キャリアプラン 6
会議室から戻ると、リッキーはまだ席にいた。マギーを待っていたのかも知れない。
「アラン室長から聞いています。ケイト部長の事」
案の定、リッキーはまだ立っているマギーの脇へささっと寄って来た。
「ええ、その通りよ。ここ秘書室も、少し騒がしくなるのかもね」
「マギーさん、前社長の居場所知ってます?」
「ううん、キララ市にいるんじゃないの?」
マギーは少し怪訝な顔をした。すぐに転職先が見つかっているのかは知らないが、別に居場所を探そうとは思わないけど……。
リッキーはものすごく小さな声で、マギーの耳元でささやいた。
「今、インドネシアにいるんですよ」
「え?いきなり?」
だって、社長解任は、4日前、では?いや、その前に決まっていたのだろうけど、何で国外に?
「旅行で?」
「多分それはないと思います。マニュー国から出て行ったという話で」
つまりは帰れない、何か理由があったという事なのか。
マギーが黙っていると、リッキーは小さな声でつづけた。
「実は、総務法務室で、退職関連の書類を前社長の住所へ書留で郵送したところ、戻ってきてまして、電話もつながらないのです。そこで追跡したところ、もう国外へ出たとの結果が昨晩会社へ入ったそうです」
「それはまた、大げさね。何か国内にいられないことをやったって事?それとも、何かに追われてるとか」
借金取りとか?警察とか?監査機関からとか?
あースキャンダルだ。きっと明日は広報からお呼びがかかるに違いない。
キララ紡績自体は地味な会社だが、歴史もあるし、上場もしているので、社会的責任もある。今までお気楽でやってきたツケが回って来たのか……しかも、我々のような、下々に。全く。
マギーは、小柄でよくしゃべるものの、あまり冗談も上手くなく、話が面白くなかった前社長の姿を思い浮かべた。それでもそこそこ売上を上げていたから、トモミ同様、経営手腕はあるのでは、と思っていたのだが……。




