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偏差値70は最強じゃない!  作者: 鮫の歯
第一章 華炎の国
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偏差値41.5 サブ タルタロスでの談話

─────冥界にて

タルタロスがソウタの召喚により勝手に冥界の外に出ていってしまった。



フェンリル「ハア~~。また行ってしまったよ。タルタロス様」

執務室にて犬耳の大男が困り果てた顔でため息をつく。

イザベラ「あはは……。まぁいつものことですし、ほら、お茶が入りました。休みができたと思って……」


大男はお茶を受け取りながらもうーん、と悩んでいる

フェ「いつものこと、ねぇ。冥界の最高権力者がそんなにあっちこっち行ったらだめだろう?しかも神様だし」

イ「神様だってずっと働き詰めは嫌だと思いますけどねぇ。私を助けに来てくれたときはかなり生き生きしてましたよ?」


フェンリルはお茶を置くとグイーッと伸びをした。

フェ「そりゃあね。タルタロス様が出歩きたい気持ちはわかる。私だって縛られたいときは何度も青空の下、だだっ広い場所を思いっきり走りまわりたかったし」

イ「あ、そうでしたね。フェンリル様って狼でしたよね」

イザベラはくくっと笑った。


フェ「……そんなに私は狼っぽくないかい?この耳とか、ほら、狼だろ?」

フェンリルは頭の上の耳を指していう。

イ「うーん。狼というより、犬?ですかね。可愛らしいですよ」

フェ「犬?犬かい?狼だろこれは!」

イ「いえ、犬です。毛並みもいいですし、他の方に聞いても私と同じくらいの年齢の方なら犬ですよ。狼なんて森の中でしか見たことありませんし」


フェンリルはハァー、とため息をついた。

フェ「なるほどね。どーりで最近新しく採用したメイドたちが『フェンリル様の耳ってかわいいよねー!いつかもふもふさせてくれないかしらー?』とか言うんだな。ハッまさかお前が言ったんじゃないだろうな」

イザベラはそっぽを向いて口笛を吹いた。

イ「♪~~♫~~~♪~」


フェ「おい!お前か!」

イザベラはそっぽを向いている。

フェ「………………」

フェンリルは諦めて椅子に座り直した。


フェ「……まあいい。私の耳のことは置いておこう。それより目の前のことをしよう。イザベラ、さっき書類を持ってきたよな。何についてだ?」

イザベラはお茶を持ってきたおぼんの下に隠していた書類を出した。

イ「えーっとですね……監獄の衛生状況についての報告書と設備修理の許可の申請書です」


フェ「ふむ。報告書は私がもらおう。それはタルタロス様の許可が必要なやつか?」

イ「はい。重要度Ⅲの施設についてです。急ぎではないですが近いうちに、とのことです」

フェ「どれどれ……まぁ私でもいいだろう。どーせいないんだから代行の権限で許可しておこう。……よしっと」

イ「いいんですか。出張でもないのに勝手に代行で……」


フェ「構わんさ。一回でたらなかなか帰ってこないし大丈夫大丈夫」

イ「………意外とガバガバですね。文句を言う人とかいないんですか?」

するとフェンリルは大笑いした。


フェ「文句だって?ハハハ、文句なら私がいつも言っている。それにタルタロス様に文句を言うなんて恐ろしくて普通はしないよ」

イ「ああ……鎖ですね」

イザベラはお茶を飲んだ。

フェ「そうとも。あの鎖は恐ろしいからね!馬鹿なことを言うとすぐ消されるよ!『命』を奪われるからね」


イ「そんな笑顔で言わないでください!……そう言えば」

フェ「ん?どうしたんだい?」

イ「元々グレイプニルはそんな命を奪ったりするものではありませんよね?こういってはなんですがただの鎖……」

フェンリルはお茶を飲み干した。

フェ「ふむ。君には()()()神話を読ませてなかったね。ならしょうがない」

イ「うち……冥界Verってことですか?神話にバリエーションがあるのですか?」


フェンリルは頷いた。

フェ「そうとも。ここ冥界……というかあの世で生まれて育ったのなら誰でも知っていることなのだが。まあいい、読みやすいのを選んで送っておくよ。暇なときに読んでおくといい」

