第拾弐幕 ~十河左衛門尉一存~
交戦状態に至った経緯
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其の壱 足利将軍家と筒井家の関係は良好である
其の弐 三好家の使者が足利大和守を訪問したことは周知されている
其の参 たまたま足利将軍家の使者と十河左衛門尉一存が槇島城で鉢合わせた
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槇島城
「はぁ」
「殿、そんな腐っていても話は進みませんよ」
「だってよ、どんな確率だ? 言ってみろよ、何で同じ日に兄上の使者と三好の客将が来る!」
「もう終わったことですよ」
「……はぁ、だよな」
コンコン
「なんだ?」
「十河左衛門尉殿が殿に会いたいと」
「通せ」
「ははっ」
すこして
「お前が公方の弟か」
大柄の男がドタドタと入って来た
「そうだ、お主は十河左衛門尉で間違いないな?」
「ああ」
「一つ聞きたい、何故客将として来たのだ?」
「ん? それか、俺も知らん」
「な!」
「弾正の野郎の進言だそうだが、兄貴からの命令だからな」
「松永殿の進言?」
「ああ、あの胸糞わるい奴のだ」
「……(仲が悪いという話は本当だったんだな)」
「左衛門尉殿、貴方は城主ではなかったのですか?」
万吉が口を挟んだ
「ああ、俺の領地は千満丸が面倒見てくれるらしい」
「千満丸?」
「ああ、実休(三好義賢)だ」
「成程」
「俺から聞きたいことがあって来たんだが」
「なんだ?」
「兵は幾ら預けてくれる?」
「連れてきてないのか?」
「ああ、威圧になるとよ、俺だけで来た」
「逆に聞くが、幾ら欲しい?」
「領地を切り取りたいなら千だな」
「千ね」
「殿、いいのではないでしょうか?」
「ふむ……(うちの総兵力は3000程、三割か)」
「返事は直ぐじゃなくてもいいぞ、家も準備してもらえているみたいだからな。弾正の弱虫野郎の事だ、直ぐに進軍はしないだろう」
「まあ、悪い返事はないと思っててくれ」
「ああ、待っている」
この時が鬼十河と言われ恐れられた彼の人生が本来の歴史から外れた瞬間だった




