時間のズレ
翔はウエストホルダーから縦15センチ、幅5センチくらいの札を見せて説明した。
札にはゴブリンと書かれている。
「開封」
翔がそう唱えると、札が煙を出してゴブリンになった。
「おー」
「モンスターに戻せるのは俺がタイマンで勝てるくらいのやつだな。めちゃ強いモンスターだと言うこと聞かずに暴れ出すんだ」
出されたゴブリンはぼけーっと前だけ見ている。
命令待ち状態ってことか?
「それと……あ、ちなみにだが梨音、俺たちの寿命についてあの女神からなんて聞いてる?」
「えっと、数倍にしてくれるって言ってました」
「あー、くそっ。あいつまだそんな説明してたのか」
翔はため息をついてゴブリンを札に戻した。
「あいつの言ってる事は半分しか正しくない。まず、この世界とあっちの世界の時間の流れはだいぶ違う。こっちの方が遅い。どれくらいだと思う?」
時間の流れ違うのか。それもそっか。翔の喋り方はどう考えても最近の物だ。200年前だと江戸時代になる。
翔が元々いた時代は割と最近、2000年代には入ってると思う。それで200年こっちで過ごしてるって事は、大体200÷20で10と200÷10で20と計算したら10〜20倍くらいの時間の流れが違うんじゃないだろうか。
いや、倍率高いな。
この世界に被害者現れたの50年前だろ?これが正しかったらあの女神数年で同じミスしてるってことか?あいつの上司いたら今すぐ首にしてください。
「10〜20倍ですか?」
「もっと。100倍だ」
「……ええっ!?てことは翔さん一昨年まで日本に居たんですか!?」
見積もりが甘かった。てことはあの女神一年に二回ミスで人殺してるのか?
ひどい。ひどすぎる。