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沈黙は金 雄弁はプラチナ  作者: 中田あえみ
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白金と銀 4

「その代り、キララ造船から人を入れる」

「はい」

沈黙は金、沈黙は金、と。

誰もリストラの話など聞きたくないし、関わり合いたくもない。

しかし。


しかしこれが、事実上初めての上司からの指示である。


トモミ社長とは本当に何もかも違う。

あの人は、もっと人間的だった。前の社長は、全く頂けなかったが、そんな彼に、付かず離れず、自分の地盤を守っていた。


会社に勤めるという事は、清濁併せ呑むというか、攻める時と守る時をきちんと見極めることが重要だろうと思う。10年以上経営陣の秘書として、側にいてマギーが学んだことだ。

生き残れる管理層は、実際はあまり派閥に入ることをしない。

入ったとしても、あまり目立たない。


会社勤めは、言ってみれば、政争に明け暮れる毎日だ。


首をそろえつつ、先頭を切る事はないポジションに就く方が、長く続けられるのだ。しかし、上に登るにしたがって、目立つことが多くなってくる。その時に、見極められるのが、「好み」だと思う。


アラン管理部門長は、好みが分かれる。

勿論多くの人に好かれているし、頭も切れる。だが、彼の愛嬌を軽薄と取る層も存在する。だから、今回は副社長職でなかったのだろうか。

それとも、「ご実家」の意向が強く、キララとして拒めない何かがあったのか。


これは一介の秘書にはまだ分からない。しかしこの目の前の32歳は、150人、いやもっと人を解雇しろという。

これが現実なんだろうか。

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