思い出
『ピッピッピッ…』
スーパーのレジの音が響く。小学生の頃、父によく買い物に連れて行ってもらった。よくワガママを言って、お菓子やプラモデルを買ってもらった。少ない、月のお小遣いから出して、買ってくれた父は僕にとって、とても優しくて、頼れる父だった。
中学生になった僕はよく母親と対立していた。「いちいちうるせーんだよババア。」なんて母親に言って泣かせていた。それでも僕を見捨てずに正面からぶつかってきてくれた母が居たからこそ、今の僕があるのだと思う。
高校生の時、初めて出来た彼女に振られた。姉は最初、僕を馬鹿にしていたが、言い返さない僕を心配した。隠れて座って泣いてる僕に無言でタオル渡して、目の前にアイスを置いてくれた。なんかこう、いい姉弟だったなって思う。
大学生では昔から続けているバスケで地方代表に選ばれて大喜び。あの時、一緒に泣いて喜んでくれた親友は今もずっと仲がいい。きっとお前が支えてくれてなかったら俺は代表に選ばれてない。ありがとう。
社会人になり、同じ職場で恋人が出来た。初めての同棲。洗濯や料理を毎日してくれて、たまに喧嘩もするけど君の好きなアイスを買って謝りに行く。二人でアイスを分けて食べて仲直り。そんな優しい君がそばに居てくれるからこそ、仕事を頑張れる。
この世に生を授かり、二十七年。家族やたくさんの友人、親友、恋人に支えられて生きてきた。こんな時にならないと、僕は気付けないんだな。当たり前の大切さはきっと手から溢れそうになって、初めて分かるんだ。
『ピッピッピッピピッピピピッピッ』
最後の音が聞こえる。
『ピーーーーーーーー』
病室に鳴り響くその音と共に僕の人生が終わる。




