天間明の一日目 その8
ケイに自分の予知能力が本物ということを証明するために、デートに誘うことにした。
今日は自分がいるので襲われることはないだろうが、もし通り魔ではなくケイが狙われているのなら、犯人が捕まるまでボディーガードになろうと明は思っていた。
デートの誘いをケイはあっさりとOKしてくれたので、明は嬉しくなった。
ケイに彼氏がいるか聞いたことがないが、もしかしたら今はフリーなのかもしれない。
こんな美人に彼氏がいないという状況をあまり想像が出来ないけれど。
ケイのマンションに向かう中、明は行きかう人々に警戒をしていたが、怪しい動きをする人はまるでいなかった。
「あ、あそこが私のマンションです」とケイが指差す。
どうやら何事もなく終わりそうだ。
予知の犯行時刻の前かどうか確認しようと、明はポケットから携帯電話を出そうとしたときに、家の鍵を落としてしまう。
鍵は自動販売機の下に入ってしまったようだ。
お腹に巻いたさらしのためにかがむことが出来ずに、明は腹ばいになって自動販売機の下から鍵を取ることにした。
奥に滑って入ってしまったようで、手を自動販売機の下に突っ込む。
鍵が手に触れたと思ったときに、人の走る足音が聞こえた。
明は嫌な予感がして、素早く手を引き抜いて音の出所を見ると、青い目出し帽を被った男がケイに迫っていた。
危ないと思い、明はケイを突き飛ばした。
「きゃ」とケイが悲鳴を上げて倒れる。
ナイフの軌道がケイに触れていないのは見えた。
そのまま男は走り去っていく。
「まてや、こらあぁ」
怒りで自分でも聞いたことのないようなドスの利いた声が出る。
明は目出し帽の男を追いかけていた。
しかし、明は事故の怪我でほとんど走ったことがなく、ヨガの成果で調子が良いとはいえ、男にはまるで追いつけそうになかった。




