表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏山異世界農業 〜伝説の剣? 要らないよ……。そんなのより伝説の肥料とかないの?〜  作者: 皐月彦之介


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/36

第10話 無線召喚

 良太朗が電波を発射すると、先ほどとは違って一分もしない間にドラゴンはやってきた。やはり良太朗は少し恐怖を感じるけど、ほのかはそういうわけでは無いらしく、楽しそうに撮影を続けている。


「ふむ、準備ができたようじゃの」


「カレーを用意したよ」


「では、人化するかの」


 ドラゴンがそう言った瞬間、頭がくらっとするような感覚が良太朗を襲う。それはほのかもおなじだったようで、スマートフォンを取り落としそうになっている。ドラゴンの方は人化の魔法? が発動しているようで、モクモクとした白い煙のようなものに覆われている。しばらくすると白い煙は晴れていく。


「これでいいかな? 雑魚お兄ちゃん」


 真っ赤な髪をツーアップにした、みごとなメスガキがそこに立っていた。どうしてこうなった。


「えーっと……。その姿は?」


「雑魚お兄ちゃんたちのイメージを借りて人化したんだけど?」


 さっきの頭がくらっとしたのは、良太朗とほのかのイメージを調べた副作用みたいなものだったのだろうか。話し方までメスガキになっているスキャン制度はたしかに凄い。色々話し合った人化のイメージの中で、メスガキのインパクト強かったけど……。実際眼の前に出てくると、感想は残念の一言である。


「メスガキ! ぐっ!」


「と、とにかくカレーを食べて」


 親指を立てて満足げな顔をしているほのか。良太朗はいろいろ誤魔化すために慌ててカレーを皿によそう。椅子はもってきてないけど、納屋の資材をうまく椅子代わりにして座ってもらう。カレーを人化ドラゴンの前に置くと、スンスンと鼻を鳴らして嬉しそうに言う。


「へえ。雑魚お兄ちゃんが作ったにしては美味しそうじゃない」


 人化ドラゴンはスプーンを渡すと、勢いよくカレーを食べ始める。あまりの勢いに良太朗はやけどしないか心配になってしまう。


「アツアツだから気をつけたほうが……」


「あたし、炎竜だから平気だし?」


 人化ドラゴンはパクパクとカレーを食べ続け、あっという間に皿は空になっていく。


「おかわり!」


 良太朗がおかわりをよそうと、ひったくるように受け取ってまたすぐに空にしてしまう。結局用意したカレーとご飯は全て人化ドラゴンの腹の中へと消えていった。人化ドラゴンはお腹をさすりながら満足げな表情を見せている。


「美味しかった!」


「全部食べちゃったね……」


「お礼に、リュカニアの恩寵をあげちゃう♡」


「え?」


 人化ドラゴンがそう言って良太朗を指差すと、良太朗の身体は金色の光に包まれる。どうやらこれが恩寵らしい。ドラゴンの名前がリュカニアであることを自然と理解する。


「もらっておいてなんだけど、リュカニアの恩寵っていうのはなに?」


「あたしの権能の一部が使えるようになるんだよ。やったね! 雑魚お兄ちゃんがふつうのお兄ちゃんになるくらい強くなるんだから! 千年くらいまえにあげた相手は、伝説の英雄王なんて呼ばれるくらいになったんだよ。嬉しいでしょ?」


「僕は農家だから、害虫とかとしか戦わないから」


「農家に便利な権能もあるよ? 雨を降らせたり、止ませたり、植物を早く育てたりもできるんだから」


「それは嬉しいかも……」


「でしょ? 感謝してよね」


 なんだか恩寵とか良くわからないけど、植物が早く育ったりするのはおもしろそうだ。良太朗ははやく試してみたい気分になる。良太朗がワクワクしていると、撮影していたほのかがぼそっと呟く。


「良太朗だけずるい」


「なあに? 雑魚お姉ちゃんもなにか欲しいの? でも、お姉ちゃんなにもしてないでしょ?」


「野菜剥いた。買い物も手伝った。お昼ご飯全滅。夕食も全滅……」


 ボソボソと責め続けるほのかに、リュカニアもたじたじの様子だ。


「わかった。わかった! 加護あげるからっ」


 そういってリュカニアはほのかを指差す。良太朗のときより小さく弱い光がほのかをつつむ。


「加護と恩寵はどうちがうんだ?」


「効果がすこし、いやかなり小さい感じかも?」


「貰えた、満足。これで私もチート持ち」


 嬉しそうにしているほのかと、ほっとした様子のリュカニア。良太朗とほのかが自己紹介したところ、リュカニアはフルネームで呼ばれるのはいやだと言いだした。


「短く切ってリュカとか? もしくはニア?」


「ん。カニもあり」


「リュカがいい。良太朗お兄ちゃん。じゃあね」


 リュカはドラゴンの姿にもどり、どこかへと飛び去ってしまった。残された良太朗とほのかは、カレーの残骸を片付ける。


 良太朗とほのかは足元に生えているカタバミのような植物に、もらった恩寵と加護を試してみる。良太朗がやると、タイムラプスの早回しくらいの速度でニョキニョキと草がのびていく。おなじこをとほのかがやると良太朗の一〇倍くらい時間がかかった。結構な差がある。ほのかはあまり気にならないようで、嬉しそうに色々と試していた。


「お腹空いてきたし帰ろうか」


「ん。昼食は?」


「袋ラーメンに野菜をトッピングかな……?」


「カレー……。食べたかった」


「スライス肉のカレーでよければ夜つくる?」


「ん。カレーの口」


 夕食のカレーの後、撮ってきた動画をノートパソコンで確認する。動画の中で何箇所かノイズが酷くて動画が途切れる場面があった。具体的には、リュカが人化するシーン、良太朗とほのかが恩寵や加護を貰うところ、それとリュカが人化を解く場面だった。


「なんでだろうね?」


「でも、ドラゴン凄い。バズ確定?」


「人化の部分が無いから、子どもの姿になるの違和感が……」


「変身シーン。無念」


「あー……。動画出して良いか聞くのも忘れてるな」


「ドラゴン、人じゃないから人権ない。問題なし」


「人化した後はちょっと確認してからが良いかなあ」


「ショート動画、ドラゴン召喚」


「それでいいか」


 良太朗がモールス信号でドラゴンを呼ぶショート動画をアップした結果。再生数はものすごい勢いで回ったけど、チャンネル登録数はあまり増えなかった。ちょっと残念な気持ちになったけど、明日以降はチャンネル登録者も増えることを祈って、良太朗は一日を終えるのだった。


    *


 今日も良太朗の朝は、お社に参るところから始まる。早起きしてきたほのかも一緒だ。鳥居の脇を通ってお社にたどりつくが、いつもと様子が違っていた。屋根の上にちょこんと黒猫が香箱座りをしていた。良太朗とほのかが社に近づくと、黒猫は逃げるわけでもなくのんびりと伸びをして立ち上がった。


「なかなかに面倒な事になっておるようじゃな」


 今度は黒猫が喋った。リュカのおかげで大抵のことでは驚かないだろうと思っていたけど、猫がしゃべりだすとは予想外だ。慌てる良太朗に比べて、ほのかは嬉しそうに「ほおおお」とか言っている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