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助けて下さいっ!王女様が私の旦那様を狙ってくるんですっ!  作者: まるねこ


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40番外編ジルベール2

 父は何事もなかったように俺たちに笑顔を見せた。


 フェリットとともに俺たちも牢屋を出て扉を閉めた。


 暴れ回る音が建物中に響き渡っているが、我々が気にすることはない。


「さあ、戻ろうか」

「はい」


 フェルリットは無表情のまま、父の後に続いて階段を降り始めた。


 リアーヌは今までどれだけの人間に恨まれていたのだろうか。


 泣き叫んでいる姿を見ても、残念ながら彼女に同情する気持ちなんて微塵も生まれなかった。


「さあ、フェルリット君も戻りたまえ。あとはこちらで処理しておくから」

「……ありがとうございます。これで、ようやく……。彼女も浮かばれると思います」


 彼は目を真っ赤にしながら俺たちに最敬礼し、その場を去っていった。


 俺も父も言葉を交わすことなく、馬車に乗り込む。

 車内に流れる重苦しい空気。


 馬車は、何事もなかったかのように、軽快な音を立てて走り出した。


「ジルベール、何か言いたそうだな」

「親父も知っていたのか?」

「何をだ?」

「フェルリットのことを」


 父はふっと笑った。


「彼のことを知ってはいた。ちょうど3年くらい前だったか……。彼は王都の外れでボロボロになった婚約者を抱きしめ、慟哭していた」


 ……。


 父の言葉に言葉を返せなかった。


「王女は自分が美しい、皆が美しい自分を好きになるのは当たり前だと信じていた。今でも自分が恨まれているなどこれっぽっちも思っていないだろう。自分が気に入った男の婚約者を裏で排除してきたようだ」

「ようだ?」


「ああ、陛下とカイル王子が全て揉み消していたんだ。下位貴族の一家は力が弱い。だか、数が多い。水面下で彼らは情報をやり取りし、極力被害に遭わないよう協力していたようだ。

 お前も知っているだろうが、被害者が増えるにつれ、上位貴族の耳にも入りだし、リアーヌを隣国へ嫁がせることになった。まさか我が家も被害に遭うとは思ってもみなかったがな」


 俺がシシュカを取り戻すため、リアーヌ王女の悪事を調べていた時に初めてリアーヌ王女の悪事の被害者である彼らのことを知った。


 父は俺が知るよりも前に王女の悪行や被害者達のことを知り、彼らに僅かばかりの助言はしていたようだ。


 俺は親父にシシュカが怪我した時のことを話す。


「フェルリットの話では王女にシシュカを処分するように命令され、街の外までシシュカを連れ出した。このまま髪を一束切って解放しようとしていたんだが、止める間もなくリアーヌの信奉者がシシュカを斬り、シシュカは瀕死の重傷を負ってしまったらしい」

「斬った奴はどうなった?」


 父は表情を変えることなく聞いてきた。


「残念だが、もう既にこの世にはいない」

「……そうか」


 父は窓の外を見ながら大きくため息をついた。


「リアーヌに恨みを持つ者は一人、二人ではなかったしな。彼女は敵を作りすぎた。黙って隣国に嫁いでいれば死なずに済んだはずだ。アヴェランド公爵も、カイル王子も」


 シャル王は彼らも見逃さないだろう。


 若い王が失った王家への信頼を回復するために。


「親父、なんで最後を俺にさせてくれなかったんだ」

「あれでいいんだ。手を下すのは当主だ。お前が手を汚すにはまだ早い」

「……そうか。親父、ありがとう」


 父は俺を見てふっと笑った。


「ジルベール、本当に良かったのか?」

「何のことだ?」

「シャル王から宰相補佐になるよう懇願されていたんだろう? リアーヌの奴隷売買の書類を手に入れ、奴隷商の摘発に貢献し、貴族院の大会議の資料を作成した上で全ての貴族に取り次ぎ、隣国との折衝までしていたことをシャル王は高く評価していたぞ」


「なんだ、そんなことか。俺はそんな地位を望んでいるわけがない。これ以上、シシュカの傍から離れるなんて考えられないからな」

「お前は、そうだったな。さあ、シシュカが待つ子爵家に急いで戻らないとな」


「タウンハウスを出る前にエドには荷造りするように既に指示は出してあるし、荷物を馬車に積み込んだらすぐ向かう」

「分かった。それにしても、ジルベール。お前の記憶は全て戻ったのか?」


「ああ、一応な。シシュカの記憶だけあれば俺は何にも問題ないんだが」

「そういうと思った。シシュカも可哀そうに」

「なんのことだか」


 俺は父の言葉に笑顔で応えた。


【完】

今回も無事完結を迎えることができました。

 この物語を考えた当初、食いしん坊のお嫁様が嫉妬しながらも旦那様の溺愛で幸せに暮らすハートフルストーリー予定だったんですけど、あれ?何をトチ狂ったのか…。(´-﹏-`;)


 ジルベールの愛は重すぎるだろう!と突っ込みを入れつつ書いておりました。


 ともあれ、無事完結できてよかったです。


 現在、時間は掛かっておりますが、新作を書きつつ、「魔力無し判定の令嬢は~」の更新分も書いております。


 次回作も楽しく(?)読んでいただけるように頑張っておりますので引き続き応援宜しくお願い致します!

最後までお読みいただきありがとうございました★


もし!もし、よければ↓の評価を入れていただきたいです!

ポチッとしてもらえると作者嬉しくて狂気乱舞しちゃいます.˚‧º·(ฅдฅ。)‧º·˚.

どうか、どうか宜しくお願い致します☆

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― 新着の感想 ―
元国王と元第一王子もリアーヌのやってた事を揉み消ししてたのは犯罪なんだから、本来なら一代限りの公爵位貰えるどころかさくっと毒杯レベルでは。 新国王がきっとその内ゴミ処理するだろうけど。
王女の美人だから誰からも愛されるという思い込みを最後まで肯定しながら軽い忠告しかしないで王女を自由にしてた国王がとんでもない化け物なのに、公爵になっただけで教育済みの息子もついて行ってるので恐ろしいな…
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