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津谷景子の二日目 その6

私たちはぼんやり次のレースが始まるのを、窓際の席に座って待った。

周りではおじさんたちが新聞を見ながら熱心に予想をしている。

凄い集中力でまるで人生をこのレースに賭けているみたい。


それを見て、ふと明さんのこれまでの生活を思い出した。

もちろん四六時中一緒にいたわけではないから断言は出来ないけど、明さんはこの予知の力を取り戻すために、人生のすべてを捧げていたように思う。

遊びや恋愛に目もくれずね。


もちろんこんな凄い力を持てたらこうやってお金も稼げるけど、そのためだけに明さんはヨガを熱心に取り組んでいたのだろうか? 

どうも違う気がした。

だってお金を稼ぐために青春をまったく無駄にするのって考えられる? 

私は無理だな。


「明さんって予知能力を取り戻すためにヨガをしてたんですか?」


「ん。そうやな」


「私の勝手な想像なんですけど明さんって予知能力を取り戻すために、とても自分に厳しく生きていたと思うんですよ。何の遊びもせずに予知能力を取り戻すためだけ生きていた感じがした。違います?」


「まあ、そうかもな」


「なんで、そんなに予知能力を取り戻したかったんですか? こうやってお金を稼ぐためですか?」


 明さんはそう聞かれて、少しの間沈黙していた。

窓の下では第二レースが始まり、おじさんたちの視線がそこに集まっている。

そんな中、明さんは空を見ていた。

白く綺麗な雲が空に模様をつけている。

晴れ渡った空より、雲がある空のほうが私は好きだな。


私も明さんと一緒に空を眺めた。


「お金を稼ぐために辛い人生を歩むのは、あまり賢い生き方ではないと俺は思うな」


 第二レースが終わる前に明さんは話し始めた。


「じゃあ、何でそんなに一生懸命に予知の力を取り戻そうとしていたのですか?」


 そう聞かれて明さんはまた少し考え込んでいた。

何だかその姿はとても悲しそうに見える。

あまり思い出したくないことを思い出させたのかもしれない。


「生きる目的にしていたからかな」


「生きる目的ですか」


「そう。大切な人をもう二度と失いたくないんだ。これはそのための力だよ」


 明さんはそう言うと、とても穏やかな笑顔になった。

いとおしいと思える素晴らしい笑顔で、つられて私も笑顔を作った。


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