表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

どうやら異世界にきてしまったらしい。

連載1話目。多少読みずらいものがあると思いますが、予めご了承ください。


朝日の眩しい通学路。

この間まで制服を着て高校へと通っていた季節からもう2年が経過しようとしている。

私、板垣佳織(いたがきかおり)は大学生になりました。

最初は戸惑いもしたけれど、今はようやく大学にも慣れて、アルバイトと掛け持ちをしながら通っている。


アルバイトは何か。それは土日専門の事務の人です。

塾講師に誘われたりもしたけれど、友人から大学に行くのが大変になると聞いて断った。

働く前はそこそこのパソコンのキーボード入力だったのが、今は結構早いよ?と言えるくらいに上達できた。


今日は1限しか出なくていい日だったので、もったいない気もしたけれど早起きして大学に向かって、ぼうっと講義を聞いてそのまま家に帰った。




はずだった。

ここは一体どこだろう。目の前に白いローブで全身を纏い、その中心には少し剥げたオッサン。

正直意味が解らない。


「なんと、この世代は聖女が2人もいらっしゃるとは!!まさに奇跡!!ほれ、すぐに王に知らせぬか!!至急知らせよ!!」


はげたオッサンは狂ったように大声で叫んだ。

・・・・ん?二人?聖女?

きょろきょろと周りを見ると、私の後ろにどこかの学校の制服を着たふわふわの茶色い髪をした女の子が倒れていた。

見れば見るほど美形。すごく可愛い女の子だった。

そしてもう一人の私。黒い髪に緑の大き目の眼鏡。お世辞にも可愛いとは言えない見た目。

その子を見るだけで自分がこんなにも虚しさを覚えるとは思わなかった。

私が見知らぬ彼女との見た目の落差に落胆していると、金髪のオールバックの男が現れた。


「・・・・聖女様。異界の地よりよくぞ参られました。急なことで大変驚かれている事でしょう。こちらで説明できるよう、席を設けさせていただきましたので、このままお付き合いいただければと。」


そう言ってオールバックのその男は膝まづいて私の手にキスを落とした。

どこの王子様だ、と私が呆れていると、もう一人の女の子は目を覚ました。


「ん、・・・あれ。ここはぁ・・・?」


透き通った鈴のような声。その容姿も相まって、誰もが彼女を聖女だと思った。


「・・・・ここはアラスタ王国です。聖女様。その点もお話しさせていただきますので、付いて来ていただけますか。」


私の手にキスを落とした男は、その女の子の元へ行き同じように手を取りキスを落とした。

女の子は初々しく顔を赤らめてその場から離れて私の後ろにしがみ付いた。

普通に高校生活を送っていれば、手にキスされるなんて高度なものに耐性があるわけがない。

恥ずかしそうに私の後ろから周りを伺う様子は小動物の様。3歳程度しか変わらない私でも可愛いと思うほどだった。

初対面であることを忘れたのかと思ったが、それにようやく気付いて小さな声で謝ってきた。

気持ちはわからないでもなかったので、私も引きつる笑顔で許した。


そして私たちは、何の説明もないまま召喚されたであろう場所から離れて、いくつも席がある客間の様な場所に案内された。


「あの、説明してもらってもいいですか?私は普通に学校に行っていたのに気が付いたらここにいて・・・。」


席に着いてからすぐに彼女は大勢に向かって話しかける。

禿げたおじさんは優しく笑った。


「さぞ今の状況に心配がおありと思います。我々の都合にて呼び出してしまったのですからなぁ。

・・・そちらの聖女様は平気そうですが。」


そう言って私の方をちらりと見た。充分に戸惑っているのだけれど、それが中々表情に出ていないだけで、ちゃんと、しっかりと戸惑っているし、あの禿げ、私とあの子の扱いにも差が出ていてちょっと怒ってもいる。


「驚きの余り、表情が作れないだけですわ。急な出来事に対処できるのは、国内まで。異界に何の説明もなく呼び出され、このような扱いを受けてなお、笑顔で居れるほど私は広い心は持ち合わせておりませんし。」


