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追って追いかけ

「とにかく速かった。速すぎた。」

エルモ・ガルヴァーニ


アルドが単独行動している一方で、ルーク達は突入の準備をしていた。


「アルドが戻ってくるまでに、俺達は有栖を救出する。敵はかなりの手練れだ。心してかかれよ。」


「俺とマルコで足止めする。ルークはその隙に有栖のところへ。クリス、ルークの護衛を頼む。」


「任せろ。」


ルークとロイスが指示を出し、準備を整える。


「白刃、案内を頼む。」


「分かった…。」


ルークが白刃を先頭に立たせる。いよいよアジトへ入ろうとしたその時…。


ドーン!

ズャシャーン!

グォーン!


突如爆発が起こり、火災が発生した。警報機が鳴り、辺り一帯が騒がしくなる。


「何だ!?何が起こっている!?」


「落ち着け、クリス。想定外の事態だが、侵入するには好都合だ。この隙に行くぞ。」


「マルコ、アルドが心配だ。アイツの無事を確認してくれ。」


「分かった!」


ロイスはクリスを落ち着かせ、ルークはマルコに指示を出す。マルコはそのままアルドの所に向かった。残った4人は、有栖の救出に向かう。


「よし、行くぞ!」


「「「おう!」」」

・

・

・

一方、爆発音と衝撃は有栖と圓龍がいる部屋にも聞こえた。


「仕掛けてきたな。」


圓龍が冷静に言うと、勢いよく扉が開き、RAIDの副リーダーであるゴルビーが息を切らしながら入ってきた。


「おい、大変だ!ブラッカーズが襲撃してきた!」


「分かっている。被害は?」


「奴ら第2、第3倉庫で爆発を起こしやがった!あそこには武器や弾薬が…!


「諦めるしか無い。恐らくそれは陽動だ。爆発で引きつけ、こちらを分散させるつもりだろう。いいかい、皆を第1倉庫に集合させろ。そこで体制を整え、奴らを迎え討つ。」


「分かった!」


命令を受けたゴルビーは足早に去った。圓龍は有栖の方を向くと優しい声で言った。


「君はここにいて。大丈夫、絶対に危険な目に遭わせないから。」


「は、はい。」


「…ねぇ、有栖さん。君が良ければなんだけど…。」


「なんでしょう?」


「僕のチームに入らないかい?」


「えっ、それはどういう…?」


「君がいてくれると、その、嬉しいというか…側にいて欲しいというか…。」


「誘拐しておきながら口説くとはどういう神経してんだ?」


有栖と圓龍が驚いて振り向くと、いつの間にか、入り口にガストーネとエルモが立っていた。


「お前がリーダーか。名前は?」


「圓龍だ。君達は?見たことないのだが?」


「これは失礼。俺の名前はガストーネ・ベネデッティ。こっちはエルモ・ガルヴァーニ。共にブラッカーズのメンバーでマルコ・モンテーロの部下だ。」


(ブラッカーズ?)


ガストーネの説明に有栖は怪しんだ。無理もない。ガストーネとエルモは今日戻ってきたばかりである。当然、有栖と面識はこれまで無い。マルコも、2人が戻ってきたら紹介するつもりだったため、有栖に何も伝えていなかったのである。だがそんなことを知らない圓龍は…。


「なるほど、ブラッカーズのメンバーか。なら彼女を助けにきたのも当然か。」


「は?どういうことだ?」


エルモが疑問に思うと、圓龍は不思議そうに言った。


「どういうことって、ここにいる香坂有栖さんはブラッカーズのメンバーだ。同じチームの仲間だから、彼女を助けにきたのだろう?」


「…君、そうなのかい?」


エルモが有栖に尋ねると、有栖は首を縦に振った。しかし2人を知らない有栖はこう言った。


「私は確かにブラッカーズのメンバーです。ですが、私は貴方達を知りません。貴方達がブラッカーズであることを証明出来るものはありますか?」


「「うっ!」」


ガストーネとエルモは一瞬たじろいだ。なぜなら証明するものがないからである。


(どうするエルモ?)