イ「あ、ありがとうございます」

フェ「はは、でも発言には気をつけるといい。グレイプニルを知らなかったとしてもただの鎖扱いとはね。私が今の私だからいいものの、下手したら君を噛み殺していたところだ」

フェンリルはニコっと笑う。


イ「え……」

フェ「私が一番の被害者だからいいものの、グレイプニルに封じられたものは多い。あれを『ただの』呼ばわりしたら怒り心頭怒髪天が爆発!!さ。アハハ」

イ「し、失礼致しました」


フェ「フフ。いいだろう。知らないのなら無理はないこと。地球ではグレイプニルは「ちぎれない鎖」としかなっていないらしいし。ウン、タルタロス様が戻るまで仕事も進まないし、私自ら教えてあげよう。イザベラ、おかわりをもらえるかな? 」

イ「あ、ありがとうございます!」




フェ「ふむ。まずは私のことから話そう」


私がロキという神の息子であることは知っているかな?ロキは巨人だったとか神でないとか色々あるがソレは置いておこう。

君が読んだ神話がどのようなものなのかわからないが、最初に言っておこう。


ありゃ嘘だ。


おや、驚いたかな?特に人名が出てくるあたり、嘘まみれだとも。

私がグレイプニルに縛られる際にもいろいろな逸話があるみたいだが、ほとんど嘘だとも。脚色と美談まみれさ。

実際はねえ、まあやらかしたヤンキーが警察に捕まった、と考えてもらえばいい。


私は狼の姿で生まれた。小さいときは悪いことはしなかったんだが、成長すると悪さをし始めた。

君もわかるだろう?悪ガキとはこういうものだ。暴れまわったり、つるんだり、怒られて、懲りずに悪さを繰り返す。

父親がアレだからね、悪名高いロキだからね、性格が似たのかもしれない。


で、誰か予言したやつがいてね。予言しなくても誰が見ても私が悪党になるのは明らかだった。

そしてやらかしたのさ。神々を怒らせてしまって私を封印することに決まったのさ。


確か「孫悟空」とかいう猿も悪さの果に石に封印されたとか。似たような輩はいるんだね。


で、最初は紐、つぎに鉄の鎖、さらにもっと強い鉄の鎖。全部私は引きちぎってしまったのさ。

「お前らの言いなりにはならないぞ!」ってね。

いやー、今から思うと馬鹿だったなあ。


そして、ある意味運命の出会い、小人たちが創った絶対にちぎれない鎖、「グレイプニル」の登場だ。


イ「おお……!!」


いい反応ありがとう。

グレイプニルはドワーフと呼ばれる小人たちが創った鎖だ。

ドワーフは鉄の加工や不思議なものを作るのが得意な種族だ。

材料は猫の足音、女の顎髭、山の根元、熊の神経、魚の吐息、鳥の唾液の6つの材料からできていると言われている。

それも間違いだ。


他に色々なものを使っている。そうでなければあんな頑丈なものを作れない。タルタロス様によると神の内臓も入っていたとか。


そして、なぜ触れたものの性質を奪う、という性質があるのか。答えは簡単だ。


「ブラックだったから」


予想外な理由だろう?

だけど本当だ。

いくら私が暴れ狼だったからと言っても鉄の鎖があればつなぎとめることができると神々は思っていた。

しかし私は神々の予想を超える怪力を持っていた。自分でいうと恥ずかしいな。

だから大急ぎでドワーフに丈夫な鎖を発注したのだよ。絶対にちぎれることのない鎖をね。


悲しいかな、今も昔も労働環境は悪かった。今のほうが改善されてはいるがね。

元々一般の方達からの注文もあったのに神々から大急ぎの特注モノの注文、ブチギレただろうね。

本来なら突っぱねるところなんだろうけど相手は神々だ。断るわけにも行かない。


これはタルタロス様から聞いた話なんだが創った本人に聞いてきたそうだ。

生きてたの?って?   生きてたんだよ。手伝いをした当時見習いだったヒトだったがね。


「アレは大変な依頼だったとも。お師匠が切れまくってたからな。正直神サマ達よりお師匠をなだめるほうが大変だったさ。そして提示された報酬の少なさについに噴火だよ、噴火」

