神の力
俺たちは山を越え、大きな湖へと出た。
「ふぅー、何とか越えられたな。」
「もう、歩けないよぉ〜。」
「私もー。」
3人はふにゃふにゃとへたりこむ。
「水!お水飲みたい!!」
ルルは山を登ってからすぐに、水をがぶ飲みしていたため、山を降りた頃にはもう水筒が空になっていた。
湖に走っていき、水を手ですくい口に含む。
「……っぷはぁ!美味しいお水!」
「私も!」
「俺も飲みたい!」
3人で水を飲む。
透き通った水は、体に染み渡るようで旅の疲れを癒した。
「これからどうする?」
「しばらくはテントを張って、また明日の朝から出発しましょう。」
「そうしよう!」
しばらくテントでゆっくりしていると、、
「こんにちはー!誰かいるのかしらー?」
外から声が聞こえた。
「はーい!」
俺は返事をして外に出る。
そこには、綺麗な馬に乗った、シルクの美しい衣装と、輝く装飾を身につけた思わず見惚れ、たじろいでしまうような女性がいた。
しばらく固まっていると、
「素空ー、どうしたのって、うわっ!綺麗なお方!」
「ヤテンー、どうしたのって、うわぁ、綺麗な人だねぇ。」
3人がキラキラと目を輝かせていると、
その女性は名乗る。
「初めまして。我が名はアルテミス。」
アルテミス………聞いたことがある。
神様の名前だ。
「最上神の勅命のままにこの地に降り立ちました。」
「か……「か……「か……
「 「 「 神様だー!!!! 」 」 」
「もう聞いているとは、思いますが、悪のものが神の力を使い、世界を支配しようとています。」
俺たち3人は正座をしながら、うんうんと、頭を頷かせて話をきいていた。
「そこで貴方たちに、世界を守っていただきたいのです。」
「わ、わかりました。」
「はい、よろしい。それでは、少しばかり手合わせを願おうかしら。」
「て、手合わせ?」
「弓矢を使った手合わせよ。」
そう言うと、女神様の手は光に包まれ、その光の中から綺麗な金装飾と透明な宝石のはめ込まれた、巨大な弓を取り出した。
「これを貴方に。」
「わ、私ですか!?」
ヤテンさんは、驚きながら、自分を指差す。
「私の力に適性があるのはあなた。これを持って。」
ヤテンさんは、その大きな弓を手に取る。
「か、かるい。そんな、これほど装飾が施されているのに。」
「私の力が込もっています。貴方が最も扱いやすい弓となるように創り出しました。」
「あ、ありがとうございます!!!」
「それでは、森の奥へ行きましょう。」
女神様は、指を鳴らすと光の中から馬が出現し、ヤテンさんに乗るように言った。
「お二方は、ここでゆっくりと休んでおいてください。魔のものが段々と近づいています。」
「は、はい。わかりました。」
「それでは、ヤテン。いきましょう。」
「は、はい!」
「馬に乗り、構え、重心がずれないように、標的を撃ち抜きます。」
「はい!」
「さぁ、やってみてください。」
私は言われた通りに、山にいる魔鹿を貫いた。
「ふぅ。」
「よくできました。合格です。それでは次……」
アルテミス様は、上に人差し指を向けた。
「あの山を撃ち抜いてください。」
「………やま?」
「まさか神様が来てくださるなんてな。」
「竜の神様、私本物だと思ってなかった。」
「そうなのか?」
「AIから偶然生まれた未知の産物だって、ずっと思ってた。でも、そうだよね。仮想の世界に生命が実際に生まれて、現実とほぼ変わりなく繁栄を遂げていくことなんて、あり得ないもの。」
「うぅん……俺にはよくわかんないけど、ルルが頑張ってたから神様がちゃんと見てくれてたんじゃないかな?」
「そ、そうかな?」
「そうだよ、きっと。」
「……えへへ、よかった。少し頑張ったかいが、あったかも。」
不意に
地響きがした。
それと共に、とてつもない轟音が鳴り響く。
「な、なんだ!!?」
「な、なんなの!?」
外に出てみると、目の前の巨大な山の真ん中に大きな穴が空いていた。
俺たちは口をあんぐり開けていたが、何処からか声が聞こえる。
「驚かせてしまってすいません。かなり威力を落とし、環境に配慮したのですが、そちらまで影響がありましたね。どうかお気になさらず、ゆっくりと休んでいてください。」
「「は、はい……………。」」
私は後ろにのけ反り、尻餅をついていた。
な、なんだこれは………
「これが弓を射る、ということ。」
「あ、あの………」
言いたいことが沢山あったが、言葉が出てこない。
「これでも私の力の10分の1も発揮されていません。貴方に期待しているのは、これだけの力。できますか?」
「で、できるも何も………」
まるで、神話に出てくる絵空事の所業だ。
見上げることも叶わないほどの、最も高い山が、中心に大穴を開けている。今にも崩れてしまいそうだ。
『戻りなさい』
空間に優しく響くような声が聞こえると、山は緑色の光に包まれ、徐々にその姿を取り戻した。
「とりあえずは、弓の扱い方を教えましょうか。」
「………は、はい!!お願いします!!」
上空から降りて来る。
魔の者の気配が。
「お二方、お気をつけなさい。上空からの奇襲です。」
俺たちは上を見上げる、すると巨大な何かが降って来るのが見えた。
「ルル!!!」
俺はルルを抱えて、テントから飛び出す。
ドォォォン!!!!
と、先ほどテントがあった場所には、もはやそれはなく巨大な何かだけが、心臓に響くほどの大きな息を吐きながら、こちらを見つめていた。
「ハァ…………」
「ルル!下がってろ!!!」
「うん!」
「勇者………ころす。」
「お前を倒す!!!」




