津谷景子の二日目 その5
「第一レースは二番、一番、五番の順にゴールするから、三連単で千円買っておくか」
私の財布から千円が消えて、白い四角い紙に変化した。
これが当たればお金が何倍にもなって返ってくるらしい。不思議なものだね。
私たちは二階の冷房のついている席に移動した。
大きなガラス窓から、ちょっと大きな池で小さな六色の船が走っているのを見下ろせた。
それをおじさんたちが熱狂して見ている。
明さんは冷静なもので、たまに周りを見渡している。
ここでも一応、私を狙っている犯人を警戒しているみたいだ。
おじさんたちのため息と野次が周りから起こった。
どうやら第一レースが終わったらしい。
明さんが掲示板を見て、頷いている。
「よし、じゃあ、払い戻しに行こうか」
「え? 当たったんですか?」
「傷つくなあ。俺のこと信じてる?」
「信じていますけど、何かギャンブルと予知は相性が悪い気がして」
「まあ、占い師もギャンブルは当てられんもんな」
明さんはそう言うと、ちょっと得意げに笑っていた。
そのまま私を払い戻しの機械の前に連れて行ってくれた。
私は明さんに言われたとおり、機械に自分の船券を入れると、何と払い戻し口から、二万六千円も出てきた。
「明さん。二万六千円も出てきましたよ!」
「そら、二十六倍やったからな。もう少し付けば帰っても良かったんやけどな」
たった三十分で二万五千円もお金が増えた。
私の二日とちょっとの日当がたったの三十分!
私は思わず出てきたお金が偽札じゃないか確認した。
すかしは大丈夫、本物みたい。
「俺は三千円買ってたから、七万五千円勝ち」
そう言って明さんは札束を見せ付けてきた。
「あ、ずるい。私ももっと買えばよかった」
「あかん、あかん。あんまり買うとオッズが変わるからな。そうすると予知と違う結果が出るかもしれないしね。次のレースでカバン代くらいは稼げるよ」
そう言われて、第二レースも明さんの言うとおり千円だけかった。
隙を見てもう少し買おうかなんて心が揺れたけど、私の実力で賭けているわけじゃないから止めておいた。




