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沈黙は金 雄弁はプラチナ  作者: 中田あえみ
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キャリアプラン 5

こんな会議、今まで参加したことがなかった。

……マギーは会議が終了した後、うっつぷしたくなった。勿論実際には、リッキーに指示してお茶を回収し、簡単な点検をして、最後に部屋を出たのだが。


まずは、ケイト経理人事部長の退職が発表された。

経理がネイトに行くと知ってから、早急に転職先を決めたらしい。流石である。

部門長レベルは、通常退職を3か月前に通知しなければならないのだが、転職先がその3か月分の給与を、いわば補償の形で支払うことが決まったため、本日その日で即退職とのこと。


ケイト部長は、粛々と挨拶をし、諸業務は取り敢えずネイト副社長がされる、と述べた。


マギーは静かにため息をついた。リストラが可及的速やかに具現される、という意味だ。


重役の転職はここマニューでは珍しくない。3か月前の通知も普通の契約以内。そして、時には、その場で辞めてもらうのもありだ。転職先が保証してくれない場合は、自分で支払う場合もあると聞く。

しかし、人事方面から、まずは退職ね。

これはこの先どうかと思う。


放漫経営が、造船にバレ、造船から立て直しの人間を送って来た。

これが、ネイザン・ジョーンズ副社長赴任の意味。

そうに決まっている。


トモミ社長が、簡単な計画表を読み上げる。来季の目標など、以前の資料と全く変化のない内容だ。

そして、ネイト副社長に口を開くように促した。


ネイトは一言、「手元の資料をご覧ください。以上です」

だけで済まし、トモミ社長に返した。


彼女は肩をすくめると、「ま、いいわよ」と言い、次に続けた。


その後報告が続くが、最初のケイト部長が経理のみならず人事もネイトに渡すことで、ほとんど意味がなくなっている。つまり、ネイトとトモミが、何をするかに関わってくるので、今までのデータに基づいた計画は全く意味がない。マギーはお見事だと思ったが、それが自分に関わってくるのはごめんだった。


会社の勢力争いには、首を突っ込まないのが上級秘書としての務めである。

上司が沈もうと浮上しようと、『知ったこっちゃない』というのが、秘書の掟だ。

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