対1話 大型ルーキー
『びーーびーー』
警報の音で起きる。最悪な目覚め。狭い部屋。
ん?ああどうも!ここはナーアヤ王国。外には危険がいっぱい。だから王国と外の間にたっかい壁に挟まれた空間が。その空間が何かって?そこには国の、国民の安全を日々守る英雄達がいる。、、、嘘だ、いやそうだけど英雄なんか夢物語では無い。現実は人権なんてないただの捨て駒。生きるためには外の脅威、言わば怪物と戦い勝つ。勝っても確実に生きられるとは限らないけどさ、それに、、、
「おい!早くしろ!」ガンガンッ
ああ誰に話しかけてんだか、さっさと行かないと、不良品は処分されちまう。
「ウーゥン、、えーっとこれと,,これ持って,,,,ふあぁぁ」まだ起きてない身体と働いてない脳を置いて慣れた感覚だけで動く。働かずもの食うべからずだ。食べ物なんて臭くて不味い,,いやくっそ不味いもんの支給だけだけど。
扉に手をかけた瞬間に、
「あっいっけねぇ武器忘れるとこだった,,はぁ」
安っぽそうな剱と弓初めて来た時に渡された、相棒だ。(そんないい思い出詰まってねえけど)
ガチャンッ、。中途半端に重い扉を押し開け、足で力なく地面を蹴り1歩踏み出した瞬間、
「んあっ!人がいたぁ!」
死と隣り合わせなこの場では不似合いで場違いな腑抜けた声がマンションみたいに部屋が並んでる廊下に木霊した。
声のした方を見ると。コチラを物珍しそうにかつ、どこか安心した目でじっと見てくる、声よりもここに相応しくない様な可憐な少女が立っていた。
「,,,,何?」
新しく来たのか?こうゆうやつには構わない方がいい。前の隣人6281103室の奴はこんな右も左も分からない新人に優しさで構って庇って人知れず死んでった。その後彼が守った新人はあいつが甘やかしすぎたおかげで、何が起きたか理解できないまま消えてった!
これから学べることはつまり、、、優しさは、、いらないってことだ、、、。
そんなことを考えているとは微塵も思ってないようで明るい笑顔で話してくれやがる。
「私昨日からここに来たんです!先輩?ですよね?これからよろしくお願いしますね!」
『これから』があるかは不明だが、
「ここってどういうとこなんですかぁ?」
あー面倒臭い、質問してくんな。お前と関わりたくはないんだ!人と!関わりたく!ない!
そんな心の叫びを堂々とこの無垢そうな子に言える程腐ってはない,,と自分に言い聞かせる(そうじゃなきゃ自分が怪物みたいになってしまう)
「、、、これみたいな奴が流れて流れて流れ着く場所だ」
自分に指を突き立てながら突き放すように発する
「…」
そう聞くと、足元から順にゅぅぅぅくり頭まで眺めてくる。そんな直接の意味じゃないんだが?
調子が狂う。
見終わったあとのルーキーの瞳には納得したような色があった。それもそうだ。傍から見た私は怪物とのバトルで勲章の傷が沢山!、、、そんなことないけど、一方的な駆逐だけど。
まあボロボロだ。
「じぁあ!貴方っ」ドゴォォッン、、、、、、!
「!?ッ揺れ?て!」
「あー誰か知らねえけどさっさと行くぞ」
「んぇッ?何処へ?」
「この揺れの原因、英雄の討伐対象だ」
言い切る前に180度回転し脇目も振らず鉄板の床をガンガン鳴らし走り出す。後ろからカンッカンと音がついてくる。なんとも可愛い足音だ!
あっははっこんないい子が来てこの壁、この国は安泰だ!…んな訳あるかぁ!ここに必要なのは強く、泥水すすってでも生きようとする生き恥だけだ!そうゆうやつが来れば仕事も減ってくれるってもんよ。
だるいし危ないしでこんなこと一刻も早く逃げたしたい。国のためには死ねないのだ私は、こんなクソみたいな国に命捧げるバカはここにはいないかもな。いたらゴミを見る目で見てやる。
外の世界へ通づるシャッターを飛び出し怪物に目を通す(首が折れそうなぐらいに上へ向く)。思ってたよりでけぇいつもの何倍もあるんじゃねえか?
『急げー急所となる目を狙うんだぁー』
アホみたいな声でアホみたいなことを馬鹿どもにデケェ声出して伝えてる。(大体こんなでかいやつの目なんて届くか)
ダンッ!
『ぐあーっ』『怯むなー向かい打てー』
怪物の尻尾が人間と一緒に地面へ叩きつけられる。
「!あれですか!恐ろしいですね!」
結構長い間早めに走ってきたのに息切れひとつしてない。もしかして以外に体力あるのか?
「あの子倒せばいいんですかぁ?!」
「ん?ああそんな簡単だったらいいけどな」
言い切る前に私の腰に付けた剱が抜かれる。
「これ借りますねー!」
あぁっ私の相棒ガァー。じゃないわ!あいつ突っ込んで行ったぞ!死にたいのか?!もしそうなら止めはしないけども。
《スパッ》怪物の首が空に放たれた。
「は?」
『ん?あれ…やっやったぞー倒せたぞ!』
怒号が歓声に変わる。私はそれを眺めることしか出来ない。何が起こった?
「すみません!借りてしまってー!」
さっきまで聞いていた声が戻ってくる。
「あっあれお前が?」そんなわけないと思いながら念の為聞く。
「あっはい!そうです!見た目以上にヤワかったです!」
安モンだが?その剱。
「これからも分からないこと教えてくださいね!先輩!」
懐かれた。ヤバいやつに。
はっ?これからこいつに構わなきゃなのか?
初めて怪物と対峙した時と同じ、いやそれ以上の恐怖を感じた。




