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第2章 39話 す、すごい・・・です。これが、異世界・・・

昨日更新出来なかった分、いつもより少し長めの3300文字程に纏めました。

宜しくお願い致します。


誤字修正致しました。

 マリリとマリスに封印の魔法を掛けて貰っていた、見るからに宝箱と言った感じの箱を取り出した。

 隠していたと言うほどでも無いが、酔っぱらったセリーに意図も簡単に見つけられた事を考えれば、もっとちゃんと隠すなり保管して置いた方が良いかもしれない。

 

 「そういえば、いくら封印の魔法が施されているとは言え、2人以上の魔法力と技量をもった魔術師なら開ける事が可能かもしれないと言ってたな。」

 

 宝箱を眺めつつ呟く。

 

 2人を超える魔術師・・・つまり単純にマリリとマリスの魔法力と技量を足した以上の力を持った魔術師って事だよな・・・。

 まだ10代半ばとは言え冒険者ランクとしては2人共プラチナクラス。

 今までの戦闘で俺が見てきただけでも、セリーや依頼者達は2人の強さは桁外れだと語っていた。

 

 少なくともこのクムリ村には、そんな魔術師は居ない。

 観光地故に外部からの冒険者などの出入りが盛んとはいえ、そこまでの実力の持ち主なんてそうそう居ないだろう。

 

 王宮師団長でありながら、マリリとマリスの魔法の師匠でもある2人の母親ならあり得なくは無い・・・か。

 まぁ逆に2人の母親なら問題は無いだろうし、そもそもマリリとマリスから俺の事を聞いている上に一応身内みたいなものだ。

 

 

 「お待たせ。」

 

 スマホが封印された箱をローテーブルの上に置く。

 セリーの目がまるで期待で輝いているようだ。

 

 「じゃぁマリリ、マリス、悪いけど頼めるかな?」

 

 「すみません、私の我儘で。 お願いします。」

 

 そう言いながらもセリーは待ちきれないと言った感じだ。

 

 「じゃぁ始めます。マリス準備はいい?」

 

 「いつでもオッケーだよ!」

 

 「「3・2・1・・・」」

 

 2人がカウントダウンと同時にタイミングを合わせて封解除の魔法の詠唱を始める。

 箱を中心とした幾重にも重なった、白い光の環が現れては弾ける様に消えてを何度も繰り返す。

 それに併せて衝撃波というと大げさな表現になるが、軽い風圧が発生し衣服がはためく。

 

 そんな状態が20回程繰り返された後、魔法陣の様な物が箱の上に水平に浮かび上がったかと思うと残像の様に消えた。

 

 「解除終わりました。」

 

 「ふー疲れた。」

 

 「2人共お疲れ様。お礼に今度何か奢るよ。」

 

 「ほんと!?やったあ!何にしようかなー?」

 

 「じゃぁ時間が取れる時に3人でお出かけしましょうか!」

 

 「さんせーい!3人でデートだね!」

 

 嬉しそうにはしゃぐマリリとマリス。

 と、セリーが真剣な眼差しで封印の解かれた箱を見つめていた。

 

 「セリー、どうかした?」

 

 「あ、いえ、想像よりもかなり高度で厳重な封印が掛けられていたので。

  知らなかったとはいえ、マリリさんとマリスさんには無理をお願いしてしまって申し訳ありません。」

  

 「いえいえ、これ位、気にしないで下さい。」

 

 「そんなに凄いの? 封印の魔法って?」

 

 「ええ、封印の魔法自体がそもそもそれなりに技術を必要とする魔法なのですが、2人居れば誰とでも出来ると言う魔法では有りません。

  マリリさんとマリスさんだからこそ、これほどの事が可能なのだと思います。

  で、それはそれとして・・・。」

  

 ソワソワし出すセリー。

 どうやらスマホというセリーからしたら未知の世界の道具を早く見たくて落ち着かない様だ。

 普段クールな感じなだけに、時々こういう所が妙に幼可愛く感じる。

 

 ついつい忘れがちだが、セリーもまだ20代なので俺からしたらかなり年下可愛いの対象だ。

 

 「はい、これが封印されしアイテム!

  その名もスマートフォンだよ。」

  

 電源を入れOSのスタートアップ中の状態でセリーに渡す。

 それなりに日数が経過しているものの、バッテリーはまだ残っていた様だ。

  

 「わ、わ、な、なんですか!? 何か文字みたいのが動いてます!?

  わ、なんか絵?が変わりましたよ!?

  ひゃあ!お、音が鳴った!? な、な、なんですかこれ!?」

   

 手に乗せたままながらも、怖がる様に自分から遠ざけるセリー。

 まるで怯える子犬の様だ。

 普段がクール系なだけに少し笑える。

 

 「あ、大地さん何笑ってるんですか、マリリさんとマリスさんまで!

