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「ついに大々的に発表されたね」
「むしろこの程度の報道で済んでる星の方が少ないけどね。こうやって見ると地球人すげぇってなる。他の星だと大体大騒ぎになるからね、それも悪い意味で」
「いいか悪いかは別としてお祭り騒ぎだもんね……」
リビングで、私とコルはテレビを見ていた。夕方の報道番組。
内容はどの局も一様に同じだ。
政府からの発表、それも、与太話の類を中継したような、そんな報道。
人類が地球外知的生命体との接触を~とかなんとか、そんなことを総理大臣がなんとも言えない表情で話し、周囲のマスコミもなんとも言えない表情でカメラを向けている。
「んで、なんで当事者のあんたはこの家で他人事みたくおせんべい齧ってんのよ」
「だってこういう時に表に出るのって大体上司だし~、私は現地で夜夢ちゃんの監視業務してればいいんだ~……お、噂をすれば、上司サマのご登場だよ」
コルにそう言われ、私もテレビの画面に再度視線を向けた。
そこには三十代くらいに見える男性の全身姿。ただ普通の人と違うのは、特徴的な耳と尻尾。コルと同じ狐? のものだ。
「なかなかのイケメンね」
「えー、夜夢ちゃんああいうのが好みなの? 趣味悪いよ。あんなのただのクソ真面目で無駄に部下に厳しいオッサンだよ?」
「あんたもあんたで上司に対して随分な物言いするわね。もし会う機会があったら言ってやろ」
「ちょ夜夢ちゃんチクるのダメ! 仕事増やされるから!」
「……じゃあ一つ聞くけど、コルは監視業務の代わりにここに居候してるわけでしょ? じゃあ私との会話も報告しないといけなくない?」
「そんなの別にアタシがいちいちやらなくても勝手にデータが転送されるし。だからぶっちゃけアタシがやることってないんだよね。だから監視業務ってホント暇で暇でしょうがないんよ」
「へー、そんな技術あるのね。流石宇宙の科学って感じ」
「ドヤァ」
「でもそれってさ、さっきのコルの台詞も一言一句記録に残ってるってことよね」
「!?」
私に言われてようやく気が付いたのか、コルの表情がさっきまでの得意げなものから一転青ざめる。
「やばいよやばいよ……どうしよう絶対あとでブッコロ……いやたぶん大丈夫だよね別んとこ行ったフォルなんかいつもタメ口だし……」
……とりあえずコルは置いといて、私はまたテレビへと顔を向けた。
コルの上司が言った大体の内容としては、存在を知ってもらうこと。本国的には最低限の関わりしか持たないこと。そして現地に入ったジューリ星のスタッフは基本自由にさせていること。
――――もしかしなくても、最後のやつはヤバいやつなのでは……