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20.私達のご主人様〜sideグレイ、アンジー、エミー〜

ランドルとルージュが、領地へいたその頃オパール公爵邸では…


「それにしても…ルージュ様は、まだ少女ともいえるお歳なのにも関わらず本当にしっかりしたお方だわ…それに…あの美しさときたら…旦那様が長年想いを寄せたくなる気持ちも分かりますね…まぁ、旦那様の想いはいささか重たい気はしますが…」


アンジーが、うんうんと頷きながら言った。


「アンジー…それは旦那様の長年の想いを褒めてるのか貶しているのかわからんぞ…」


グレイが、アンジーの話を聞き呆れた表情で言った。


「あらっ…褒めてるに決まっているでしょう。ねぇ?エミー?」


アンジーは、心外だと言わんばかりに応えた。

そして、エミーに話を振った。


「ふふ…そうですね…公爵様を褒めておられるのでしょう。」


アンジーに、話を振られたエミーはクスクスと笑いながら応えた。


そう…

主人たちが居ない間に、一仕事終えたグレイ、アンジー、エミーがお茶を飲みながら雑談していたのだった…


「それにしても、公爵様は本当に心からルージュ様のことを想っておいでなのですね…ルージュ様にもお話したのですが、実は私はこちらに来るまで公爵様がルージュ様に求婚されたのには何か裏があると思っていたのです…皇太子殿下との婚約破棄後すぐの事でしたので…ですが、実際に公爵様にお会いしてお話を聞いていると裏があるなどと思った自分が恥ずかしくなってしまったのです…それ程、公爵様のルージュ様に対する想いが伝わって来ました…」


エミーは、微笑みながら嬉しそうにグレイとアンジーへと話した。


「確かに…あの歳でしかも…婚約破棄を待ってましたと言わんばかりに求婚をしたのだからエミーがそう思うのも仕方ないわ…」


アンジーは、エミーの話を聞いて苦笑いしながら言った。


「実際に、旦那様は殿下と奥様の婚約破棄を願っておいででしたがね…本人は心のなかで思っていたのかもしれないけれど全て声に出ていたのだから…」


グレイは、クスッと笑みを漏らしながら言った。

 

「確かに…私達使用人が何も突っ込まないから旦那様は、気づいていなかったけど完全に心の声が口から出てわよね…ルージュ様と殿下のご婚約が決まった時の旦那様ときたら…それはもぅ…今にも頭からきのことカビが生えそうな程に落ち込んでいたものね…大の男が手のつけようのない程だったわね…」


アンジーは、当時を思い出す様に苦笑いを浮かべて言った。


「そんなにもですか?!全く想像がつきません…」


エミーは、グレイとアンジーの話を聞き驚いていた様に言った。


「きっと…奥様やエミーの想像を遥かに超える事を旦那様はこの何年もしてきているさ…」


グレイは、呆れた様な表情でエミーへと言った。


「グレイの言う通りよ…本当に旦那様のルージュ様に対する愛故の行動は凄いってものじゃないもの…例えば…婚約の儀にサインする時の為に何年もかけてサインの練習をしたり、ルージュ様から貰ったというクローバーを大切に取っておいてそれを私が押し花にしてしおりを作って差し上げた物を肌身離さず持っている事や……………ごにょごにょ。ねぇ?想像を遥かに超えるでしょう?」


