしかない。
(どこかで違えば……いや、考えても無駄だな)
時間だけはいくらでもあったので、幾度となく他の方法があったかを考えた。
そして出る結論は、一つ。これ以外の方法はなかったという事実だけ。
(ま、あいつが勇者として魔王を倒した時点で、他に選択肢はなかったよな)
再び目を閉じる。
幾度となく反芻したかつての記憶。
その瞼の裏には、かつての戦いの記憶がよみがえっていた――。




