出発
「おはよー!」
「おはようございます。」
「おはようさん。」
朝、俺たちはエルフの人たちからもらった、非常食をおいしくいただく。
「このフランスパンみたいなのに、いちごっぽいジャム塗るのうめー!!」
「実は、いちごはほんとにいちごなんだよね。この世界にも外の世界と同じ、果物や食べ物があるんだよ。」
「へー!!マジか!!めっちゃ嬉しいんだけど!!」
「外の世界にも、同じ食べ物があるんだな。」
「外の世界、まだまだ持ってこれてない食事があるから、また外に出れたらこっちに持ってくるね。」
「俺が好きなもんは、お好み焼きだな!!」
「お好み焼き……どんなものだろうか?」
「ふにゃふにゃしてて、食べたら口ん中に旨みが溢れて、もう食べる手が止まんねぇんだ!!」
「へぇ、食べてみたいな。」
「他にも、たこ焼きとか、いか焼きとか!」
「ふふっ、粉物ばかりだね。」
「俺、好きなんだ!!そういうの!」
「また食べれるのを楽しみにしておくよ。……さて、そろそろ出発しようか。」
俺たちは、腰を上げてテントを畳んで、出発する。
馬は戦闘が激しくなる場合に備えて、エルフの村に預けてきた。ふつうに俺たちなら、体力的にも、体の頑丈さ的にも大丈夫だろうということで、お馬さんの安全が第一だ。
「それにしても、日差しが強いな。」
「そうだねぇ。」
「私は、エルフだから日差しに強いが、やはり暑いのは苦手なのか?」
「俺は、散歩が趣味でさ、蒸し暑いのには慣れてるけど、ルルは大丈夫か?」
「ま、まぁ、なんとか……。」
ルルは、汗だくだくであまり大丈夫じゃなさそうに見える。
「それより素空は昨日見張りをしていたから、あんまり寝ていないでしょ。素空こそ無理はしないで。」
「あぁ、ありがとう。」
「もう少し端の影の部分を歩こう。」
ヤテンさんは提案する。
開けた山林を歩いているので、端の方は木の影になって涼しそうだった。
しばらく歩いていると、ヤテンさんとルルは道端に綺麗な花を見つけたようで、2人は話に花を咲かせていた。花だけに。
「ふぁ〜……」
俺はあくびをする。
魔王退治に出かけるとはいえ、先は長そうだし、ルルが外の体は大丈夫だって言ってるから、そんなに急ぐことはないのかなって思うけど、
「やっぱ、心の余裕が大事だよな。」
俺は目を閉じる。
ぽかぽかして眠たい。
「お母さん、あなたには失望しました。」
意識がはっきりとしない。
ここは、病室?
「あなたの恋人だという人たちが、病室に押しかけてきて、一触即発の日々が続いています。病院からしたら、よい迷惑です。そんなに女の子を誑かして、楽しいですか?一刻も早く戻ってきて、はやく女の子たちに誠実な対応を取りなさい。お母さんは、待っています。」
俺は、夢の中でもゆっくりと目を閉じた。
……しばらくは、戻らなくてもいいかな。
きっと時間が解決することもあるだろう。
ちなみに、俺に恋人はいない。
デートもしたことがない。
どうしてこうなっているのかわからない。
本当にこわい。
「……ろ、……ぞろ、……素空!!」
「わ、わぁっ!?」
俺は驚いた声をあげる。
ルルが目の前に立っていた。
「わぁって……立ったまま寝ていたけど、ちょっとあなたも疲れてるんじゃない?今日はここら辺で一度休みましょうか?」
「い、いや、その、ははっ……そ、そうしようかな。」
「急ぐに越したことはないけど、体調を崩しては元も子もないしね。テントを組み立てましょう。」
俺たちは一緒にテントを組み立てる。
「私たち2人で見張りをしておくから、ゆっくり寝ていて。明日には街に着くと思うから、そしたら宿で寝泊まりすればいいわ。」
ヤテンさんはそう言って、俺の尻をしばいてテントに押し込んだ。
俺はスヤァ……と爆睡した。




