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マホロバ堂書店でございます  作者: 木下秋
夏目、書店員になる
24/33

その男、倉田光 ①

「おっ! 『アントマン』が売れてるなぁーっ!」



 野太い、よく通る声が店内に響いた。見ると、倉田さんがうれしそうな顔で、棚を指差している。



「そうなの! さっき、おじさんが『綺麗な絵だなァ』ってね。わたしが売ったんだよ!」



 棚の向こうから顔を出して、そう応えたのは小川さんだ。



「コレ、アメコミが一冊売れたら一冊増やしてくれる、って話。覚えてますよね?」



 元々、うちの店にはアメコミなど一冊も置いてなかった。聞いた話によると、単価も高いし、一部のマニア(倉田さんのような)しか買わない商品だったからだそうだ。


 「これからはアメコミも売れる!」と豪語し、コミック担当である小川さんにアメコミを店に並べるように進言したのは他でもない、倉田さんだった。まず一冊、試しに発注してもらって、それが売れたら再発注すると同時に、更にもう一冊種類を増やしてもらう。そんな約束をしたらしく、倉田さんはアメコミを売る為に自分でポップを描いた。今、うちの店にはアメコミが三冊置いてある。「いつか、アメコミコーナーを作ってやるのさ!」とも、彼はいっていた。



「で、次は何を入れる?」



「次はですね。『アルティメッツ』っていうアベンジャーズのシリーズで……」



 この男の人の名は、倉田くらたこう。十九歳。一個上の、アツい先輩だ。

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