嫌味でも言わないとやってられるか。私は悪く無いのだもの。状況を把握したいけれど、それよりも文句の一つくらい言ったって罰は当たらない。

それくらい言われる覚悟で呼ぶなら呼べ。

渾身の営業スマイルは周りの空気を冷つかせた。


「え、えっと、お姉さんも落ち着いてください!!あの、確かに急だったし困っているお姉さんにそんなこと言うあの人もあの人だけれど、

喧嘩をしていたらダメです!!」


戸惑って居ながら私と禿げの仲裁を買って出た彼女。

急に呼び出されてもなお、そんなに優しくなれるものなのか。そっちの方に驚いてしまった。


「来てしまった以上はもうあきらめて前に進むしかありません。初めてお会いしますけど、なんとか協力して帰りましょうよ!」


私と禿げを交互に見ながら説得する彼女の姿を見て、大人げなく感情を出してしまったのかと恥ずかしくなり、私はその矛を収めた。

禿げも私が落ち着いたのを見て、咳ばらいを一つ零す。


「流石は聖女様。御心が広くてらっしゃいますなぁ。ま、まあ急にこちらに来てしまっては戸惑うのも道理。私も何を言われるも覚悟しておりました。

・・・・まあ、それはさておき、私たちが貴女方聖女様を呼んだ理由にございますが、

この国は、漂っている魔力が瘴気に当てられ魔物が暴走しております。

我が国以外にも聖女様の召喚はされておりますゆえ、聖女様はこの国の瘴気を浄化していただきたいのです。

異界より召喚された少女には魔を清める力が宿るとされており、何代にも渡って召喚し続けたのでございます。」


禿げはそう言って革に書いてある絵を私達に広げながら説明してくれた。


「魔を清めるって、そんな、私にそんな力はありません!!」


少女はテンプレートな反応を見せた。

勿論気持ちは彼女と同じではあるが。


「大丈夫でございます。ほら、貴方様にはこの水晶をこんなにも輝かせる力がございます。光の強さこそ、貴方の力の強さ。白き光は魔を滅する。

・・・・おや、そちらの聖女様は緑の光、癒しの光が強く出ております。

まさにお二人は人々を癒し、魔を払う。この国の救世主となるお方にふさわしい!!」


どこから出したその水晶!!その服の袖口は四次元ポケットだとでもいうの!?

