第11話 食蟲食物〈プレデタープランツ〉
後書きにて主人公視点で今回戦う植物についてまとめました。良ければ資料としてお読みください。
こちらの動きに反応する様にソレは触手で攻撃をしかけてきた。よく見ると触手には毛のようなものと粘液で覆われている。モウセンゴケ?だっただろうかそれに近しい物のようだ。初見の際にも思ったが、この植物は様々な食虫植物の特徴を備えている。まるで、キメラのように。
迫る触手に真正面から突撃し、ギリギリで躱していく。いくらかの攻撃が身体を掠める。しかし、問題は無い。流石に昆虫の王、硬さは随一選んで正解だった。
(アイリス達はどうだ?)
視線を向ける。良かった、どうやら各々で対処できている。
(けど、このままじゃあの子を助けられないな。せめてもう少し攻撃の密度を下げなくては…。)
『それなら…!』
低い羽音を響かせながら角による牽制を続け攻撃を誘導する。この体のおかげである程度技術が無くても無茶ができる。
『行くぞ!』
高度をあげる。黒い体に追従するように触手が攻撃を仕掛ける。よし、これなら…。
「流石です、主様。」
主様が触手を引き付けてくれたおかげで隙ができた。この気は逃せない。あの子を助け出さなくては。
体を変化させる。獣と人の中間、私の中で最も戦いに適した姿。
懐に飛び込み植物の体に乗る、触手がほとんどないおかげでここまでは簡単だ。しかし…。
「問題はここからですね…!」
近づいた瞬間、鬼灯のように赤く染まった口が襲う。だが、精度は高くない。目が見えてるわけでは無い?なにかに反応しているようだ。
「ですがっ!」
数が多い。このままでは物量で押し切られる。せめて攻撃のタイミングさえ分かれば…!
(冷静になりなさい私…!少しでも情報を得なくては。)
その時だった。グンッ!足がなにかに引っ張られ離れない。コレはっ…!
植物の体に目をやる、それには薄くではあるが毛が生えていた。おそらくはコレで外敵を感知しているのでしょう。ですがそれなら…!
迫り来る攻撃の中一瞬だけ変化を解除し人の姿に戻る。拘束が緩んだ隙にそこを抜け出した。そして…。
「フンッ!」
思い切り踏み込みジャンプをする。
(この植物が毛に触れた瞬間に反応をし、攻撃を仕掛けてくるのなら…。)
予想は正しかった。植物は何も無い虚空を攻撃している。
(毛で触れている瞬間は分かってもその後の動きは予測できないみたいですね。知性がなくて助かりました。)
その隙にさらに体を飛び上がる、そうして何とか少女を捉えていた触手までたどり着いた。
「良かった、まだ息は有りますね。」
息があるのを確認し急いで助け出す。
「ウォフ!!」
「六郎、良かった無事ですね。急ぎましょうここは危険です。」
待機していた六郎共にその場を離れる、空を見るとそこには急降下を始めた主様の姿があった。
空中戦の最中アイリスたちの姿に目を向ける。どうやら助けられたらしい。
(これなら、アレをやれる!)
グンッ!体の抵抗を無視し無理やり急降下を開始する。
あれだけの巨体だ、仕留めるには相当のダメージを蓄積させる必要がある。だが、この方法なら…!
『確実に仕留められるよなぁ!!』
垂直に近い角度で落下する身体は迫る触手すら跳ね除け見る間に加速していく。空気を切り裂き、角が熱を帯びる。
『ぶっ潰れろ!!』
次の瞬間、貫かれたそれの破片が飛び散った。叫びはなかった。植物は抉られた部分を庇うことなく悠然と立ち尽くしていた。決着は着いた。
「ウォフ!」
地上に降り立ち変態を解除するとすぐに六郎が駆け寄ってきた。口にはさっき預けた服を咥えている。
「ありがとう、六郎。」
「ウォフウォフ♪」
着替えを済ますと六郎が手を引いてきた。
「アイリス達はそっちにいるんだな。」
そうして俺はアイリスと助け出された少女の元へと向かうのだった。
「アイリス大丈夫かい?」
声に反応しアイリスが答える。
「はい、助けた女の子は無事です。まだ、意識は戻りませんがかすり傷程度で目立った外傷はありません。」
「あ、うん。報告ありがとう。」
「でも僕としてはアイリスの身を心配したつもりだったんだけど…。」
「あ、そっちでしたか///」
「ご心配ありがとうございます。私も問題ありません。」
「そう、良かった。」
「「…。」」
(え、何!?気まず!なんか黙っちゃったんだけど…。くっ、こんな所で前世で女の子と話してこなかった弊害が出るとは…!)
しばらくの沈黙の後何とか気まずさを振り払い話し始める。
「…そ、それにしてもこの子どこから来たんだろうね。」
少女を囲み話し合う。
「服装からしてやはり何処かの村の子と考えるのが妥当かな?」
「う〜ん、有り得なくは無いですが。だとするのなら蟲が蔓延るこんな森の深くまで来る理由が分かりません。」
「それに森の近くには村は無かったはずですし…。」
「なるほどね、となるとやはり直接聞くのがいちばん手っ取り早いか。」
そんなことを話終えると六郎がわって入ってきた。
「六郎?」
「ウォフ!」
「ちょっ、六郎!?」
バシバシバシ、六郎は自身の尻尾を少女の顔に向け思い切り降り始めた。勢いが強すぎてすごい音が鳴っている。見ていたアイリスが咄嗟に止めに入る。
「こら!六郎何をしているんですか!」
「ウォフウォフ!」
六郎はアイリスに抱きかかえられたあともブンブンと尻尾を振り何かを訴えかけている。
もしかして…。
「う、うーん…。」
やっぱりそうだったらしい。六郎は俺たちの話を聞いて少女を起こそうとしてくれたみたいだ。それにしては起こし方が雑だったけど。
「何やら顔をホウキではたかれていたような…。」
「目が覚めたかい。」
「うん?あなた達は…。」
どうやら、まだ意識がはっきりしていないらしい。なので俺たちはこれまでの経緯を簡単に説明した。
「そうでしたかそんなことが…!私としたことがあの植物に捕らえられ気を失ってしまうとは。」
「助けていただきありがとうございます。」
「いや、気にしないでくれ。誰かが助けを求めてたら助けるのは当たり前だよ。」
「それで君は一体…?」
「あ、そうですね、失礼しました。」
「私の名前は『ファリン・ステラード』。この森を管理する守り人、その見習いです。」
食蟲食物〈プレデタープランツ〉について
・前世の食虫植物が混ざったような姿をしている。(モウセンゴケ、ハエトリグサ等)
・姿、少女を捉えていた、、辺りの土地の栄養状態が悪い、何匹かの蟲が逃げてきていた、これらの要点を踏まえ普段は蟲を捉え栄養を得ていたと考えられる。
・知能はないが自信に生えた毛に触れた対象を葉出できた口のようなもので捕獲する。(アイリスの証言から。)
・上記とは別に触手による迎撃システムのようなものを備えている。(アイリス達には反応しなかったことを考えると恐らくは一定の熱源や呼吸量に反応している?)
・栄養を求める過程で突然変異を起こし進化を果たしたと考えられるがそれだけでは説明できないことが多く、現時点でなぜここまでの異様かつ巨体に変化したのかは現時点では不明である。(蟲のように別の生物の可能性も高い。)
作成者:主人公




