偏差値33 旅籠屋
Point
マ・ラ「はーい」
クレーネはまさか自分は、と
ク「ねぇ、私は?」
ソ「お前もだ。愛されなければ魂がなくなるとか言っているけど、結局魔力を補給すれば大丈夫なんだろう? 別にスキンシップぐらいなら構わないが、コラ。絡みつかない。とにかく、絶対にしないからな」
クレーネは不満そうに口を尖らせて
ク「……ふーん。分かったわ」
…これ絶対に何か考えているな。後で対策しないと。
俺はパンドラボックスからそれぞれ荷物を出し、各自に渡した。
この世界、というかこの国には風呂という概念がない。
いや、あるにはあるのだが普及していない。井戸から汲み上げた水を浴びるだけだ。冬は沸かした湯をあびるだけで貯めるということをせず、石鹸も高級品だ。
ここの気候は日本ほど温暖湿潤ではなくどちらかというと西岸海洋性気候(Cfb)だ。ケッペンが最も住みやすい、居心地のよいとした気候だ。
が、日本に比べれば水が得難い。
川はあるが湧き水、井戸水が日本に比べると少ない。雨も降るには降るが少ない。要するに水が貴重なのである。故に大量の水を使うという文化がない。
しかし、俺は魔法でいくらでも水は出せる。火も起こせるし、それに土を操り風呂桶を作ることも可能だ。
セルト村で早速風呂を作ると村の人たちは興味を持ってくれた。最初は俺用のつもりで村の隅に作ったんだけど、結局村用に大きな風呂を作る羽目になった。俺が一人で男湯と女湯に分け熱いお湯が循環するようにした。
カグツチさんが来てからはこれが改良され魔法なしでも使えるように、魔石(俺が修行という名目で狩らされた魔物の)を使って大規模な風呂が作られた。実は彼らもこっそりと旅先で風呂を作り疲れを癒していたのだという。もちろんメンデルさんも協力してもらいかなり便利なものになった。
というわけで今俺たちは風呂にはまってしまっている。体の芯から温まるのが気持ちいいそうだ。すごくわかる。
一時期勉強が忙しすぎて寝ることとお風呂だけが唯一の快楽になった時もあるし、何より水で流すだけでは風呂になれた俺は疲労が取れない。
なので女将さんから許可を取り水浴び場の隅に土の壁で囲った風呂場を作らせてもらった。終わったらすぐに土に戻せるしいいだろう。
トルエノは水に濡れるのが嫌なので部屋で寝ている。寝てばっかだなこいつ
よし完成だ!なんとか作れたが五右衛門風呂のように下から火で温めて沸かす簡単な仕組みだ。
マインが様子を見に来た。
マ「さすがソウタ!もうできたの!」
ソ「さすがっていうほどじゃないけど。じゃあ女の子3人で先に入ってね。終わったら俺たちが入るから」
するとマインはキョトンとして
マ「? 一緒に入ればいいじゃない。時間がもったいないし」
ソ「いやでも俺男だし。なぁケイ?それにまだご飯まではまだ時間はある。急がなくても大丈夫さ」
マ「もう!ごちゃごちゃ言ってないで入りなさい!皆に入ったほうが楽しいでしょ!
ケ「うわぁ!」
服を強引に脱がされ、強引に連れられ、強引に入れさせられた。少し広めに作ったからいいものの。
マ「なんでそんな端っこに縮こまっているのよ。こっち来なよ」
ケ「いや、あのちょっと…」
マ「もう!」
マインはケイの腕をぐいと引っ張った。不意打ちだったため、ケイは転がり出るように女子3人の方へ転げ出た。
ケ「すいませんすいませんすいません」
俺は引っ込んでいたが、まあしょうがないな。バベルの塔が。
すると3人は以外にも、といいたいが予想通りこちらを見た。
マ「…あはは。ごめんごめん、確かにそうだったね」
マインはそっと手を離した。
さすがに昔と違って恥じるようにはなったか。
ラ「ほほうこれが……」
ケ「ちょっとガバって開かないでください!」
クレーネも顔を手で隠しているだけだ。隙間が多くて隠しきれてるか知らんが。
しょうがない。こっちは一人、向こうは3人だ。
ク「………大きい」
ゆうな
前も顔で手で隠しているが指の間から。
もうケイは恥ずかしさで何もできない。……ったく。
ソ「女の子なんだから少しは隠せ。こっちはそういう年頃なんだから」
俺もだけどね。
タオルなんてあるわけがない。
ク「恥ずかしがることはないじゃない。小さいならそれは恥ずかしいことだけど、大きいんだからむしろ誇ることだと思うわ」
ケ「ちょっと!どういう理論ですか!」
ク「ニヒヒ。」
ソ「そういう問題じゃなくてだな。そもそも………っておい!」
クレーネは倒れて水の上にういている。
ク「ごぼごぼごぼごぼ……」
ソ「うわー! のぼせたんだ。早く出さないと!」
熱い風呂の中でこういうことしているから頭に血が上ったんだろう。
ていうかクレーネは精霊だったよな。のぼせるのか?