ってね。


ま、察してくれたと思うが、諸々の事情でキレたドワーフが追加した機能さ。

受け取りに来た神には「馬鹿力を封じれる」と言ったらしい。

すでに犠牲者も出ていたので喜んで持ち帰った、と。


効果は抜群さ。暴れる私の力を吸収、魔力まで奪って難なく封印完了さ。

悔しかったが、ソレはソレ。私をしばるときにも逸話があるらしいがソレも嘘。

実際は私と周りの神の大混戦さ。今でいうとプロレスかな?それに近い状態さ。

向こうは私を押さえつけるのに精一杯、私も抜け出すのに精一杯、そんな余裕はない。


そしてグレイプニルの「奪う」性質がうまく機能しなかったらしい。

触れたものの性質を奪うはずなのだが私に押し付けても3回に1回ぐらいしか発動しなかったらしくてね。

なにが悪かったかのはタルタロス様にしかわからない。

そして、だ。


どこに私をつなぎとめておくかが問題になった。私を何故殺さなかったか?私の血は不浄らしく、大地を汚染させないためらしい。  デマだがね。

酷い悪口を言うやつはどこにでもいる。そしてそれを信じてしまうものもいる。


悟ってる? 被害者だもの。あと、何年生きてると思ってるんだ。


そしてギリシャ神話のタルタロスに捨てよう、となった。

勘違いしてほしくないのは今のタルタロス様とこれから話すタルタロスは別物だと考えてほしい。


北欧神話トギリシャ神話、なぜ違う神話、土地なのにつながったか。

答えは簡単だ。 お互い有名だったからだ。

信仰だのなんだのはおいておいて、進めよう。


タルタロスはそのころ、地の底と言われ、暴風が吹き、陽の光が届くことのない場所だった。

タルタロスは原初の神の一柱。ガイアは知っているかい?大地の神さ。


タルタロスも、いうなれば冥界の神なんだろうね。その場所自体が神なんだよ。

で、ゴミ箱として使われたわけだ。

万一鎖を解いたとしてもタルタロスから這い出ることはできないだろう。ってね。


そして放り込まれ、たった一人で生きることになったんだ。


なぜ生きていられるか?腹は減らなかったのか?