アンジーは、ランドルの今までの行動をエミーへ全て暴露したのだ。


「………。ははは…何と言いますか本当に想像を遥かに超えていますね…それ程までにルージュ様は公爵様に愛されおられるのですね…はは…」


エミーは、アンジーの話を聞いて驚きのあまり苦笑いしながら言った。


「よく言えばそうだけどね…」


アンジーも、苦笑いしながら言った。


「奥様は、旦那様の想いの強さに息苦しさなど感じておられるなだろうか?」


グレイが、少し心配そうな表情でエミーへと尋ねた。  


「いえ…それはありません。むしろ、公爵様とは上手くやっていけそうだと仰ってましたので。」


エミーは、にこりと微笑みグレイへと言った。


「そうか…ならば良かった…」


グレイは、ホッとした表情で言った。


「それにしても、ルージュ様は本当に立派で向上心がありお優しい方ね。昔からあの様な方なの?」


アンジーが、感心したような表情でエミーに尋ねた。


「そうですね…私はルージュ様が七歳の頃に侍女にならせて頂いたのですが、その頃から今と変わらず美しくて優しくて向上心が高くて、明るい方でした。五歳も私の方が年上にも関わらず何度もルージュ様には良くして頂いてます。ちょうど公爵様と出会われた九歳頃には旦那様とお兄様方に護身術や剣術、乗馬なども教えて頂いてました…領地の町の人々にもとても優しく丁寧に接しておられたので、ルージュ様は領地の町の人々からとても愛されておいででした。きっと、オパール公爵家の領地の町の人々にも愛される事になるのだろうと私は思っています。もしかしたら、今頃オパール公爵家の領地の町の人々と仲良くなってるかもしれません。」


エミーは、昔を思い出す様にクスクスと笑いを浮かべながらグレイとアンジーへと昔のルージュの話をした。


「まぁ…剣術に護身術に乗馬まで…ご令嬢で更に少女がやるなど初めて聞いたわ…よくパトリック辺境伯様も教えたわね…」


アンジーは、エミーの話を聞き驚きながら言った。


「そうですね…旦那様も奥様がお亡くなりになるまでは辺境伯でもあり軍人でもありましたから…女性が護身術や剣術などをやってはいけないという規則などない上に、ルージュ様が自ら習いたいと仰った事もあり旦那様はすぐに教えておられました。十四歳だった私は物凄く驚いたのを今でも覚えています。」


エミーは、グレイのアンジーへと説明した。


「パトリック辺境伯様は、立派な軍人だと旦那様のお父様である前公爵様が仰っておられました…その娘である奥様はきっとよほどの腕なのでしょうね…奥様もまた、私達の想像を遥かに超える事をしてらっしゃいますね…」


グレイは、クスクスと笑みを浮かべながら言った。


「確かにそうね…ルージュ様は旦那様とはまた違った想像を超える事をしてるのね…きっと、旦那様はこれから更にルージュ様に惚れる事になりそうね…」


アンジーは、どこか苦笑いを浮かべた様な表情で言った。


「私達が呆れない程度にしてもらいたいがね…」


アンジーの話を聞いてグレイはクスっと笑いながら言った。


「ですが…本当にあのお二人なら上手くやっていける様な気がします。」


エミーは、笑顔を浮かべながら言った。


「そうね…これからも二人から目が離せそうにないわね…ふふ…」


アンジーも、ニヤりと微笑みながら言った。


「はは…アンジー程々にするんだぞ…私達も二人のする事の力になれるところはなりたいものだな…」


グレイは、優しく微笑みながら言った…


グレイの話を聞いた、アンジーとエミーは笑顔で頷いたのだった…


主人達の知らないところで、使用人達のお茶会は幕を閉じたのだった…




その頃、領地にある町では…ランドルがくしゃみをした。


「くしゅんっっ!」


「ラン様大丈夫ですか?」


くしゃみをしたランドルを心配したルージュが声をかけた。


「大丈夫だ。急にくしゃみがしたくなってな…」


ランドルが言った。


「ふふ…どこかで誰かがラン様の事を噂しているのかもしれないですね…」


ルージュが、クスクスと笑いながら言った。


「はっ、まさか邸でアンジーが私の話でもしているのではないか…」


ランドルは、ハッとした表情で言った。


「そうかもしれませんね…ふふ…」


ルージュが、またクスクスと笑いながら言った。


ルージュの笑顔を見て、ランドルもクスッと笑みを溢したのだった…


公爵邸では、使用人たちが自分達の事を話しているなど知らない二人は笑い合っていたのだった…

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