第一章 第一話「日常」
【記録:20XX年X月X日】
[タイトル:■■■小学校集団失踪事件]
『本文:午前6時32分、近隣に住む30代女性が普段の散歩道を歩いていた際、■■■小学校の敷地内にあった物体がすべて消失していることを確認。その後、警察へ通報』
『警察や自衛隊による大規模な捜索が行われたが、生徒・教師・職員を含む数百人は一人も発見されず、「■■■小学校集団失踪事件」として都市伝説になった』
『この事件の真相は!? 本当にあったのか!? それともでっちあげなのか!? 信じるか信じないかは、あなた次第!!』
23時20分。
真っ暗なはずの自室には、スマホから発せられる不健康な光があった。
「はぁ〜、嘘くさ。普通に考えて、一晩で学校がいきなり消えるわけないじゃん。なんでか、みんなこういうの好きだよねぇ」
「……いや、まあ私も見てるんだけどさ。ゾクゾクするっていうか、なんかいい」
私、雨宮凛は、今日も寝る前にネットサーフィンをしている。
華の女子高生が、休日でも朝から晩までずっとスマホ……。いつからこうなってしまったのか……。
分かっているのに、手が止まらない。典型的な「スマホ依存症」というやつだ。
最近は、都市伝説系の記事を見るのにハマっている。
今見ているのは、何年か前に私の住んでいる〇〇県で実際に起きたらしい神隠しについての記事だ。最近になって話題になっているらしい。
ネットの反応を見ると、案外信じている人も結構いるらしい。
もちろん、私は嘘だと思っている。
なぜ断言できるのかというと、ちょうど家から学校までの道のりに、その「■■■小学校」とやらがあったらしい場所があるからだ。
そんな小学校なんて影も形もない。私が物心ついた頃から、ずーっと空き地だった。
「うわ。明日も学校なのに、もう23時過ぎてるじゃん。さっさと寝よ。スマホってのは怖いね、時間が溶ける」
スマホに充電器を挿し、布団をかぶって目を閉じる。
特に何もない、実に不健康な普通の日常だ。
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目を覚まし、もう朝か、と思いながらも布団から出る。
実に不愉快な朝だ。まあ、朝という時点で不愉快なのだが。
「ぅ、まぶじぃ……」
窓のカーテンを開け、心底不本意ながらも、嫌々仕方なく学校へ行く準備を始める。
スマホを見ながら朝食を食べていると、お母さんとお父さんに叱られる。
何の変哲もない、くだらない日常。