ああ、それが厄介なことにグレイプニルが私から「死ぬこと」を奪ったのだよ。

要するに不死になったわけさ。

腹が減らなかった理由はその時気づかなかったんだがタルタロスが私に魔力を供給してくれていたようだ。

神の息子だが私は魔獣に近いもの。魔力さえあれば腹がへることはなかった。

とはいえ、寂しかったとも。タルタロスに来るものはいない。私の仲間も殺され、助けにくるものはいなかった。


タルタロスには他にも幽閉されているものがいたらしいが何しろ暗く、身動きもできないので知らなかった。

そして、だ。

数千年たち、グレイプニルはあるものを奪い、一体化した。




それが「タルタロスの魂」だ。

冥界、タルタロスという神の魂の一部を吸収、一体化した。

本来神の魂は物に宿ることはないがグレイプニルの性質と神の息子である私という存在が触媒になり、この現象が起きた。


あと、タルタロス自身が私と話がしたかった、というのもある。


そして今のタルタロス様が生まれたわけだ。


最初はウニョウニョ動く鎖でね、急にグレイプニルが動き出して私を開放してくれたのさ。その後蛇のように動き出して誰かから「声」を奪ってきて話せる様になって。


なんだかんだあって今の私の姿になり、タルタロス様も今の姿になったんだよ。

ちなみにタルタロス様は鎖に宿ってから今年で……数万年だ。つまり私もタルタロス様とそれだけの付き合いさ。



さて、なぜ奪う性質があるか?それはドワーフがキレたせいだが、なぜ奪うのか、はこうだ。


増殖機能。


生物の生きる目的、それは増えることだ。同じ種類の個体を残し、増やすこと。

それと同じようにグレイプニルも増えようとする。生物ではないがね。

概念、物質、何でもいい。奪えるものは奪い、それをもとにして鎖を生成する。

とはいえ、生物ではないから制御もできず、神々は苦労したらしいがね。

さっきのドワーフによるとクレーム防止でもあるらしい。


ちぎれないと言っても相手は神々だ。どんな事があるかわからない。

なにかの拍子でちぎってしまい作り直せと言ってくるかもしれない。

もう一度作るのは死ぬより嫌だったらしい。クレームを言われても大丈夫なよう自分で増えるようにしたのだと。

私にとっては迷惑な話だがタルタロス様は気に入ってるし……


そのおかげで良いこともあるんだがね、もちろん君を助けることもできたしタルタロス様も生まれたわけだし、私も狼の姿からこの姿にもなれたわけだからね。ものは使いようだよ。


奪う能力もタルタロス様が制御できるようになったし、冥界がここまで発展したのも元を言えば全部グレイプニルのおかげさ。運命はわからないね。





フェンリルはお茶を飲んだ。

フェ「どうだい?少し脱線したかもしれないがわかったかな?」

イ「いえいえ!面白かったです!意外と現実的で!」

フェ「喜んでもらえたら何よりだ。実際はそんな小説みたいに行かないものだ」

イ「事実は小説よりも奇なり ということわざを聞きましたが」

フェンリルはそっぽを向いた。


フェ「……何にせよこれが事実だ。」

イ「ふふっ子供っぽい。それで、タルタロス様が真名がグレイプニルと言ったのもわかりましたがいいのでしょうか?」

フェ「何がだ」

イ「タルタロス様は冥界そのものであったわけですよね?大いなる大地のように畏怖するべき神であった。なのに、こういってはなんですが鎖に宿るのは神としてはふさわしくなかったのでは?」


フェ「ふむ。」

フェンリルはイザベラの方を向いた。

フェ「良い質問だ。私も学者連中によく聞かれたよ。長い刻をともに過ごした私が答えよう。」

フェンリルはイザベラの目を見た。


フェ「無論そうだとも。いくら神代に作られた鎖といえども物に原初の神が宿ることはあってはならない。いいことではない。しかし、だ」

イ「しかし……?」

フェ「物にやどり、自由に動くことはタルタロス自身の願いであった。」

イ「願い……さきほどもおっしゃいましたね」


フェ「そう。タルタロスは原初の神の一柱。そして冥界そのものを体、魂とする神だ。身動きしようにもできない。ただタルタロスは神々の敵を収容するだけの場所となり、苦しむ様子を見ているだけだった。」

イ「…………」

フェ「そんなときに私が落とされた。興味を持っていたらしい。特に酷い罪を犯したわけでもなく、脅威となる存在だという理由で落とされた私をね。そして、触れるものの性質を奪うグレイプニルに注目した。」


イ「なるほど。宿れば動ける、と」

フェ「うん。動くことができれば自分をレ○プしたガイアを殴りに行ける、とね」

イ「…………はい?」

フェ「知らないかい?タルタロス(男神)ガイア(女神)にレ○プされたことがあるんだよ。子供は化け物だけど。あ、私のほうが化け物か、アハハハ」


イ「…………………………」

フェ「ま、その話は今度だ。おーい。入ってくれ」

ドアの外で慌ただしい音がしたあとノックの後ドアが開いた。


部下「失礼します!緊急の用事でって……あれ?タルタロス様は?」

フェ「タルタロス様ならいつもの散歩だ。私が代わりに受けよう」

部下「そうですか。いつもすみません。これなんですが……」

フェンリルは書類を見て頷いた。


フェ「よし。これなら私でも大丈夫だ。イザベラ。考え中すまないがついてきてほしい。魔物退治だ」

イザベラはフェンリルに呼ばれハッとすると

イ「了解です! 」


イザベラは着替えに自分の部屋に向かった。


続く







ポイントほんとにお願いします

評価はどの話からもできるので

まじでモチベに繋がります

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