  い、いじわる・・。」

  

 若干、涙目になるセリー。

 マリリやマリスとは違った可愛さに、キュンと来てしまう。

 

 「あーはは、ごめんごめん。

  驚く姿が余りにも可愛かったからつい。」

  

 「か、可愛・・・も、もう・・・。」

 

 スマホを持つ手を遠ざけたまま、顔を赤くして俯くセリー。

 俺の中でのセリーの株がこの2日間だけで急上昇だ。

 

 「このスマホってのは・・・。」

 

 マリリとマリスに説明した時の様に、セリーにもざっくりとスマホの説明をする。

 それにしても説明するとなると、この世界に無い言葉ばかりなので中々苦労する。

 一つ一つの説明に驚きながら真剣に聞くセリー。

 マリリとマリスも改めて説明に聞き入っている様だ。

 

 電波が入ればもっと色々と視覚的に実感し易く、理解し易いのだろうけどそこは仕方が無い。

 如何せん異世界だ。

 それなりに利用方法も思いつく事は有るが、電源の確保が出来ない以上は無用の長物だ。

 

 セリーが食いついていた点だが、まず1つは『カメラ機能』。

 直ぐに使い方を理解して、自ら自撮りモードに気が付き早速マリリとマリスとセリーの3人で撮りまくっていた。

 3人のテンションが高くなったのか、俺も引っ張られ3人に挟まれる様に一緒に写る。

 鼻の下が伸びているであろう事が、自分でも分かる。

 

 2つめにセリーが食いついたのが、『メッセージアプリ』だ。

 確かにこの異世界での遠方による連絡方法はギルド間での魔法による通信か、一方通行なリモートメッセージカードの魔法位しかない。

 

 勿論普通の『手紙』も存在はしているが、距離によっては届くのに数週間から数か月はかかる。

 手紙の配送専門の業者も有るらしいが、場合によっては盗まれたり紛失されたり等と言う事例も少なくは無く、保証等は一切無いそうだ。

 

 ギルドでも手紙の配送を請け負っては居るそうだが、物資の輸送が有った際のついでという事が多く、また金額もそれなりに掛るそうであまり現実的では無いらしい。

 やはり街の外ではモンスターに襲われる危険のある世界だけに、そう言った所がまだまだ発展に乏しい様だ。

 

 スマホに表示されている文字は当然ながら日本語なので3人は読めないのだが、なんだかんだで楽しそうに弄っている姿が微笑ましい。

 バッテリー残量が気になる所では有るが楽しそうにしているので、俺はソファーに腰を掛けその光景を暖かく見守る事にした。

 

 するとさっきまできゃいきゃい言いながら弄っていた3人が突然無口になり、暫く固まったと画面に食いつく様にゆっくりとスマホを弄り出した。

 なぜか頬を赤く染めている。

 どうしたのだろうか?

  

 「す、すごい・・・です。これが、異世界・・・」

 

 「はわわ、これ、これ・・・ひゃあ」

 

 「ぼ、僕・・・ぅぅ。」

 

 そう呟きながら、3人がチラリと俺の方を見る。

 そして画面に視線を移してはゆっくりとスライドしながら、また食い入るように画面を見つめている。

 

 ???なんだろうか???


 機械の写真とか、設備を修理している最中の写真とかはいっぱい保存されているから、それらを見て驚いているのか?

 整理前の写真はまだカメラ画像フォルダに保存しっぱなしだったから、画像見ている内にその写真でも出てきたのかな?

 確かに大型クレーン車とか、規模の大きい設備の部品の荷降し中の写真とかは、なかなか迫力が有るとは思うが・・・

 

 「3人ともどうしたの? 何かそんなに凄い写真でも出てきた?」

 

 「あ・・・はい。す、凄いです。」

 

 俺が問いかけると3人ともビクッと驚き、赤面したマリリがおずおずと応える。

 セリーも赤面しており、マリスに至っては顔を両手で覆い指の間から覗き見る様にスマホの画面を見ている。

 

 「こ、これって、大地さんが、その・・・写真ですか?を撮ったのですか?」

 

 セリーがもじもじしながら問いかけてくる。

 マリスは俺の返答を待ってるかの様に、指の隙間からじっと俺を見つめる。

 

 3人とも一体、なんなのか?

 

 「あぁ、基本的にはそうだけど?」

 

 「「「!!!」」」

 

 マリリとセリーも口を手で覆い、驚いた様に目を丸くして俺を見つめる。

 マリスはなんだか涙目だ。

 

 意味が分からな・・・・!!!

 

 ま、まさか!?

 

 俺は慌てて3人からスマホを取り上げて画面を確認した。


いつもお読み頂きまして、ありがとうございます。

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