魔力
「マルのいた世界には魔法は無かったんだよね?」
「うん」
「んーそれなら魔力も感じたことないだろうし……」
私は少し考えた。
「まずは魔力を感じるところから始めるか!」
「おお!」
マルの目が輝いた。
「じゃあ手っ取り早く魔力を感じ取らせるから、両手を出して」
マルが両手を前に出し、私はそれを握った。
「何をするの?」
「今からマルの体に私の魔力を流すんだ。かなり無理やりな方法だから、がんばって耐えてね」
私が笑顔で説明すると、マルが何か言いかけた。
その言葉を待たず、私は握った両手から魔力を流し込んだ。
するとマルの肩がびくりと跳ねた。
握った両手が強張り、眉間に深いしわが寄った。
「大丈夫?」
「う……うん」
私は流し込む魔力を少し弱め、マルの様子をうかがった。
見た感じマルの体にはちゃんと魔力が流れていた。だけど魔法を使い慣れた人より、かなりゆっくりだった。
いままで魔法を使ってこなかった証拠だろう。
魔法を使ったことのない子供と同じだ。
私は流し込む量を抑えたまま、自分の魔力をマルの魔力に絡め、強引にその流れを速めていった。
しばらく続けていると、握っていた手から、不意に力が抜けた。
「マル?」
返事はなかった。
ぐらりと傾いた身体を抱き止め、私は慌てて魔力を流すのをやめた。




