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「う~ん、どの部屋がいいかな~」と青年は、まだ部屋を開けたり閉めたりしている。
孫ね~、と私の頭は、まだその部分にこだわっている。
吉沢君、もう死んでしまったんか~。いやいや、それはあっちの世界の話。けど、こっちの世界の吉沢君が、今どうしているのかは、全く知らない。
「お祖母ちゃん、僕、疲れて喉が渇いた」と白猫ヤマトの青年が言った。
「あ、そう」
そんなことは知らん。飲み物ぐらい用意しておきなさい、と思っている私の目の前で、青年は冷蔵庫を勝手に開けた……
「お祖母ちゃん、ジュースもらっていい?」
んもう、しつけがなってない!
「勝手に、冷蔵庫」と言ったとたんに、ガラガラガッシャーという凄い音がした。
ズザーーーという大雨の音もし始めた。
何なのよ、一体!
「お祖母ちゃ~ん」と青年が、私に抱きついた。
「何すんのよ!」と突き飛ばすと、青年はあっけなく、カーペットに転がった。
「うわ~~ん」とカーペットに転がったまま、本気で泣いているみたいだ。
「僕、カミナリ、怖いねん。うわ~ん、怖いよ~」
「何言うてんのよ。私かって、怖いけど、泣いたりせえへんわ。お祖母ちゃん、大丈夫? とか言うとこちゃうん?」
スピカー!! と周囲が光った。
来る。1、2、3、グァラグァラガッシャーン!!
「うわ~~ん」と泣き声が青年とはもる。
ええい、もう、どうにでもなれ~。
「怖いよ~、怖いよ~」と青年の手を取って、泣いてしまった。
ヤバイ、エライことになった。と思う。
稲妻が光ろうが、雷が落ちようが、どれだけ怖かろうが、泣いたりする私ではない。
地震の時には、少しばかり涙目になりかけるが、そこは、ぐぐぐと自制する。
そうやって、ずっと一人で、強くたくましく生きてきたのに~~~!!
スピカー!!
もういや!!
グアラグアラグアッシャーン!!!
「お祖母ちゃん、落ちた~!」
「ほんまやな、近いな」と私は、我を取り戻した。
「見てみる?」と二人一組みたいになって、ずろずろ~と窓辺に寄って行く。
ピッカー、と稲光が多少、遠慮気味になっている。
さっきので大分気が済んだみたいやな。雨足も大分弱まっている。
「うわ、お祖母ちゃん、あそこかな?」
カーテンをめくってみると、遠くの方に、うっすらと煙の上がっているビルが見えた。
「そやけど、ビルて、避雷針があるやろ」
「けど、避雷針て、雷を受けるんと違ったっけ」
「避雷針ていうぐらいやから、避ける装置やろ」
「受けるんやで」
「避けるねんて」
ピカ、ゴロゴロゴロぐらいでは、もう動じなくなっていた。




