第1話 森の笑劇場
大笑町。オオワライの森。
ここには、お笑い好きのタヌキとキツネがいた。
人間さんのテレビで知った。
お笑い、漫才ってヤツかな。
とにかく、楽しいこと好きの森の動物たちは笑いが大好き。
タヌキとキツネは、洞窟の中で、小劇場を作った。
人間さんには、見えない。入れない。
化けタヌキと化けキツネの笑劇場。
どっちも、面白い。森の動物たちが見ている。
人間さんに化けて、ちゃんと、お笑い目指してる。
タヌキとキツネ。
お笑いタヌキの又之介は、人間さんに化けれる若いタヌキ。
相方の北太と大爆笑カルテットを組んで漫才だ。
二人だけど、カルテット=四人組の意味。
くわしい人間さんの言葉など知らない。
テレビでおぼえた関西弁で、今日も森の動物たちから、爆笑をかっさらいますわ。
第1話 森の笑劇場
タヌキツネ洞窟。小さな笑劇場。
ジャ~ン。
笑いのはじまりだ。
「又之介やで」
又之介。
少年化けタヌキ。絶讃、彼女募集中。
「北太やねん」
北太。
つぶらな瞳の化けタヌキ。同じく、彼女募集中。
「二人やけど…」
「大爆笑カルテット言いますやねん」
あはは。
森のリスたちの笑いを取る。
つかみは、バッチリだ。
「では、オレは、ハリセンでたたかれるで」
「何もしてないのに、何でやねん」
「ハリセン、めっちゃ怖いんや」
「怖がりかいやねん」
あはは。あはは。あはは。
ぱちぱちぱちぱち…。
森の動物たちの拍手をもらう。
タヌキツネ洞窟。爆笑事務所。
「さすがやでん。お前ら」
タヌキの王様に褒められる。
笑福。
一番偉い化けタヌキ。笑福社長。
お笑いの重鎮のような人間さん姿に化けている。
「オレは、笑いで森の天下をとるで」
勢いに乗る又之介。
「ボクは、ハリセン鍛えますやねん」
つぶらな瞳を輝かせる北太。
二人は、木の葉を3枚ずつもらう。
「木の葉3枚ももらっていいんかい」
「木の葉3枚うれしいやねん」
木の葉は、森のおカネ。
1枚で一食分のご飯が食べれる。
又之介は、おタキさんの絶品天ぷらが、食べたい。
オオワライの森の洞窟は、タヌキとキツネの暮らす世界が広がっている。
おタキさんは、洞窟のおタヌキ料亭の女将だ。
又之介の憧れの女性…一応。
おタキさんと結婚できれば、毎日美味しい食事が食べれると思っている。
憧れてるけど、恋とか、よくわからない。
「大変だよ、社長」
森のリスが、笑福社長の元に駆け込んできた。
「どうしたんやでん。森のリス」
「人間さんが、人間さんが洞窟の中に迷い込んで来たよ」
「何やてでん」
その場のタヌキに衝撃がはしる。
人間は、この洞窟の中に入れないはず。
おかしい。
いや、笑いの可笑しいじゃないで。
又之介は、代表して、迷い込んだ人間さんを見に行く。
「ここは、どこ?何で、動物がしゃべってるの?」
可愛い人間さんの女の娘が、混乱している。
味元ぽんず。16歳。
動物の写真を撮るのが趣味。
スマホ片手に、森のリスを追いかけていたら、洞窟の中に入ってきてしまった。
「お前のせいやないか」
コツン。
森のリスをどつく。
「男の子だ…」
人間さんの女の娘、ぽんずが、又之介を見上げる。
「オレは、お笑いタヌキや」
「カッコいい…」
「はあ?」
又之介の前で、女の娘は言った。
「私と、お付き合いしてほしいな」
「嫌や」
即座にお断わりした。