その水晶はもう一人の聖女ちゃんにかざすと白く強い光を放ち、私の方にかざすと、緑と白い光が濃く放っていた。私の方だけ強さではなく、濃かった。


光る水晶をまた四次元な袖に収納した所で優しそうな40代のオジサマが登場した。金色の髪をさらりとなびかせ、高そうな服と、赤いマントを来ている。

その後ろには先ほどのオールバックの男の人と更に金髪の幼い少年が立っていた。


「・・・説明は終わったかね?」


オジサマは優しい声で禿げに声を掛けた。禿げはオジサマの方を向いて跪いた。


「はい、国王様。既に説明を終えてございます。」


そう言って後ろに下がった。

さっきのオールバックは国王と呼ばれたこのオジサマの息子、つまりは王子らしい。

よく見れば幼い子含め、イケメンな度合い、顔付きが似ている気がする。

だがオールバック、貴様は本当無愛想だな。表情がない。


彼らを観察していたのがバレた。目が合うとクスリと爽やかに笑った。


「そんなに見つめられては少しむず痒くなってしまうな。・・・ようこそ我が国アラスタ王国へ。

貴女方を我々は歓迎いたします。」


そして私たちに跪いた。異世界から召喚されたというだけの私たちに国王ともあろう立場の人が私たちに頭を下げたのだ。


「そんな!!国王様頭をあげてください!!私、困ります!!」


戸惑って黙っている間にあの子に取られてしまった。

彼女は国王様に駆け寄り、立ち上がるように手を貸した。


「・・・その気持ちだけで十分です聖女様。国王などと大層な肩書を持ちながらも、この国を救うのは貴女方の力を借りないとできない。

不甲斐ない国王なのです。救っていただく以上、頭を下げて許されるなら、それくらいしないと、私の気持ちがすまないのです。」


儚げに笑うと、もう一度私に向かって頭を下げた。

私が何も言わないから、怒ったと勘違いされているのか。先程の禿げの会話を聞いていたのだろうか。

王の向けた視線事私に注目が集まる。


「え、い、いや。大丈夫ですから。ここの常識などを早急に教えていただければ、迷惑にならない程度に生活させていただきますし。」


なるべく当たり障りない様に発言に気を付けて言った。多分失礼なことはなかったはず。

私の言葉を聞いて国王様は笑って立ち上がった。


「ありがとうございます。私たちの都合で呼んだのです。せめて生活に支障が出ないようにサポートはさせていただく所存です。

そして、私達王家の忠誠の証として我が息子たちを側に居させます。何か必要なものがございましたら、我が息子に遠慮なくお申し付けください。」


国王様の後ろにいた二人が前に出てきた。


「まずはユーゴ・フォン・アラスタ。まだ幼い彼女には、君がサポートしなさい。そしてリュカ・フォン・アラスタ。彼女は君より年上だ。ご迷惑を掛けないように注意してかかりなさい。」


彼らは小さく返事をしてそれぞれ私と彼女の元へ向かった。


「初めまして聖女様。ぼ、じゃなかった。私がリュカと申します。何かありましたら、何なりと。」


リュカ、金髪がキラキラとなびく好青年の印象を受けた。目も綺麗な翡翠色で、少し恥ずかしそうにはにかむ笑顔にうっかりときめいてしまっても仕方がないと言える。


「私はカオリ・イタガキ。板垣が言いにくければ名前で呼んでください。リュカ様、でいいかわかりませんが、私は堅苦しいのはあまり好みませんので、少し砕けた話し方をしてくれると嬉しいです。」


どこ保護欲を湧き起こす彼の雰囲気に流されないように精いっぱい冷静に答える。


「リュカ、とお呼びください聖女様。

聖女様にそのような口調、例え許されたとしても慣れ慣れしくするなどできません。

ですが、許していただけるなら、カオリ様と呼ばせてください。」


リュカ様はぺこりと頭を下げた。


「・・・・では私もリュカ様と呼ぶことにしましょう。では改めてリュカ様、この後私たちはどうなるのですか?」


私は仕返しをするように頭を下げたリュカ様に跪いて彼の顔を見上げる。


「え!?い、いい、いけません!!!聖女様がその様に床に座るなど!!僕の方が視線が高いなど!!お立ち上がりください!!」


わたわたと慌てふためいている姿を見て、癒された。


「これリュカ。仮にも王の息子としてそのように取り乱すものではないよ。・・・・申し訳ございません聖女様。リュカは何分まだ成人しておりませんで。」


国王様は苦笑を浮かべながらリュカ様を窘めた。

リュカ様は恥ずかしそうに、申し訳なさそうに俯いた。


「戯れが過ぎました。それで、私達はこれからどうすればよろしいので?」


頭を撫でたい衝動を何とかこらえ、国王様に問いかけた。

「いえ。・・・お話も終わりましたので、そちらの聖女様には祓う力が大変お強いということで、数日様子を見て聖女としての力の習得に移らせていただきます。

貴方様は、・・・・こちらで部屋を用意させていただきますので、そちらでお休みになっていただければと。」


国王様は少し目を泳がせながら言った。・・・私の扱い考えてなかったなこの野郎。


「わかりました。では休ませていただきますね。お気遣いありがとうございます。」


私も国王様に頭を下げ、リュカ様と共に用意された部屋へと案内された。

部屋、というより小さな屋敷だった。

まるで隔離されたようだと錯覚してしまいそうになったけれど、1人で十分なのに、余分に一人追加されてしまえばもてなすのも大変と踏んだのだろうか。


人が好さそうな国王だったけれど、どの世界にも王という人間は侮ってはいけない。

あの平和だったころの日本が恋しくなってくる。

屋敷の中の一部屋に案内され、私はふかふかの大きなベッドの上に寝転がった。

ここで休むだけって中々にこれから辛くないかな?

そんなことも考えていたけど、このふかふかの肌触りと太陽の暖かな香りのおかげでそんなことも考えずに眠りにつけた。

きっと疲れていたんだ。朝も早かったし。

薄れていく中、誰かの声がしたけれど、構わず寝ることにした。


最後まで読んでいただいてありがとうございます。

少女漫画の様な恋愛をかいてみたい。

そんな思いで始めてしまった連載です。

もう一つの物語よりも更新は遅めになりますが、

それも含めて楽しみにしていただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