(何とか隙を作って彼女を連れ去るしかない。チャンスを待つんだ。)


しかしそのチャンスは来なかった。直後圓龍が有栖の手を掴み、そのまま部屋から連れ出したのである。


「「待て!」」


慌てて追いかける2人。圓龍は振り返ることなく、真っ直ぐに走り去った。

・

・

・

一方、第1倉庫に集まったRAIDのメンバー達はブラッカーズを迎える準備をしていた。


「いいか、奴等と戦う時はサシで戦うな。集団で戦え。卑怯と言われようと、勝った者が正義だ!」


「おう!」


仲間達を鼓舞するゴルビー。準備は完了し、後はルーク達が来るのを待って扉に集結していた。しかし敵は思わぬところからやってきた。


「あれ?」


「どうしたガスト…げっ!」


走ってきたガストーネとエルモの声にゴルビーが振り向き、目が合う。圓龍を追いかけていたガストーネとエルモだったが途中で見失い、しかも運悪くゴルビー達と鉢合わせてしまった。当然、ゴルビーが2人を逃す筈もなく………。


「………か、か、か、かかれー!」


「おー!」


号令と共にRAIDの大群が2人に襲いかかる。しかし2人が取り乱すことはなく、むしろリラックスしていた。


「やっちまったな、エルモ。」


「まぁ、仕方ないさ。ここは奴等(RAID)の巣窟なんだ。遭遇してもおかしくない。」


「それもそうだな。さてと、やるとするか。」


「ああ、やろう。」


ガストーネとエルモはそういうと武器を構え、大群に突撃した。一見すると2人には勝ち目のない戦いに思われるだろう。だが勝負は、思わぬ結果となるのだった。

・

・

・

一方、圓龍は有栖を連れ、出口に向かって走っていた。


「有栖さん、大丈夫?」


「は、はい!」


「後少しで出られる。もう少しの辛抱だ。」


「あの、どうして私を助けるのですか?」


「どうしてだろうね。君に嫌われたくないから、かな?」


「へ?」


「ごめん、何でもない。それよりもさ、僕のチームに入ること考えてくれないかな?君と僕なら絶対に上手く…。」


「うちの仲間を勝手に口説かないでもらえるか?」


「る、ルークさん!」


アジトに潜入したルークが、ついに有栖と接触した。ルークの後ろにはクリスも控えている。


「有栖、怪我はないか?」


「クリスさん。だ、大丈夫で…。」


有栖が言い終える前に圓龍が有栖の前に出て言葉を遮った。ルークと圓龍、リーダー同士の睨み合いが起こる。


「君がブラッカーズのリーダー、ルーク・レインラントかい?」


「そうだ。貴様がRAIDのリーダーか?」


「ああ。圓龍だ。」


「そうか。なら圓龍、うちの仲間を返してもらおうか。」


「もし断ったら?」


「それは出来ない。」


瞬間、天井のダクトから白刃が現れ、圓龍の前に降り立ち、右手に持ったナイフを圓龍の首に突き刺そうとした。しかし圓龍は左手で相手の腕を掴み、制止した。だがそれは囮だった。圓龍が気を取られているうちに横からロイスが現れ、有栖を圓龍から引き離し、ルークの方に連れて行った。


「しまった!」


有栖を取り返そうとした圓龍だったが、クリスの持つライトを顔に照らされ、眩しさで怯んだ。隙を突いて白刃は圓龍の手を振り解き、ルークの方に引き返した。


「くそっ!」


悔しさを滲ませる圓龍。ルークは有栖の方を振り向き、指示する。


「有栖、クリス達と先に逃げろ。クリスと白刃は有栖の護衛を。ロイスは残りの敵を片付けてこい。」


「「「了解。」」」


ルークの指示で有栖達は脱出した。有栖は圓龍を気にして振り返ったがクリスから。


「大丈夫だ。彼を悪いようにはしないよ。」


と言われ、すぐに向き直り、走り出した。ロイスはルークと互いに頷き、真っ直ぐ走った。1人残ったルーク、そして圓龍はお互いを睨み合い、牽制する。


「構えろ。一対一(サシ)で勝負だ。」


「ああ。」


ルークの提案に圓龍は頷き、臨戦態勢に入る。ルークも拳を作り、構えた。そして…。


「「いくぞ!!!」」


瞬間、2人のリーダーがぶつかった。1人は野望のため。もう1人は守る為に。


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