天間明の一日目 その4
凄く驚いた顔をしていたなあ、と明はケイの顔を思い出していた。
まあ、食事の誘いを断られずに良かった。
断られたら薫子も交えて、あの受付で予知の話を二人に信じてもらわないといけなくなる。
一人に信じてもらうのも大変なのに、二人に話をしても冗談だと思われるに決まっている。
そうなると明もストーカーみたいにケイを待っていないといけない。
ケイを襲う犯人は待ち伏せしているのか、通り魔なのかはわからないが、何だか同類になったようで嫌だ。
やろうとしていることは正反対ではあるが。
明はサンロード商店街の前まで行って、立ち止まった。
平日の昼間だが人通りは絶えず、チラシ配りが二人もいる。
夏休みのためか若者が多い。
今は十二時前なので、約束の時間まで八時間ほどだ。
今日、何が起こるかわかっているからこそ、準備が必要である。
わかっているのに準備も行動も起こさなければ、予知をした意味がない。
明は歩きながら考える。
でも人はわかっていても行動しないことがある。
怒られるとわかっていても片付けない。
テストだとわかっているのに勉強をしない。
もし、予知でその事実を知った場合、人はちゃんと行動するのだろうか?
お母さんに怒られると予知できたら片付けるのだろうか?
抜き打ちテストを予知できたら勉強するのだろうか?
何となくだが、予知をした場合は行動する気がした。
わかっていると起きるという事実にどんな違いがあるのか。
なかなか面白いテーマだなと明は思った。
そんなことを考えながら明は買い物をしていった。
まずは呉服屋に行き、さらしを購入する。
そしてコンビニに行くとスポーツ新聞とから揚げ弁当を買った。
一度家に帰り、から揚げ弁当を食べてから、新聞を読んだ。
昨日、阪神タイガースが勝ったので、その記事を丁寧に読む。
それから少し、横になった。昼寝でも出来るといいが、さすがに夜のことを考えると、緊張で寝ることが出来ずにいる。
仕方がないので、もう夜の準備を始めることにした。
お腹にさらしを一巻きすると、濡らした新聞を一枚挟み、またさらしを巻く。
新聞紙を二枚取り入れて巻いたさらしはカチカチに硬くなっていた。
お腹を曲げることが出来ず、背筋を伸ばして座るしか出来なくなる。
インターネットで知った方法だけど、確かにこれだとお腹を簡単には刺されないだろう。
さすがにこのままでは疲れるので、さらしを解いて、夜を待つことにした。




