神
「………それでは、始める。」
光の円形が老竜メデロスの上空に広がる。
そして、光の柱が地上に振り下ろされる。
俺は咄嗟にそれをかわす。
爆発で、地上に穴が開く。
俺は振り返って、ヤテンさんが無事か確認する。
「番は別の場所に移した。安心しろ。」
「そうか、サンキュー。」
番じゃないけど。そんなことを言う間も無く、
次の攻撃が仕掛けられた。
強大な爪による攻撃。雷が走ったようなスピードで、俺に切り掛かる。
俺は間一髪、それをかわす。
地上はブクブクと蒸発していた。
「あ、あっぶねぇ。」
間も無く、老竜メデロスは口を開く。
俺は、何かを打たれる前に跳んで、メデロスの顎を殴った。
メデロスの体が宙に跳ねる。
ギャオオオ、とメデロスが背中から地上に倒れる。
「よし!」
俺は、地上に着地して言う。
「もう試練クリアでいいか?これ以上は、意味ねぇだろ。」
「……………」
メデロスは目に見えない速さで、跳躍する。
「………この世界の始まり。」
「………?」
「世界の始まりは、無であった。」
メデロスは話す。
「無の中に、1人の少女がやってきた。」
「1人の少女?」
「我は少女の願いを聞き入れ、生命を世界に吹き込んだ。」
「生命を、世界に?」
「生命はこの世界で育まれ、外界とは異なる生態系が構築された。」
「………外界って、メデロス。あなたは外の世界のことを知っているのか!?」
「我は外の世界の神なり。」
ま、マジもんの神様かよ。
「あ、あの、殴ったりしてすいませんでした。」
「よい。しかし、外界をふくめ世界を闇に飲み込もうとするものがいる。」
「外界をふくめって……どういうことですか?」
「外界は現在、混乱に陥っている。魔王と呼ばれるものが我の力の一部を使い、人間の文明を侵略しようとしている。」
「侵略……って?」
「人が滅び、魔族が世界の主となる。」
「そ、そんな馬鹿な!?」
「すでに侵略始まり、世界に混乱が広まりはじめている。」
「………俺に任せてください!俺が魔王を倒します!」
「そのつもりである。強き心を持つものよ。そなたか持つ力は、我が力の一部。そして、あの娘が望んだ力。心の強さを、優しさを、思いやりをそのまま力として変換できるものだ。」
「あの娘……ルルのことですか?」
「そうだ。あの娘は余程お主のことを好いておるようだぞ。」
「そう……ですね。知ってます。」
「そうか……人の営み。これもまた儚く、美しい。」
「俺は、向き合います。ルルの気持ちに。」
メデロスは、目を閉じ、そしてしばらくしてこちらに向き直るように目を開けた。
「………これから魔族の侵略がますます激しくなる。この世界も、外界も、残された猶予はそう多くない。」
「分かりました!!!」
「最後に、この指輪を与えよう。」
俺の指が光に包まれ、一つの指輪が装着された。
「その指輪は、3度だけ、主を主人として契約し、好きに召喚できる。万が一私の助けが必要な時は、呼ぶがいい。」
「た、助けてくださるんですか?」
「我は世界の中立者。我を呼ぶ時は、その分の代償を支払う必要がある。……仲間と契約し、いつ如何なる時もお主の側に居れるように、すればよいだろう。それは、守るべき時にお主が側に居れるようにするための指輪だ。」
「分かりました!ありがとうございます!」
「ふむ。我はふたたび見守るとしよう。」
辺りが霧に包まれていく。
気づけば、2人は洞窟の中にいた。
「う、うぅん………」
「や、ヤテンさん、だ、大丈夫ですか?」
「そ、素空!!!無事だったか!!?」
「えぇ、俺は無事です。怪我、してないですか?」
「あ、あぁ、何とか大丈夫みたいだ。」
「よかったぁ。」
「あぁーーー!!!!見つけたーー!!!!!」
洞窟に大きな声が響き渡る。
ルルだ。
「心配したんだよ!!!」
ルルは走ってきて、俺たちの前にへたり込んだ。
「心配させて悪かったな。」
「悪かったわね。」
涙目になっている、ルルを俺たちは優しく撫でた。
これから、俺はなんとしてでも2人を守らなければならない。外は、大丈夫なんだろうか?




