第拾壱幕 ~筒井騒乱・序章~
おそくなりました……
大和国 筒井城
城主である筒井官符衆徒順昭はある決断をしていた
「我の命はもう長くない……病が重い事は分かっている」
「な、何を言う兄者!」
ここにいたのは順昭の弟である筒井順政と順国であった
「そうです、兄様、藤勝丸(順慶)もいるのですよ!」
「わかっている……しかし、物心ついてからではあ奴には衝撃が大きい筈だ、ならば物心つく前に目の前から居なくなれば……そこでだ、お主ら二人が支えてやってくれ、我は東大寺に隠居することにした」
「「な!」」
「止めてくれるでない……もう重臣たちに触れを出した」
「「……」」
筒井当主隠居、この選択が筒井家の今後を大きく揺さぶることになった
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河内国 飯盛山城
「弾正、順昭が隠居したらしい」
「ええ、知っております」
「ほう、やはり耳が早い」
「殿、兵5000程を用意してはいただけないでしょうか?」
「よかろう、好きに使え、それと弟をつける」
「どなたを?」
「又四郎をつけよう」
「……はは」
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<久秀>
忌々しい、私が何故、一存<十河一存のこと>と……
此度の出兵は、私が大和を手に入れる為
邪魔だ……
しかし、殿は一存の事を気に入っていらっしゃる
何か策は……
いや、それよりも此度の戦
足利家と連携を取らねばな、弟君の態度も見ておかなくては。
ん?
足利家?
そうだ!
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「兄貴どうした?」
「又四郎、少し話がある」
「ん?」
「大和守殿に客将として出向いてくれないか?」
「ん、急にどうした?」
「いや、弾正が言い出したのだ」
「あいつか……」
「お主らは本当に……」
「仕方ねえだろ、俺はあついが嫌いだ」
「……まあよい、出向いてくれるか?」
「兄貴もいろいろ考えた上だろ? 反対なんてしねえよ」
「すまんな」
「じゃあ、十河領は?」
「千満丸(三好義賢)がすべて任せろと言っている」
「ああ、あいつなら問題ない」
「では頼んだぞ」
「おう」
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南近江 坂本城
「とういう事で、連絡に来た次第」
「ご苦労、やはり千歳丸は理解していましたか」
「は?」
「いえ、こちらの話です」
「では、私は」
「千歳丸にこれ(書物)を」
「承知」
その後
「公方様! 一大事です! 大和守様の城に松永弾正が現れたとのこと!」
「な、なんだと! 直ぐに使者を送れ!」
「はは!」
(さてさて、後は流れに任せるとしましょう)
数日後、足利大和守家と足利将軍家は交戦状態となった