慌てる俺たちの声を聞いた女将さんは
「あらあら。楽しそうね」
「ご飯ができましたよ!」
女将さんに呼ばれて宿の食堂に行った。
部屋でクレーネののぼせをさましてる間にバンクさんは先に食堂に来てキセルをふかして女中さんと話していた。
俺達が来たのに気づき、バンクさんは声を掛けた。
バ「おや若旦那。もう湯をあびたんですかい?」
ソ「夕食の後に入ろうと思ったんですが、マインがもう入りたいと言うんで。疲れは取りましたよ」
バ「はは、そうですかい。ところで今日は旅の初日だ。それにクレーネちゃんも仲間になった。盛大にお祝いしましょう!」
まあいいけど。やっぱり飲みたいだけなんじゃないかな?←正解
テーブルの上には様々な料理があった。
肉をタレで焼いたものに野菜や山菜の煮物、芋と麦を一緒に炊いたものなどいろいろだ。
出来たてだからどれも美味しい。マインは美味しそうに食べているが、ラコンは特に肉が大好きなのでガツガツ食べていた。クレーネは精霊だが肉は平気なのか、観察しながら食べていた。はじめて食べるからか?
ちょうど村人の狩りでスルフィンドボア(長い牙の猪の意味)が捕れたそうで、その肉を分けてもらったのだという。
トルエノは女中たちに可愛がられて尻尾を振りながら小麦の何か混ぜたものを食べていた。もはやただのペットだな。
セルト村とは違う味付けなのでケイも満足して食べた。俺も美味しいと思ったが、洋食なので何分米がないのを悔やんだ。
ここの土地は水はけが良い。とても水田を作れるほどの土壌ではない。スキエンティアではお米は少ししか作られておらず、高いので買うのはやめた。はぁ、いつかおにぎりが食べたい。
俺は断ったが、バンクさんが是非というので酒を1合ほど飲んだ。
うまくごまかしてケイに飲んでもらおうかと思ったが、それは俺が逃げることになるとケイが断った。
酒の味は嫌いだが案外ここの酒は美味しかった。聞いてみると実は、さくらんぼや なしを発酵させて作ったものでまるでミックスジュースのような感じだった。神眼で分析するとアルコール分が少なく、本当にジュースのようだった。これなら俺も飲めると喜んでいたら、ケイに酒に神眼を使うなと笑われた。確かにそうだなと俺も笑った。
他の客達も来て旅の話を聞き、席を立ったのは刻五つ、午後8時頃だった。現代の感覚だとちょっと早いと思われるかもしれないが、灯りをつけるのももったいないので早く寝ないといけない。酒のアルコールは分解したから酔いは覚めている。二日酔いはしない。
なんでもこの魔法は大酒飲みの魔法使いがトラブルを起こしたので反省し、必死になって発明した魔法なのだそう。魔力を活性化し、肝臓の働きを倍以上にする。分解された後のアセトアルデヒドをできるだけ腎臓に行かせ、全身に流れないようにする。
これほんと現代でも欲しい。 これは大発明だと思う。マインやラコン、クレーネも食事には満足したようだが酔っ払ってフラフラだ。
あ。ウコンの力飲ませるの忘れてた。大丈夫かな。この魔法は自分には効くが他人にすることはできないのだ。人体の構造を理解していないとこの魔法はうまく扱えないのでマイン達には難しい。
バンクさんは別の部屋に泊まるので別れた。
ああ。重い。酔っ払いを扱うのは大変だ。酔い覚ましの魔法が使えないし、まぁ使ったところでなんだけど。
俺のように2人居るから片方、主にケイが酔っていたら素面のもう片方、99%俺が魔法を使えるということだ。前述の魔法使いはまだ酔いが回らないうちにこまめに使ったそうだ。
まだ何かグダグダ言っている3人を女中とトルエノに伝ってもらって部屋まで運んだ。
もう布団が敷いてあって、
「あの、枕がひとつしか…」
「………あー、すいません。違いましたか。今すぐ持って参ります」
布団の間も近いしこれは……
3人を置いた後すぐに女中さんは枕を3つもってきた。そして子供用の小さい枕をトルエノ用に持ってきたようで。よほど気に入られたんだな。
3人は布団の上でもまだ何か言っているが、構わない。ちょうど酔っているならそのまま寝かせてしまおう。すぐに酔いつぶれて寝るだろうし。強引に寝かせるとむにゃむにゃと眠ってしまった。マインはおとなしく寝てくれた。が、ラコンは甘噛みを俺にしてくるし、クレーネはなんか体の一部を水のようにして俺に絡みついてくるし………この特技便利そうだけどなかなか厄介だな。
トルエノはまだ起きると言って部屋を出て行った。 夜行性なのかな。でも昼間も意外と動いてるしな。うーん、まるで猫のような奴だな。
…………さてと俺もどうするか。まだ寝るのには少し早い気もするな。何か魔法の研究でもするかな。どうしようか。ちょっと眠いな。
ケ(僕も眠いです。明日も早いですからもう寝ましょう。 疲れていないようで多分結構疲れていますし)
ソ(…そうだな。じゃあおやすみ )
ケ(おやすみなさい)
いかにも宿屋らしい少し薄い布団を被って俺達は寝た。
しかし、まだ夜は終わらなかった。
次回は濡れ場です
いま期待しました?
書けるわけないじゃないですか
書きます





