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アラサーの私、結婚したくて今日、祠を壊します! ~壊したら嫁にしてくれるなんてとても都合のいい話ですね?~  作者: あかね
祠を壊した私が祠の主と結婚するまでの七か月

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12/28

今日、お別れします?

 結婚式から一週間。

 色々な後処理も終わり、残っているのは前撮りした写真の選定くらいである。


 涼さんも持ち込んだ色々なものを片付けてはいるけど、意外と量があって自分でも驚いているようだった。最初スーツケース一個だったのが、段ボール四箱くらいに増えてる。


「まあ、さっさと運んじゃおうかな」


「宅急便?」


「いや? このくらいは自力……いや、台車借りてくる」


「あの、どこに運ぶつもりで?」


「言ってなかったかな。

 ここのマンションの部屋買った。二階の単身者向けが売りに出されてたからそっちに荷物置いておく」


「……おうちにかえるのでは」


「拠点その2かな。

 意外とこう仕事上得るものがあったから商談とかに役に立つ。遊びにも来れるし」


 確かに、売りに出されてた部屋はあった。なんかじーっと見てるなとは思った。意外とお安い?と首をかしげていたが、まさか買うとは。


「だから、こっちに来た時には泊めてよ」


「ご自宅、買ったでしょ」


「レンタルのベッド、期間まだ残ってるから返して、新しいの買うのもったいない」


 それもそうかとも思うし、丸め込まれているだけではないかという気もしている。

 でも、ここにいる理由なんてもうないはずなので仕事の都合というものでもあるのだろう。部下任せといっていたのにやる気だしたのか。


「まあ、たまになら泊ってもいいよ」


「そうそう。たまにね」


 機嫌良さそうである。

 そんな感じである程度片付けて涼さんは帰還された。


 それから一か月。

 部屋が妙に広く感じたり、話しかける相手がいないということに寂しさを感じたりする感受性が自分にあったことに驚きである。

 なんなら神棚になんか寂しいと報告したりした。病んでる。

 連絡先を知っていて連絡しないのは未練がましい気がしたからだ。期間限定であるのに、延長なんて言い難い。無理言ったのは私のほうだし。


 今後も知人程度の付き合いのほうがまだ傷は浅い。そして、やはり未練がましい。


「はぁ、出しちゃおうかなぁ」


 と婚姻届けを見るくらいにはちょっと病んだ。おひとりさまにこんなに弱かったとは。自分でもショックである。

 そして、婚姻届けは大事にしまってるわりによく出してきているので、中々ぐらついている。回収していかなかったり破棄しなかったんだからいいじゃない、と言い訳したい。


 そう思っていたら、足に何かがあたった。気づいて?とでもいうようなちょんちょん。


「…………なんてところから手だしてんの」


 触手というのは足というより手みたいな気がする。

 いや、そうではなく、神棚から一本触手が出ていた。回収していかなかったのか、繋がっているのか。


「なんか、残していた分体から寂しいって話してるってきいたから」


 聞こえてきた声にびくっとする。

 声の方を見れば涼さんがいた。なんか半笑いしているから腹が立つ。


「どこからはいってきたの!?」


「合鍵返し忘れた」


 私も回収するということを忘れていた。

 自業自得……いや、普通、インターフォン鳴らす。


「では返却で」


「じゃあ、これもあげる」


 なんか鍵が2本になった。


「うちの鍵。時々確認しに行ってもらえると助かる。長期不在がばれると泥棒が心配」


「そういうことなら」


 そのくらい請け負うのは友達だからやってもいいレベル、だろうか。ちょっとこう重たいなんかではないよな。たぶん。


「さて、婚姻届け返してもらえる?」


「……はぁい」


 普通そうだよな。

 大人しく渡した。


「じゃあ、提出しに行こうか」


「は?」


「祠を壊したら嫁にするんだろ。

 僕はそんな感じの怪異で、君は魅入られたかわいそうな花嫁。そういうことで」


 いつの間にやら、気に入られていたらしい。

 わからんな、という顔をしていたのだろう。涼さんは苦笑していた。


「嫌かな」


「末長くよろしくお願いします」


 こうして、祠を壊した私、祠在住の怪異の嫁になることになった。

本編はこちらで終了です。嫁になりました。

読んでいただきありがとうございました。

以降、怪異からのダメな人間観察日記が始まります。

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― 新着の感想 ―
怪異の涼さんとめでたく(偽装)結婚まで漕ぎ着けましたね。 今後の展開が楽しみです。
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